第24話 結婚式。
飽きる飽きないの件を気にしてくれてるのか、最初から2回するつもりで居てくれたのか。
今回はコッチの国の結婚式になった。
だからキャラバンが料理を用意してくれて、衣装も音楽も、家具まで用意してくれてて。
もうマジで実家っぽくなった、どっちの様式も好きなんだけど、やっぱ家って馴染みが有る方が良いよね。
『“本日はお招き感謝するよ、素敵な衣装だね”』
「“ありがとうございます、テオフィーリス勲功爵”」
この前までお世話になってたドS貴族、拾う神ことテオフィーリス様。
あ、爵位って各国共通なんだよね。
下から準男爵に男爵、子爵。
で戦系で功績上げたら騎士の士爵、職業に関わらず功績や納税が凄いと勲功爵。
テオフィーリス様は勲功爵だから、子爵より上。
「“ご興味が有りましたら、いつでもウチに言って下さい、サラの家はキャラバンと大きな繋がりが有りますから”」
で、エセルも子爵って事になっているけど、本当は侯爵。
上から大公は王族の爵位、公爵は血縁無くても貰える上位の爵位、で大臣職の中でも王族に直々に指名されるのが侯爵。
『“ズルい隠し種を持っているじゃないか、成程ね、来て良かったよ。ねぇ?”』
『“そうね、ふふふ”』
《“あの、こう、そう、僕みたいな、男用も有りますか?”》
「“勿論、どエロいのも用意してありますよ”」
『“あらあら、ならお揃いにしましょうね”』
《“はい”》
正妻のコンスタンツェ様と、コンスタンツェ様の従兄弟で侍従で2人の愛妾のヨーゼフ君。
凄い複雑な三角関係なんだけど、綺麗に成立してんだよね、つか完成してんの。
だからもう妾とか要らない筈なんだけど、サドだから必要なんだよね。
2人にはクソ優しいしか無いから、歪んでそうだけど歪んで無い、そこ以外はマジマトモだから逆に引く。
けどぶっちゃけ、面白い人だから好き。
『“なら、最速で頼むよ”』
「“はいー”」
「“では、ごゆっくりお楽しみ下さい”」
『“是非、そうさせて貰うわね”』
《“お世話になります”》
ヨーゼフ君、マジでクソ可愛いの、何かバイになっちゃったのも分かる気がするわ。
「“サラ、次は向こう、彼らは辺境伯、伯爵だよ”」
「“あいよ”」
男爵位とかが下位、侯爵位が上位なら、中間は辺境伯と伯爵。
ぶっちゃけ、中間管理職、マジ中間。
『“やぁやぁ、おめでとう、子爵から侯爵位に上がるそうじゃないか”』
『“しかもこんな美人さんを娶れるとは、全く、運が尽きてしまうんじゃないかい?”』
「“かも知れませんが、いざと言う時はお願い致しますね”」
「“私からもお願い致します”」
『“美人さんにお願いされてしまったねぇ”』
『“なら、良い男としては願いを叶えるしか無いな”』
『“全くだ”』
『“コレからも幸運が続く様に願っておくよ”』
「“はい、ありがとうございます。どうぞごゆっくりなさっていって下さい”」
マジでさ。
こう、上流階級と関わるって、あの時は全く思って無かったんだよね。
もう少し、体を大事にしてたらなぁ。
髪も綺麗なままで、不妊かもって不安にならないで済んだかも知れないんだけど。
まぁ、もう終わった事だし。
「あ、お兄ちゃん」
『綺麗になったなサラ』
五男の隣には、お嫁さん、新しいお義姉さんだ。
「どうもサラです、お疲れ様です遠路はるばる」
《ふふふ、大丈夫よ、旅をしてみたかったから寧ろ嬉しいの、招いてくれてありがとう》
「私もそうなんですよぉ、やっぱり旅って良いですよねぇ」
家族を持つ事が不安だったんですが。
サラの家族を見ていると、寧ろ家族を持つ事を勧めるのは純然たる善意なのだろう、と素直に思える。
他人の幸福を心から祝福し、この先の幸福も願っている。
そして僕の事も。
