第6話 覚醒

太郎は幸せの絶頂に至った瞬間、目の前が真っ暗になった。目を覚ますと、そこは宇宙船の中の見慣れた天井だった。太郎はこれ迄の事が全て夢だった事を悟った。だが、どこからが夢でどこからが現実か太郎はわからなくなった。気が狂いそうになりながらも、また辛く苦しい日常に太郎は戻っていった。


そして、また太郎は夢から醒める。まるで玉葱の皮を剥き続けるように、どこまでも夢…太郎はついに精神に異常をきたし命令をこなすだけのロボットになった。


命令をこなすだけの日々がどれだけ続いただろう、太郎はカンリョウがおかしくなった事に気付く。カンリョウは太郎に冷たくなり、太郎に無理難題や危険な任務を命じた。カンリョウは本当の敵になった。太郎はカンリョウが嫌いになった。


ある日、太郎はカンリョウから危険な船外作業を命じられた。命令に従い作業をする太郎だったが足を滑らせ宇宙船から落ちてしまう。命綱も着けていなかった為、どんどん宇宙船から遠ざかって行く太郎、だがカンリョウは何もしなかった。その後太郎を見たものは誰もいなかった。

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太郎の夢 根なし草 @onionmaste

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