いや、すごい、の一言です。どこまでが本当でどこからがウソなのか……どこまでが真面目でどこからが冗談なのか、正直わかりませんでした……(ほめ言葉です、念のため)医学や人文科学の論文の文体のパロディーが、これほど読んで面白く心地よいものだとは知らなかった。一気に、貪るように読みました。これって、新しいよね? こんな小説、読んだことがないんだけど……
なんだ、これ……と思わず唸ってしまった。ガチの論文、あるいは評論の形式でフィクションの世界が語られている。多数の参考文献からして、著者の知識は本物なのだろうけど、どこからどこまでがフィクションなのか分からない。知的好奇心が満たされる心地よさはSFを読んでいるときのそれ。でも、どこかホラー的でもある。これまでに読んだことのない不思議な読書体験でした。