「わたしの作品をよろしくお願いします! たくさん星をください!」
このような、あからさまな営業活動で高評価を獲得することは、恥かしいものとして映りがちだ。
それでなくとも、日本人は自分を売り込むことに対する含羞が国民性として強い。
「わたしの作品ってこんなにも素晴らしいでしょ~?」
それはまるで、
「わたしってこんなにも正直者の善人でしょ~?」
と宣伝して回っているのと同じだ。
そして大方、そんな振舞いをする者は正直者でも善人でもない。
善意の押し売りと同じように、中身のない過剰な宣伝はうざい。
かえって読みたくなくなる。
これを逆手にとり、この人の作品を読め読めと暑苦しくゴリ押しすることで、潰したい人間に悪印象をつけて蹴落としていくという方法があるのだそうだ。
いやらしすぎる。
かといって、ただ投稿するだけでは、大海原に流れ去ってしまい誰の眼にもとまらない。
自分で宣伝したり営業するのは恥ずかしい。そのレベルにまだ自分の作品は達していないから。
こう考えてしまうのは内省的な物書き諸君のサガであって、つい、そうなってしまう。
だが、カクヨムには自主企画という素晴らしいコンテンツがある。
書き手同士で交流も出来る。
ほんの僅かでも一歩を踏み出すことで、読者が増えるという経験をしてみても損はしない。
そう、損はしないのだ。
後は星の数に関係なく、厳しい眼を自分が自作に対して常に向けていればいい。
過剰な宣伝は誇大広告のように反感を生むが、適切な宣伝ならば、「好きな作品かもしれない」と人は振り向いてくれる。
そして読んだ人がレビューを寄せてくれるならば、それに釣られて、また新しい読者が増えるかもしれない。
対人関係に付随してくる煩わしさを回避する人であっても、自分の作品をわが子のように大切に想うのならば、大切に育て上げた作品を旅に出し、なるべく人前に出してあげることは、最低限の書き手の心構えではないだろうか。
生みの親である書き手のあなたがそれを嫌がっていたとしても、作品は、きっとそうじゃないよ。