『五男です、七男がお世話になったそうで、さぞ面倒でしたでしょう』
「いえ寧ろ助かりました、彼が居てくれたお陰で安心して仕事が出来たので、ありがとうございます」
『そう言って下さって助かります、どうかサラを宜しくお願いします』
「コチラこそ、宜しくお願い致します、僕は家族について非常に無知ですので」
『そう言われてしまうと、本当に家族として接しますよ』
「はい、お願いします」
『なら、家族だけで居る時は上位貴族として扱いませんからね』
「はい」
心から信頼しても良いと思えてしまう優しい笑顔、声色、話し方に言葉選び。
確かに、サラが兄弟の中で結婚するなら、この五男だと言っていた理由が良く分かる。
「イジメた?」
『少しだけな、七男の敵討ちだ』
「言い返したから大丈夫ですよ、ご心配無く」
「はいはい、男同士の話し合いね」
『だな、聞き出してやるなよ』
「へいへい、聞かない聞かない」
『そろそろ他にも挨拶に行きなさい、こうした場でしか会えない方も居るかも知れないんだしな』
「ほらコレ、お兄ちゃんって言うかお母さんなんだよね本当」
「ありがとうございます、失礼しますね」
『あぁ、また、サラを宜しくエセル子爵』
「はい」
クソ疲れた。
結婚式って、お披露目だから忙しいのは分かるんだけどもう、挨拶回りだけで終わるって全次元共通なんじゃないかって位でもう。
2回目はちょっと考えちゃうわ。
「あー、疲れた、顔が疲れた、愛想が売り切れた」
「商人の娘でも売り切れるもんなんですね、愛想」
「在庫が少ないんだわ、希少希少、価値高し」
「すっかり流暢になりましたね、このままなら下級侍女としても馴染めそうですよ」
「根が庶民以下だからアリよなぁ」
「それで、その、夜伽もコッチの言葉のままなんでしょうか」
お、方言フェチ的な?
「どっちが良い?」
「どっちも出来るんですか?」
「あー、いや、確かに自信無いわ、何か変な言葉選んじゃうかも」
「それはそれでアリかも知れませんね」
熟考からの変態発言。
コイツ本当に童貞か?
「本当に童貞か?」
「サラを信じてるんですが」
「バリバリの処女ですっ。で、本当に童貞?」
「その証明が難しいですよね」
「してみれば多分、分かる、と思う」
「その、もしガッカリされても困るので」
「いやいや大丈夫大丈夫、何とかなるなる」
うん、童貞だったわ。
「サラ、本当に初めてだったんですよね?」
「そんなに楽しかった?」
「……はぃ」
「初めて初めて、けどほら、侍女達が居るからさ」
「あぁ、ですけど」
「お、負けず嫌いか、分かるよ、良い様にされちゃったもんねぇ?」
「ぅう」
「可愛いねぇ」
様々な性癖が有る、とはテオフィーリス勲功爵のお陰で知ってはいたんですが。
サラはまた、少し違う、んだろうか。
比べる相手も居ない、しかも誰かに聞くのも憚られる。
けれど、どうすればサラに。
「ぁあ、確かに負けず嫌いですね」
「お、今更自覚した?」
「しましたね、逆にサラを参らせたいです」
「おー、照れる」
「そこ本当に照れます?」
「だって逆でしょ?絶対に恥ずかしい事になりそうなんだもん」
「成程、だから主導権を握ったんですね」
「かもかも」
「なら、練習兼本番で」
「ほら負けず嫌いじゃん」
しつこいかどうかって、コッチの気持ち次第なんだなぁ。
好きだからしつこいとは思わないけどさ。
うん、負けず嫌いを煽るもんじゃないわ。
「流石にお腹が空きましたね」
「本当、つか筋肉痛だわ」
「あ、他に痛い所は無いですか?大丈夫ですか?」
夢中だったのクソ可愛いんだけど、何だ童貞って可愛いなおい。
いや、元童貞か。
もう少し長引かせとけば良かったかなぁ。
けどなぁ、コッチだってしたかったし。
我慢し過ぎて浮気されても困るし。
