第5話
目を覚ますと、霊安室だった。
彼に手を伸ばすが、何も掴めないまま私の手は地面に落ちた。お通夜の日も葬式の日も彼は私の棺の横にじっと座っていた。
7月7日。
織り姫と彦星が会うことを許された日。
彼は海に花束を投げた。
真っ白なかすみ草。
可憐、無邪気
相反して漆黒の瞳をした彼。
私は彼に触れることも許されない。
言葉の代わりに、海のさざ波になって彼に届くはずもない音を奏でる。
「ありがとう」
今年も彼はギターを片手に堤防に佇んでいる。
7月7日 tomomi☺︎ @tomomi_09
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