調和の幻想都市

 薄っすらと星の光が浮き出る黄昏の空の下、今も尚、これから先もきっと、時の流れが齎す都市の崩壊と、再生する自然に晒されるこの寂しい世界の只中で、一人寂しく、白き女性の瞼が開く。


 場所は、横からの鋭い夕陽が差し込む高台に作られた元は公園と思わしき広場。寂しい世界だが、それでも良ければ想像を絶する幻想的な一望を我が物に出来る。


 そんな広場の地面に敷かれていたタイルを突き破り、広場の一角に生えた木の根元で、ふかふかの苔に背を支えられていた彼女は、何時からか、そう植物達に護られるようにして横になっていたようだ。


 ゆっくりと上体を起こし、辺りを見渡すも、彼女の視界は動物と呼べるものを一切映す事は無く、代わりに視界に映るのは、崩れてボロボロの都市を覆い尽くそうとする緑と所々に生える身の回りの鮮やかな花、そして、ポツポツと点在している大小様々な木々といった生物達だけ。


 広場の中心に建てられた未知の星系を顕す天球儀のようなオブジェも、蔓に巻かれ過ぎてもはや謎の緑の物体と化している。


 勿論、この世界でたった今、始まった彼女は、都市を覆う蔓と葉、木と花の名は何一つとして預かり知らない。


 ...そんな中、広場から見渡せる遠く離れた廃墟の向こう側から、まるで彼女を待っているかのように、下から上へ大きく、何より高く、半透明な光の柱が静かに立ち上がった。


 偶然か、必然か、寝惚けているのか、その様子を呆けながら視界に入れていた白い女性は、ぎこちなく立ち上がり、歩み始める。目指すべき場所は、この世界そのものが教えてくれている。


 大きな光の根元は、廃墟に隠れていて見えないが、ただ、その光を目指して真っ直ぐに、前人未到の惑星に降り立った、レーダーを当てにする探査機のように、彼女は進み始めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 所々広場に設けられているちょっとした段差の連なりは、生い茂る植物、そして木の根と、どうもより足腰を破壊しそうな方向へ時の神様がリクリエイトしているようである。


 植物達がわりと水分を含んでいるため、足元も滑りやすい。白い女性は、誰しもが当たり前に持つ、その危機感知から、緑の中へ半分以上埋もれた手すりであろう物だけでなく、周りの植物達をも上手く使って段差を慎重に降りてゆく。


 彼女が着ている白いナイトウェアに付いたレースが、植物達を撫でて行く様は、嘸かし幻想的だ...などと言っている暇はない程に彼女自身は気を張ってはいるものの、それも暫くして終えた頃、新たに開けた世界がそこには在った。


 危ない段差を降り切って、白い女性の前に現れた光景は、沢山のメカニカルに造り上げられたボロボロのビルの残骸と自然豊かな大通り。特有の美しさこそあれど、環境に配慮しているなどと云うレベルはとうに超えている。


 とは言え、続く道がそうであっても、彼女は進む事について何も躊躇いがないようだ。


 彼女は目の前の光景を少し見つめた後、左足から前に出す。彼女の目指す場所はただ一つ、光の柱はまだ先だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 裸足で大通りを歩く白い女性。この世界、いや、少なくともこの都市の七割程を占めている植物達は、様々な元は未来的建物であっただろう廃墟たちを、相変わらず美術品へと仕立て上げている。


 だが、それほど命に溢れた場所でもある此処なのだが、可笑しな事に、何処まで歩こうが動物に分類される生き物達が文字通り一切見当たらない。もちろん骨も見かけない。


 そもそも、この星では動物など始めから存在しておらず、この星は植物と、肉眼では確認出来ない菌類のみで築き上げられた生態系を有する星だったのか。それとも、そのようなミクロな者達さえ存在していないのか?


 そうだとすれば、この都市は他の宇宙域からやって来た異星人によって作られ、そして置いて行かれた都市なのか?


 あり得る。ただ、此処に都市が存在する以上、もう一つ可能性が存在している。


 それは、動物と分類される者達、人と呼べる者達はこの星で発生してはいたが、何かしらの理由で少なくともこの都市一帯から消え去ったか、もしくは去ったか。


 どちらにせよ、今はまだ、歩みを進めている彼女からすれば関係のない事だ。


 一切を知らず、判断する材料さえ今は何も持ち得ない彼女が、光の柱へ辿り着く事を目標として設定した以上、その過程がどれ程風変わりなものだとしても、目的地へ着かなければ、何も、始まりはしないのだから。


 目標を前にした過程は、乗り越えるもので、過程を顧みて辿る事は成功であれ、失敗であれ、結果が出て初めて最大限の効果を発揮する。真に解答へと迫りたいのであれば、焦っていては話にならない。


 ...あれから暫く、二時間程歩いた白い女性は、大通りから分岐した光の柱の方向へ伸びている道路にて、行き止まりにぶつかっていた。


 見る限りでは、つい最近その道路の一部が崩落し、行き止まりと化したようである。


 割と広い範囲の崩落であり、向こう側の高架下が数百メートル先に見え、その間に横たわる瓦礫達は自然に飲まれているようには見えず、寧ろ上から押し潰し、それらには引きちぎられ中途半端に絡まった蔓や蔦がくっついている。


 とはいえ、自身の前に立ちはだかったシンプルかつ強大な試練に対しても、彼女は大して臆する事が無かった。辿り着く為ならば、終わらせる為に。


 健気に周辺の状況を確認する彼女。落ちている瓦礫で地面との高さを認識し、右側の道路の下を念入りに観察、確認した後、最後には道路の横から下で生えている木へ向かって飛び降りた。


 時間にして約数秒間、地面に背を向ける形で落下する彼女。


 先程まで自身が居た道路から不可抗力で突き離されてゆく、そんな不思議な感覚を味わう彼女の視界は一瞬で緑に覆われた。


 その後、木の葉と枝を経由したのち、地面に叩きつけられた彼女の意識は、そこで途切れる。




 「はっ......うっ」

 .........あれから、一体どれほどの時間が流れた事だろうか。


 分からない、この星は幾ら時間が経とうとも、黄昏から日が沈まない。もちろん昇りもしない。


 そもそも時間なんてもの、最初からわたしたちが気にする必要が、急ぐ必要が、何処に有ったと云うのだろうか。最早、幾ら時間が掛かろうと、同じ事なのではなかろうか。


 少なくとも、此処ではそうなのではないかと思う。


 かなりの時間が経過したのは確かだ。だが、相変わらず光の柱は、その場に座り込んでいる白い女性の視線上に聳えたままで、彼女が辿り着かない限り、其処へ存在し続けるだろう。


 いっその事、永遠にでも待たせてやれば良い。おそらく、辿り着かないという選択を取ればそれでも良い。そのレベルなのだろう。


 気付いた頃に道路がどれ程崩れ去っていようとも、所詮、道路が去っているだけ。植物達も勝手に成長し、大きくなってゆく。


 わたしたちの、全ての都合や行動も所詮、自然の一部として、自身の一部として、宇宙は組み込んでゆくのだろうから。


 だから、そうだとしても、そうであるから、彼女は立ち上がる。ふらつきながらも、それを心配する必要がない程に、その目線と足取りは確かなもの。


 そもそもの話、時間なんてものは始めから、彼女と、その彼女が目指す目的地である光の柱との間に介在さえしていなかったのだ。


 ただ、彼女は始めから一貫して結果を待ってはいない。これだけが、彼女が歩みを止めない理由なのだろう。わたしはそう思う。


 .........そんな事があり、道路の下へ飛び込んだ結果、迷い込んだ森のようなエリアで白い女性は歩みを進めている。


 上から見たら緑色一色で埋まっていたこのエリアだが、下に降りて見ると、樹木と樹木の距離感が絶妙で、歩く分にはさほど苦がない。


 木々の合間から光が差し、至る所で花が咲き、所々木の表面に生える苔と、地表を覆う様に生える雑草が織りなす空間は、さながら絵本に描かれていてもおかしくないほどに童話的だ。


