第3話 結婚

「おはようございますー」

あ、大家さんだ「おはようございまーす」

ゴミ捨て場でのこと

顎の長い白髭にサングラス…

タンクトップに肉団子のような体型のおじいちゃん…ジムでも通ってんスか?

「ははは笑」「そっちはどーよゆうせいさん」

親指と小指を立てて振った

ん?で…電話?なんのことか一瞬迷ったが電話イコールお仕事の調子?みたいな感じがして「まだまだ軌道に乗らないですね」って

「ははは笑ゆうせいさんユーモアあるね恋愛を仕事みたいなノリで言っちゃうところが流石じゃ笑」

どうやら親指は関係なく小指を立てて彼女出来た?みたいな感じだったらしい

「あ、ああー彼女ッスねー笑いませんよーぜーんぜん」

「そっかわしんとこ1Kじゃから彼女出来たり結婚したり子供出来ちゃったら出て行かれちゃうじゃろ毎日ビクビクじゃ笑」

「あはは笑まー今のところ大丈夫みたいッスねはは笑」

「まーもし出るとか家建てるとかあったら言ってよわし大工じゃから」

「えーそーなんですか?スゴー!んじゃアパートってまさか大家さんが建てたとか?」

「そじゃそーじゃなかったら建てれんって長年かけて建てるから安く済むし儲かるんじゃあ、これ言っちゃだめだったか笑はっはっは笑」


みんな上手にやってんだな…


そんなある日のこと初の歌舞伎町お届けのお問い合わせがきた

ヤバそーなところだけどグミやんはノリノリだしまたとない機会やるしかない


もーすべてを出し切った

お花を車に積み僕とグミやんは無言のまま乗り込む

制作中はノリノリだったけど正直ビビっている歌舞伎町だよ?Googleマップは優秀で迷うことなく到着したけどずっと緊張してた

お昼に到着しお花の搬入が終わると夜21時半に回収ずっとアドレナリンが出ていたのか興奮状態で内容はあまり覚えていない

帰りの車の中で二人はやり切った思いで燃え尽きた

その日のお花のインパクトが強くて口コミで注文が殺到

グミやん「あーんこれじゃー営業時間内に作り切れないよー」

ゆうせい「スーパーテナントじゃ引っ越すしかないか…」

「東京に…」


「…え?…私、人がどうしても苦手で…」「東京には引っ越せない…ごめん」

「歌舞伎町みたいなところはまた特別なところだよ大丈夫だって今東京に行ったら絶対に成功する」


「…無理ごめん」


あれこれ1年間

序盤無理し過ぎたせいかグミやんにも長期の休暇を取らせ無理のない地方からの東京配達と店売りを継続させた


引っ越さないで東京に住んだ状況に近づけるのなら…とずっと考えていた

作業場兼住まいが最低条件だ

ダメもとで大家さんに相談すると即インター近くの200坪農地転用で住宅と作業場が作れる最高立地が見つかる

東京へ引っ越しすることと比べたらそれほど良い条件ではないけど地元で探したらこれ以上の条件はないざっくり池袋まで1時間

「作業場だけじゃダメなの?」「作業場だけじゃ東京に引っ越した場合との差があり過ぎる」

「そっか…そだね住まいが近ければゆうせいの負担が減るもんめっちゃいい」

「いやそれは違う!住宅は僕の名義で購入するけどどうしてもグミやんに住んでもらいたいんだこんなに頑張って持ち帰ってまで仕事してるし」

「えー…それじゃゆうせいはどうしちゃうの?」「僕はこのままで大丈夫アパートから近いしさ」


大家さんに頼んだせいで作業場と住まい2年かかってしまったけどあり得ないほど安く済んだ

とはいえあり得ないほどの借金まみれ笑ま、もう慣れた借りれるものは借りる笑


グミやんが店番僕が新たな作業場へお店から必要なものを少しずつ移動するそして終わった

「もういつでも作業場で仕事が出来るしいつでも家に住めるんだよ」

グミやんを連れてインター近くの最高立地を見てもらう「どお?」

「ヤバ言葉失いそ…本当すごくない?」「ごめん涙これびっくりしてだから笑」「本当にやる?これー笑」子供のようにはしゃぎ作業場とその隣の大型冷蔵庫そして住まいを一周して二階へ

グミやんが窓を開けるといい感じの風が入ってくる

笑いながら涙を拭いながら振り向いた

逆光ながら顔がはっきりと

今まで見たことがないくらいあり得ないくらい可愛くて…「それじゃーゆうせい」


「居候して」


「え…あ…え?」「いいの?」

「いいのじゃないそれ私のセリフ笑」


僕は多大なものをグミやんからもらっていたから無我夢中で何かを返したくてもう常識とか考えてるところにいなくて…こんな小心者が家を購入してそれを人にあげようとしていた

気付いたら僕は知らないうちに社長になっていた


テナント抜ける際は元に戻さないといけないということで前オーナーが壊したブラインドを直し総額100万円かけて出ることができた


荷物もまとまったしグミやんと居候生活か…

よくよく考えたら僕はなんてヘタレだ

どうしてこーなっちゃったんだどこかでタイミングを逃したまだ付き合ってもいない


さーお仕事だよー

深夜0時定時で2時間残業次の日朝9時からって…

僕たちのフラスタ制作は過酷だ笑

グミやん「最高の新婚生活だね、結婚してないけど、あは」


いつ告白出来るだろうか


「おはぽーん!!ほーら7時だよー」

付き合ってもなくて結婚してなくて想いを寄せた異性と一緒に住むってキツいことだよね理性を保つ意味で

無防備な格好で起こしてくれるのはいいがお決まりパターン笑紳士になれ…と興奮を抑える

1階に降りると腰を掛けコーヒーを啜りながらバッチリ決まったエプロン姿のグミやんを見た

朝から仕事やる気満々だな

一瞬目が合うとにっこりして近づいてきた


そう

彼女は最強である



ゆうせい「ここまでざっくりあらすじのようなもので本当はもっと山あり谷あり数えきれないほどの物語があったんだよー」

娘「…結婚してないじゃん」

ゆうせい「あ、まだ序章だったからごめんごめん」

娘「ながー」

グミやん「話全然違う笑盛り過ぎ笑」「なんかパパとママの立場もごちゃ混ぜで所々変」

ゆうせい「まーお店全体としてはだいたい合ってるからいいんじゃね?っつーことで笑」

娘「怒ってるところも怒られてるところなかったね」

グミやん「美化し過ぎ」

ゆうせい「ま、少なからず製作中は真剣だから言い合ったりはするよね普段は仲良しん子だよ」

娘「良かった」

グミやん「とりま奴隷の如く働いてるのどーにかして欲しい4んじゃいそ」

ゆうせい「大丈夫!これからは3人でなんとかしてこー」

娘「えー巻き込まないで」




インスタとか見てもらえばわかるようにフラスタはとても高価なお花です

だからって手の届かないお花なんかじゃなくて推しさえいれば誰でも楽しめるんだってそう感じてもらいたくて書いてみました


合間見て物語挟みながら僕たちお花屋さんのルーティンをお届け出来たらきっと楽しみお裾分け出来るんじゃないかと思って

SNS等でゆうせいの2.5次元花屋を始動します

普段はみなさんを応援するお仕事ですがこちらではどうかみなさん応援よろしくお願いいたします

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

グミやんとゆうせいのお花屋さん ゆうせい @yusei8700

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