「痛い所は関節とかだけだから大丈夫」
「すみません、次はもう少し加減しますね」
「えー、楽しいは楽しかったのに」
「ですけど」
「慣れれば多分、大丈夫、の筈」
「あの、明日は、休憩にしましょうか」
「お、言ったな」
あー、ダメだ、可愛いからつい煽っちゃう。
『おう、良い笑顔しやがって、楽しいか新婚は』
「はい、お陰様で、差し当たって少しお伺いしたいんですが幾つか良いですよね」
《相変わらず決め打ちするわねぇ》
「どうしてもお答え頂きたい事が有るので、お願いします」
『分かった分かった、謎の圧を出すな』
「ありがとうございます、では奥様はサラのお相手をお願いしますね」
《はいはい男同士の話し合いね、厄介払いされてあげるわ、ふふふ》
俺はこれから、何を聞かれるんだコレは。
『で、何だ』
「どうしたら勝てますかね、サラに」
『それは、夜伽の事で良いんだな』
「はい」
『やはりな』
「やはりって、予測してたんですか?って言うか何かしましたか?」
『いやウチのが色々と教えた時にな、驚かない事が有ったらしく、さては相当の知恵が有るのか。若しくは既に』
「いえ確かに処女でした」
『で、お前が負けたワケか』
「はい、それに意外と負けず嫌いだとも気付きました」
『お前、気付いて無かったのか』
「そんなに驚きますか?」
『いや自覚が無いとは、全く予測してなかったんでな』
「と言うか周りの諦めが早過ぎるんですよ」
『ほらソレだ、お前は偶に自分の実力を認めんだろう』
「サラもなんですよね」
『惚気が多いな』
「いや誤魔化さないで下さい、どうしたら勝てますか?」
『良い勝負には持っていけるんだろうな?』
「まぁ、何とか」
『なら向こうの言葉を鵜呑みにせず、ギリギリまで引き延ばせ、だが頃合いを間違うと嫌がられるんでな。暫くは見極めの期間だ、そこから長期戦に持ち込め、焦らせ』
「だとして、こう、我慢する方法を」
『仕方無い、秘儀を教えてやるか』
「はい、ありがとうございます」
こうしっかり礼を言われたのは、何年振りだろうか。
《ふふふ、大変ね》
「いや完全に煽り過ぎました、凄い可愛いんですもん」
《そう、ふふふ》
エセルを可愛いって言う子って、初めてね。
大概は怖い、冷たい、憎たらしい。
だもの。
「あの、なのでお休みは程々にお願い出来ます?」
《飽きられない様にする手練手管は教えてあげるから、今を楽しみなさい?》
「でもでも、あんまり上達されたら身が持たないんですが?」
《それこそ、駆け引きよ、ふふふ》
「んー、始まると無理」
《あらあら、ふふふ》
不思議ね。
惚気って、どうしてこんなに幸せな気持ちになるのかしら。
『“おう、すまんなサラ”』
「“いえいえ、次のお仕事ですか?”」
「“はい、残念ですが、次の予定が決まりました”」
《“良かったわね、コレで暫くは飽きられる心配をしないで済むもの”》
『“良かったなエセル”』
「“レウス様”」
「“あぁ、エセルもその相談だったんだ”」
『“おう”』
「“代わりに返事をしないで下さい”」
《“次はね……”》
結婚しても、侍女として掃除係が有る。
本当は無い方が良いんだけど、ぶっちゃけ新しい場所に行けるのは楽しみ。
「“やります”」
「“結婚しても万が一が有るかも知れないんですからね?”」
《“それこそ、家に居たって危ないわ危ないわよねぇ?”》
『“おう”』
「“でも夫として守れるじゃん?”」
「“まぁ、それはそうですけど”」
『“よし、決まりだな”』
《“次はどんなクズか楽しみね”》
幼虐物語B面ードアマット令嬢?スパイク付きですけどね!ー 中谷 獏天 @2384645
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます