入場

目を覚ます。場所はバスルームのまま、どうやら変な夢を見ていたらしい。


俺の名前はフッテージ。両親共に殺し屋をしていて、その流れで私も殺し屋をしている。どうやら両親はかなり腕の立つ殺し屋だったらしく、俺が今いる組織も父が設立した組織らしい。

なぜ、ここまで他人事なのか至って簡単、両親とほぼ顔を合わせていないからである。父さんは組織に入るときに会った程度で同じ組織にいるにもかかわらず会えていない、なんなら避けられているような気がする。母さんに至っては記憶にないレベルである。この話は俺の上司であり、親代わりのようなものであるアニマスさんに聞いたものだ。

そんなこんなで家がないからこんな廃墟に住んでいる。汚いけど俺にとっては安心する場所だ。


ぼーっと天井を見つめていた時、なにやら扉の奥から声がする。警戒態勢に入る、左側においてある銃を手に取る。

ここは廃墟だ、人なんて滅多に来るもんじゃない、来るなら心霊スポット巡りをしている人、もしくは俺に何かしらの因縁がある奴だろう。

ドアに耳を当てる、とりあえず何を言っているのか聞き耳を立ててみることに。


「____に囚われて__ません、自__信じるものだけを信じなさい」


拍手のようなパチパチ音が聞こえる、会話の内容から察するにどっかの新興宗教がきたのか。そう思って扉に手をかけ、奴らに「こんなとこでやんな」と怒鳴ってやろうと思ってたその時、会話の声が大きくなり頭が痛くなる。

「なんだこれ、頭に響く声だ…」

どんどん頭が痛くなり、立つことがおぼつかなくなる。声もはっきりと聞こえるようになっている。

「人は縛られてはいけません、他人が決めたことに従う理由などないのです。己の欲っするものを抑えてはいけません。理性など枷にしかなりません、所詮は我慢。いつかは壊れるもの。他人が作り出した神など崇めなくて良いのです、自身の中にいる神だけを崇めればいいのです。それならば裏切ることはないでしょう。

私は自身の教えを皆さんに言うだけです、私自身は何も欲しません。それが私の本当にしたいことだからです。」


だんだんと意識が遠くなっていく。声がどんどん聞こえなくなっていくが意識がなくなる瞬間、しっかりと聞こえた言葉があった。


「人間を人間らしくするために」


意識は途絶えた。

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シロの求めた世界 どこぞの山田さん @sekainoyamada

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