長編小説として読みたい

短編として閉じるには世界観や設定が壮大に思いました。長編かつ紙媒体として世に出せる構成で楽しみたい作品です。

タイトルではデスゲームといいつつ、テイストは異能バトルものに近いです。何でも屋の主人公に喋るニワトリ、主人公にお節介を焼くヒロインと、物語の核となる主要人物はキャッチーに作れている一方、世界観と設定に対して描写が簡略化されており、想像力による大幅な補完を要するところに伸び代があるように感じました。

作者様は設定を作り込んだ上で物語を書かれるということで、こうした描写の省略は書き急ぐあまり起きているかと思います。台本形式かつ情景・心理描写の簡略化は、作品の生産性を飛躍的に高める一方、読者に対して相応に想像力を要求させます。芝居やドラマにおいては役者がその役割を担うものですが、小説においてはその仲介役が不在であるため、そのような事態になるのでは個人的に考えています。

本作は今後、続きを書かれることも構想されているということですので、その時には本格的な小説という形式に挑戦されることを期待したいと思います。