第20話 力の差

俺は戦っている2人目掛けて走っていく

学園の敷地内で2人の激しい戦いが続いている

しかし、2人が戦って時間が経っているというのに他の人がこの戦いに気付いている気配がしない

普通こんなに激しい戦いであればすぐ気付く筈だ。

戦いは互角、この戦いには春太はついてはいけない、レベル自体が違う


「取り敢えずルミアを倒さないと!!」


戦っている2人は迫ってきている春太に気付いていない

2人の殺意が伝わってくる、2人の剣がぶつかり合う度に余波が伝わって吹き飛ばされそうだ

春太は激しい戦いの余波に耐えながら右手を前に突き出し唱える!


「ヘルフレイム!!」


大きな火球が2人目掛けて、いやルミア目掛けて飛んでいく

発動されたヘルフレイムを見て2人は春太が戦いに参加した事に気付いた。

レイはこの攻撃は自分に向けられている物ではないと気づきルミアから距離をとった。


「私狙いか、まぁそうだろうね」


攻撃はルミア目掛けて飛んで行く、だがルミアは不気味な笑みを浮かべその場から離れようとしない、避けるまでもないと言っているようだった。

ヘルフレイムはそのままルミアに命中した

大きな爆発音と熱波がレイと春太に伝わる


「当たった、やったのか?」


「余計な事をするな!」


「ごめん、」


春太は気付いていたあのまま2人が戦っていたら確実にルミアが勝っていた。

レイは全力で戦っていた、だがルミアには余裕があった戦っている最中も笑いながら剣を交えていた。


「ごめん、だけどあのまま戦っていたらレイ殺されてたよ」


「!?」


レイ自身はその事に気づいていないようだった

嫌な予感がするあの屋敷の時と同じだ

ルミアは何かを隠している


「レイ、俺嫌な予感がするんだ、何かは分からないんだけど多分このまま2人で戦っても勝てない」


身体が震える、あの時と同じだ

恐怖で身体が重くなる


「ハルタはよく分かってるね、2人で戦っても私には勝てないよ絶対」


爆発の煙の中からルミアが笑みを浮かべながらゆっくり歩いてくる

見た感じ全く春太の攻撃は効いていない

力に差はあるがここまでとは春太も思っていなかった。


「まさかここまで差があるとは思ってなかった」


「ハルタ君ごめん、君を敵と言ってしまって」


謝る事ではないレイも親の仇を取りたくて必死だったのだろう


「いや大丈夫だよ、俺は敵じゃない、だから2人でルミアをなんとかしよう。」


「2人ともやる気になった?第二ラウンド始めよっか?」


春太とレイは再び構える

先程とは明らかに雰囲気が違う、目の前に巨大な猛獣が立っているような感じ

少し動いたら一瞬で命を取られる感覚

夜の学園に重い空気が漂う、気を抜いたら押し潰されそうな程の威圧感

戦う前から結果は決まっていた、俺たちに勝ち目はない事。


「すごい威圧感だ、押し潰されそう、」


「ハルタ君戦えそう?」


「正直ちょっと無理そう、ここから一歩も動けない、」


一歩一歩ルミアがこちらに近づいてくる

歩いて近づいているだけなのに近くなるにつれ恐怖が増していく。


「逃げてもいいよ、逃げれるならね」

















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世界を変える者達 東西南北 @yuhnnda

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