 そして、このエリアを抜けた先に光の柱の発生源がある。それの前に中途半端に倒壊した廃墟があるせいで、そこに何が在るのかまでは辿り着くまで分からない事だが、辿り着く事が出来たなら、何も知らない彼女はきっと、この長旅に見合った真実を、報酬として得られるだろう。


 旅の道のりはあと少し。差し込む光の中、彼女は曇る視界を払拭するように、手の甲で左の眼元を擦る。表情は...相も変わらず眠たげである。


 「...」

 ふと、白い女性はその足を止めた。


 彼女の眼前に現れたのは、ぽっかりと口を開けた廃墟の入り口。そう、あの光の柱を遮るように建っている廃墟の入り口だ。この先に、あれだけ目指してきた光の柱は存在している。


 望んだ景色はいつも、過程の割には呆気なく訪れるもの。彼女は辺りを不思議そうに見渡した後、廃墟の中へと踏み込んでゆく。


 そして、彼女が入った先は直ぐに部屋だった。つまり、この事実は、先程彼女が通った入り口は正規のものではない事を意味している。


 別に、それだけなら時の悪戯として充分片付く話かも知れない。


 けれど、ただ、気になるのは、その入り口が爆発物によって出来た形跡があるという事。外側から壁の内側へ、苔の生えた壁の破片が散乱している。


 さらに、それを起点に同じと思われる風穴は壁の都度真っ直ぐ続き、都合の良い事に、廃墟を貫通する一本道が予め形成されていた。


 随分と前に誰かが此処を開けたのだろう。此処が都市である以上、人が居たのは必然であるし、何も不思議では無いのだが、果たして、構造を無視し、破壊して行かねばならない程の出来事が、当時此処を爆破し、開通させた先人に降りかかっていたという事なのだろうか。


 果たして、その先人は、目的の場所に辿り着く事が出来たのだろうか。


 分からない。分からないが、向こう側の光は見える。少し、透明感を帯びた眩しい光が、このトンネルの向こう側から差してくる。


 つらつらと考えているうちに、既に白い女性はその光に向かって前進中。この道を作った誰かも、その光の先に居るとわたしは信じたい。彼女は何も、喋らないものだから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 今にも天井が崩れて来そうでヒヤヒヤした廃墟だったが、空いた風穴を全て無事に通り抜けた彼女は、いよいよ光の向こう側へと到達した。


 その場はもろに当たる眩しい夕陽が差していた。彼女も、夕陽の齎らす眼への強い刺激を警戒して、中々その瞼を開く事が出来ない様子。


 理由は、樹海の向こうの海さえ見渡せる程、この場には遮蔽物が無いからである。


 強いて言うなら、背後に在るわたしたちが先程通って来た廃墟が、この場に存在する唯一の遮蔽物だったようだ。ここから先の面に、もう、廃墟らしきものは存在していない。


 どうやらわたしたちは、地理的にずっと降りて来ていたらしい。それに、眩しいとは言ったものの、この場は同時に半透明な光で包まれていて、視界に靄が付いて回り、目へのダメージはやんわりしている。中途半端に掃除した眼鏡を掛けるとこんな感じだったと思う。


 とは言え、眩しいものは眩しい。光に慣れるのに少し時間が掛かる白い女性。


 彼女の眼が光に慣れてゆく過程で、自然と瞼は開き、視界はますます広がってゆく。その時だった。


 ポン、と、徐に、彼女の肩へ手が置かれた。


 彼女は丁度光に眼が慣れた頃。一息つく暇も無く、驚きから反射で後ろに振り向く彼女。


 その先で、驚く彼女が目にしたのは、白衣を着た学者を思わせる佇まいの女性。透明になりそうな程に白い肌、そして緑色の長髪と蒼い眼が夕陽に当てられ、その女性は輝いているようにも見える。


