1-1.5-2 仕事

 連絡が入ったのは俺が、早めの夕食を食べようとカップラーメンにお湯を入れようとしたときだった。どうやら中学生が行方不明になったという物であった。たまにそういう話が来るが夕方にそういう話が来るのは始めてじゃないかと思った。上司から「今日お前当番だから行ってこい」という理由からその自宅に行くことになった。お湯を入れる前に連絡があってよかったなと思いつつ俺は同僚とともに自宅に向かった。

 自宅に到着して、両親から話を聞いて見るとどうやら午前中に出かけたきり連絡が取れなくなったらしい。彼は中学生であったがスマホを持っており電話に出ないどこに行ったかもわからないということだ。よくよく聞いて見るとお使いを頼んでいたらしくもしかしたらスーパーに行ったかもしれないという情報を手に入れた。

 私は同僚と相談して誘拐の可能性もあると思い署に連絡を取った。その後は、念のため中学にも連絡を入れて情報を探した。休みの日であったが担任が署まで来てくれて学校で緊急メールの配信までしてくれた。そこから1つの有力情報が来た。

 俺は、同僚と一緒に行方不明となった土本孝義にあったという少年の家に向かった。彼から話を聞いてみると午前中に本屋で彼と話したという事だ。その裏を取るために彼とあったという本屋に行き防犯カメラを確認した。映像では、2人が話していると思われる映像が確認された。念のために両親と友達に映像を見てもらったら間違いないということで彼がここに来たことがわかった。そこからは数名の同僚とともに防犯カメラを探すことになった。本屋にいた時間がわかったため、映像の確認するのは時間がかからなかった。また、別の班では、彼の自転車が近所の神社で見つかったと報告があった。

 俺は、日付が変わるころに両親に現状を報告するために自宅に向かった。

「・・・ということで現状だと神社からどこに行ったのかわかっていないです。誘拐なら犯人から連絡があると思いますがどうですか」

「今のところ何も連絡がありません」

 父親がそう答えてくれた。母親は泣き崩れていて話すことができない状態であった。今後どうしらたよいのかアドバイスを送って俺は署に戻った。

 自分の席に戻って机の上にカップラーメンがあったの見て、夕食を食べていないことに気が付いた。

「やっと飯食えるな」

 そういいながらカップラーメンにお湯を入れた。

「今日は厄日にならないといいですね」

「そうだな。」俺は同僚とともに遅めの夕食を取った。


 *****

 中学生が行方不明になって1週間たった。最初は情報がいろいろ入ってすぐに解決すると思われたがすぐに情報が途切れてしまった。時々、祖母が署に詰めかけてきて愚痴を話して行く。大体最後は「給料泥棒、仕事しろ」そういって帰っていく。時々、父親が謝罪しに来てくれるがその父親の顔は日に日に覇気がなくなってきている。俺もほかの仕事がない間に情報を探したりしている。どうやら、友人がSNSに情報を流していたらしくネットにはいろいろな書き込みが書かれている。どの情報も信用できる内容ではないのでほとんど無視している。

「先輩、SNS見ているんですか」後輩が俺のスマホを覗いてきた。

「こないだの行方不明の情報ネットに流れててな」

「そうなんですか。最近の子ってなんでもネットに出すけども怖いですよね」

「俺たちもまだ若者じゃないのか」

 俺も後輩もまだ20代だった。

「20代と10代って違いますよ。俺ぎりぎりガラケー使った世代ですよ。俺の少し下はすぐスマホ使っているんですから」

「確かにそうだな」

 後輩と話していたところ上司から招集がかかった。

「えーと先週あった土本孝義の行方不明についてだけども今後情報を捜索するな。以上」 

 そういうと上司は全員を解散させた。

「待ってください。なんで捜索を中止するんですか」

「違う。捜索中止ではなく情報すべてを公表するな」

 上司は何か察してくれという感情をしながら俺に話していた。

「何かあるんですか」上司はいやいや話してくれた。

「公安が動いている。俺たちがここでお役御免だな」

「公安ですか」

 俺は物事がかなり大事になっていることを理解した。

 その後、俺はためにSNSを見たが行方不明の情報が消されていたことがわかった。これ以上、関わると何が起こるか怖くなりこれ以上関わるのをやめた。



************

 一週間いろいろ大変であった。

 まずは、妻が精神科に入院させた。息子が行方不明となり情緒不安定とあり入院が妥当と診断された。お袋はあんな母親がいたからタカが出てって行ったんだというわけがわからないことを言い始めたりして俺の精神もかなりダメージが大きくなってきた。お袋は妹が連れ帰ってくれた。俺は、一人で自宅にいた。警察にもお袋を迎えに言ったらり、情報を聞きに行ったが情報は何もなかった。

 何もやる気がなるなっなか自宅のインターホンがなった。インターホンに出てみると警察と言われて俺は何か情報が来たと思い玄関を開けた。そこに立っていたのは今まで見たことない若い男であった。彼をリビングにあげると話を進めてくれた。

「私、担当外の者ですが署のなんかで噂になっていまして伝えないといけないかなと思いまして」

 男は何か言いずらいような感じで話を始めていた。

「教えてください」

「実は、孝義君の捜査なんですが打ち切りになるそうです」

「どうしてなんですか」

 俺は警察が探さないという何故なんだという思い出男性に叫んでしまった。

「どうやら公安が動き始めたらしいです。私もこれ以上はわかりません。」

 そういわれ公安ってドラマの中の話だよなと思いつつタカがとんでもないことに関わってしまったと理解してしまった。

「ところで奥さん入院したって聞いたけども旦那さん大丈夫ですか」

「私はなんとか大丈夫ですよ」

「そうですか。お大事にしてください」そういって男は帰って行った。私はこの後数日間何をしていたか記憶に残っていない。

******

 「これで父親も当分動かないだろう。戻るか」そういって彼はスマホを操作すると目の前に光の扉が出来た。

「戻りますか」

 そういって彼は光の扉に入っていった。

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