桜舞うたび切なさつのる。

華やぐ街角に置き忘れた思い出が、

花の香とともに溢れてくるから。

硝子の季節の過ちも、

交わした幾千の言の葉も、

怒りも涙も浅はかな夢も、

全てが彩られ、

愛おしくなってしまうから。


出会いも別離も全て桜とともに。

時は流れていく。


桜舞うたび切なさつのる。

裸の心を持て余したいつかの夕暮れが、

花の香とともに癒されてくるから。

大切なものをなくしたことも、

なげやりに放ったことも、

壊したことも捨てたことも、

全てが寛され、

新たな季節を運んでくるから。


始まりも終わりも全て桜とともに。

取り戻せない夢はない。

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詩集 ~街~ 由上春戸 @yugamiharuto

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