 そして白衣の女性は、右手でその胸元にある白衣のポケットから、スッと銀のカードを取り出すと、


 「はい、コレ。握って」

 そう言って、警戒する白い女性の右手に、安心させるように取り出したカードを優しく握らせ、


 「こっち」

 と、だけ言い、彼女の空いている左手を右手で引いて、光の柱の中心地点へと歩き出した。


 その途中で、白い女性は何かに躓きかけ、振り返ろうとするも、


 「気にしてはだめ」

 白衣の女性は白い女性を強く言葉で制止し、構わず歩いた。


 やがて、白衣の女性に連れられて、白い女性は光の柱の中心地点へと立つ。


 中心地点の地面には、人一人分を囲む程度の銀円と、その外側に描かれた半径十メートル程の銀円が在った。白衣の女性は白い女性を二つの銀円の中央へ立たせると、

 

 「どうか怖く思わないで。あなたが還る為にも、必要だから」

 そう言い残した後、白衣の女性は銀円から距離を取り、外側の円からも出た。その直後、


 [熱源感知。ピースカード認証完了。都市区画内部映像データから、知的存在証明完了。中枢区画への下降を開始します]

 円の下から発せられたアナウンス。それをサインに、二つの銀円を内包したエレベーターは地下へ向けて下降を始め、ほどなくして、白い女性の視界から、白衣の女性の姿は消えた。


 暫く経った後、下降するエレベーターからの眺めは下から上に流れるばかりの壁から、先の見えない程に広大な空間と、それに無駄なく収まる程に大きく展開されたとある巨大構造へと切り替わる。


 樹木の様な構造のそれは、薄く青白い光を放つ巨大なケーブルと、それらに元々あったであろうケーブル同士の間を、埋める様に天井から伸び、また、絡み付いた植物達が合わさって一つとなったもの。


 その、上にある都市を支えている様はまるで、脳を支える人間の中枢神経系、または九つの世界を繋げ、支える、北欧神話上の巨木、ユグドラシルを彷彿とさせてくる。


 そして、そんなこの星に於ける世界樹、もとい神経の根幹へと至る為に、エレベーターは、度々下降線上の植物達を引き千切りながら、構わず降りてゆく。最初で最後の、唯一人の客人を乗せて。


 ...ひたすらに降りたエレベーターは、やがてとある足場の窪みにピッタリと収まって、遂にその下降を停止した。真の意味での終着駅、ゴールに辿り着いたから。結果的に片道切符となったとしても、エレベーターと云う役割さえ、同時に停止している。


 もう、それは、今は彼女の足場で在っても、ただ、なんの仕組みもない其処に在るだけの物質である事に、変わりがないのでしょう。何処かの誰かが、祈るように届こうとしたそれの役割は、呆気ないようで、永く、たった今、終わった。


 けれども、この星そのものに導かれ、全てによって運ばれて来た白い女性。彼女には、彼女が今まで、此処で見てきた全てが架かっている。故に、彼女がやるべき事は最後に...


 [対象者、降下完了。ダイレクトアクセスポイントを起動します]

 正面に聳える大樹から、アナウンスが発せられた。それと同時に、彼女の正面にある巨大なケーブルは、自身に絡まった植物を、下降時のエレベーターと同じく、無機質に強引に、横へ千切りながらその表面を割ってゆく。


 割った後、彼女の、その目線の先。ケーブルの、その剥き出しとなった回路には、仄かに白く発光する、中心が四角く欠けた銀の円盤が一つ。


 彼女が今立っている、その足場は、裂けたケーブル表面の方では無く、しっかりとケーブル内部の回路と接続されていて、それこそ、誰もがその場へ到達する事を許されているかのように、道が続く。


