寓話的要素を孕んだ美醜逆転物語

初っ端から主人公が絵に描いたような悪役ムーブを全力でかますので、「こいつ目の前にいたらしばいてるなぁ」と思いつつ読んでいました。

しかしこの過剰なまでの悪役ムーブがこの作品の魅力を引き立たせるスパイスとなっているのは、そのすぐ後に分かります。

美醜逆転世界に飛ばされた主人公は、そこでカースト上位から一気に最底辺まで落ちる。同じくカースト最下位(現実世界だと最上位)の紗凪と出会い、彼女との交流を通じて、この世界の価値観を思い知っていく。そして同時に、自分がかつてしていた陰険極まる扱いが自分達に向けられることを理解する。

しかし、そこで挫けないのが陽キャたる所以でしょうか。

ただのざまぁでは終わらなさそうな、寓話的要素を腹に秘めた(デブだけに)本作。カースト最底辺に落ちた主人公が、ここからどんな逆転劇を見せるのか、そしてそれを通じてどう成長して、自らを省みていくのか、楽しみな作品です。

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