最終話 全てを許す

誰かを恨むことは必要以上にエネルギーが必要だと改めて実感していた。

過去の俺は少なからず学校全体の雰囲気を恨み続けていただろう。

特定の誰か一人と言うよりも学校全体をだ。

誰か一人では無くても、照準を絞らなくても、これだけエネルギーが必要なことだったと遅ればせながら理解した。

それならば俺はもう…。

全てを許してしまえば良いのではないだろうか。

何も気にせず彼ら彼女らの過去など覚えていない。

俺は何一つ傷付いていない。

いいや、傷付いたかもしれないが完全に回復したと強がりでも良いから過去を気にしないことの方が自分にとって建設的ではないのだろうか。

そんなことを軽く思考すると俺は意を決して前を向くのであった。



その意思決定により俺は過去を捨て去り今を生きることに必死になった。

そうすることで自分の人生を本当の意味でスタートさせることが可能になったのだ。

結果的に俺の人生の中で俺をいじめていた人達はただのモブへと変化していき…。

俺の人生の中では完全にリタイアした存在へと変わっていくのであった。



それぞれがそれぞれの人生を歩んでいた。

中田たかしはプロゲーマーとして少しずつ活躍しているし、佐藤貫地と南向日葵はきっと仲良く過ごしていることだろう。

捕まった斎場薫子も出所して再び夜の店で働いているはずだ。


俺の人生にもう関わらない彼ら彼女らのことを思うことはもう今後一切無いだろう。

そんなリタイアしていった彼ら彼女らにも幸運があることを願って…。

                完

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俺をいじめていた奴らをリタイアさせる群像劇 ALC @AliceCarp

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