 だからこそ、導かれるままに彼女は歩み出す。直線距離にして、およそ百メートル程の距離が、彼女にとっては永く、重く感じる。僅かに、彼女の瞼に籠る力が、それを物語る。


 望まれたもの、その手に託されたものが何であるのか、彼女は理解しているから。


 その手元で銀に光るロープを以て、全ての幕を下ろす事。目に見えていたもの、それさえも越えて、漸くその時が来た。


 銀円の欠けた箇所へ、白い女性は白衣の女性に託された銀のカードを翳す。カードはカチッと、金属に貼り付く磁石のように、あっさりと欠けた場所へと嵌った。


 そして、その瞬間。銀円からは、まるで心臓を始めとして全身へ伸びる血管のような、白く輝く光の回路がケーブル内部の回路へ、更には彼女の今立っている足場へ、絡まる様に展開されて、空間を揺らす機械音と共に、全ての終わりを告げるアナウンスが鳴り響く。


 [ピースカードデータ解凍を開始します。プログラム、データ解凍完了。ピースカードデータ完全解凍完了。実行します。只今より、宙間航行都市◾️◾️◾️◾️◾️は、プログラムNo.000自壊プログラムを開始。対象者へ、ピースカード設定座標へのワープを決行します]


 彼女の足下で光る回路が、より一層の輝きを放つ。やがて、その輝きは、彼女そのものを飲み込んでしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 輝きに包まれた途端、もう、其処は、あの場ではなかった。けれど代わりに、やたら見晴らしの良かった、懐かしく感じるあの景色が、わたしの眼の前に広がっていた。


 ふかふかで心地良かったあの木の根元。この寂しい世界の、想像を絶する幻想的な一望。辺りに飛び散った植物達の残骸。もう存在しない光の柱。


 そして、あの鋭い夕陽はもう無くて、偽りの解けたその空には、時を追うごとに、大きくなってゆく光の星。


 地面から伝わって来る僅かな振動が、この星は緩やかに、中心から外側へかけて崩れてゆく事を、わたしに教えてくれている。


 ...わたしの背後で回転している天球儀のオブジェもまた、光を放ち、段々とその輝きを強めてきた。


 わたしが此処に居られるのもあと僅か。感慨深く、この世界観を眼に焼き付ける工程で、ふと、わたしは思う。


 (あの時、わたしが足に引っ掛けたのは...多分...)

 そんな中、光はより一層強くなり、わたしが振り返った瞬間、わたしの視界は光で埋まった。


 夢のように、ただ儚く崩壊して消え去ってゆく幻想は、確かな生命の力で装飾された調和の都市。


 今日の夢は、ここでおしまい。

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 朝、起きた直後に、眩しい朝日がわたしの眼に飛び込んできた。


 昨日は今年で初めて雪が降ったから、出来れば今日もそっちの方が特別感があってよかったけれど、まあ、こっちもこっちで安心するし、良いかな。


 午前八時三十分土曜。いつもの癖で時計を見る。


 睡眠時間十二時間半。段々と、寝てる時間が増えてきている気がする。でも、まあ、あれだけの夢だとこうもなるか。


 ...体が上手く動かない、ベッドから降りた瞬間に転んでしまった。


 立ち上がれない。精神と身体に、まだズレがあるような、何なら精神も統合されきっていないような、そんな感覚。夢日記を書くのは、感覚を戻して一息入れてからにしよう。


 あの忌々しいレポートは既に終わらせてあるから、この休日はもう、わたしのもの。後は提出して修正稿を出せば、この一連のコマとさえもおさらば。清々するわね。


 ...『創作サークル』活動開始から二週間。流石に平日は色々と無理があるけれど、休日の分の夢は全て日記に書くようにしている。


 今回の夢はどう書こうかしら。悩むけれど、まあ、書く。案外これ、思ったよりやってみると楽しかったのよね。何故か。


 そもそもの話、頭の中で浮き続ける、割れないシャボン玉のように。わたしにとって、その記憶は残り続けるものなのに。


 どうしてだろう。常に手元に在る方のせかいを、書き残す...意味...は...


 ......もう、なんか、疲れた。明日は外したくない予定があるから、それだけ忘れないように。


 あとはのんびり、書きながら過ごそう。


 やっぱり、手書きに限るのよね...

 

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夢郷現録 五時ノ 抹茶 @gozinomatcha

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