プレバト俳句(2023年11月30日放送)について

滝口アルファ

プレバト俳句(2023年11月30日放送)について

今回もプレバト俳句を楽しく拝見しました。

今回のお題は、「万国旗」。

今回は、秋のタイトル戦(金秋戦2023決勝)の

上位3名の査定でしたので、

その3名全ての俳句を丁寧に分析してみました。


それでは、

まず、特待生3級の、

森迫永依さんの俳句を見てみましょう。


万国旗小春の影を落としけり


「小春の影」という表現に詩を感じます。

夏井先生も評価されていました。

このままでもいいのでしょうが、

下5の「落としけり」は、気になります。

添削例を挙げてみます。


A 万国旗小春の影を揺らしけり

B 万国旗小春日和の影揺らす

C 小春日の影を揺らして万国旗


「落とす」では、

万国旗が風に靡く躍動感に欠ける感じがして、

「揺らす」という動詞に代えてみました。

さらに、

添削例Cでは、語順を代えてみました。

しかし、こうしてみると、

原作の静謐感も悪くないですね。


次に、名人7段の、

森口瑤子さんの俳句を見てみましょう。


冬虹のかけらとなった万国旗


夏井先生は、次のように添削されました。


冬虹に溶けて万国旗の残像


森口さんの原作では、

冬虹がばらばらになって万国旗になったという

イメージだったと思いますが、

夏井先生のこの添削例では、

万国旗が冬虹に溶けていったという

全く逆のイメージになってしまっています。

ですから、私は、

森口さんの意図に沿った添削例を考えてみました。


A 冬虹のきらきら散った万国旗

B 冬虹の散らばりたるや万国旗

C 冬虹のかけらなのかも万国旗


うーん、難しいですね。

口語俳句の得意な森口瑤子さんですから、

それに合った添削例となると、

添削例Cぐらいが、いいのかもしれません。


最後に、永世名人の、

フルーツポンチ・村上健志さんの

俳句を見てみましょう。


万国旗隠し持つ手の如き鵠(くぐい)


「鵠」は、白鳥の古称です。

「白鳥」が冬の季語で、

その傍題に「スワン、大白鳥、黒鳥」があります。

これも、イメージの難しい句です。

夏井先生も苦労されたようで、

次のように添削されていました。


万国旗抱(いだ)くか白鳥の羽撃(はばたき)


はばたきという聴覚を刺激する

工夫が施されていますが、

これでも、読者には、

イメージが伝わりにくいでしょう。

私の添削例を挙げてみます。


A 万国旗秘め持つごとし白鳥は

B 万国旗秘め持つか白鳥静か


要するに、

村上さんの原作では、

水面の白鳥と、手の中に手品の万国旗を持っている感じが、

似ているということを言いたいのでしょう。

だとすると、

上記の添削例A、Bあたりが限界かなと思います。

ですから、

作者の意図からは少しズレますが、

ここは思い切って、

白鳥のはばたきと万国旗の揺れる感じが似ている、

そんなイメージを表現したほうがいいのかもしれません。


C 白鳥のはばたくごとし万国旗

D 白鳥のはばたきに似て万国旗


こうすると、

一応、映像はクリアーになります。

ただ、

俳句としては、

少しイメージが凡庸になることは、否めないでしょう。


今回は以上です。






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