堺田重則として

正直なところ信太郎が刺されたという報告を受けた時、俺はやっと事態が動き出すのだと考えてしまった。


始まりは2年前、堺田探偵事務所は閑古鳥が鳴く状態が続いており、そんな状況を見兼ねた探偵の師匠である北島さんから声をかけてもらい北島探偵事務所の仕事を手伝っていた。

そんなある日、とある調査が舞い込んできた。

「産業スパイ?」

ドラマでしか聞いたことない言葉が耳に入ったので俺は思わずその言葉を反芻してしまった。

「そうです、産業スパイがいると思うんですよ」

依頼者である加村さんはそう言い切った。

加村さんは株式会社ベルテットという会社で経理として勤めている。産業スパイが潜り込んでいる可能性があるので自分の会社に潜入調査をしてほしいという依頼内容だった。

潜入調査となると相当な技量を要するのであまりやりたがる人間は居なかったが、一人だけそんな潜入調査を得意としている人間がいた。それが北島探偵事務所に所属している椎名真という男だった。彼は人間観察と模倣が得意でありこれまでも何度か潜入調査を経験していた。

潜入調査をする際、バックアップ要員としてもう一人欲しいということで俺が何故か指名された。とはいえ師匠であり今の生活を助けてもらっている北島さんに逆らえる訳もなく俺は二つ返事でそれを了承した。

株式会社ベルテットは創立して5年も満たない新興企業だ。主に国内外のジェネリック医薬品を専門に個人経営の病院に卸している会社なのだが依頼者である加村さんは直近2ヶ月間、売上が著しい減少傾向にあることを疑問を感じていた。昨年の同じ時期と比較しても減少が著しいことから季節柄といった話でもないとのことだ。心配性の彼女はベルテットの価格情報を外部に漏洩している人がいるのではないかという思考に至り、北島探偵事務所に依頼したという流れだ。彼女からしてみれば居ないという報告を受け自身の心配は杞憂であったと自分自身を安心させる目的もあったのだろう。

調査を始めてから1ヶ月後、椎名からベルテットで営業をしている瀬古条が怪しいという報告を受け、俺と椎名はその人物の調査に焦点を当てた。

すると彼には姉が一人居たが、瀬古が中学生に上がる頃、病気を患ってしまい程なくして姉を亡くしたという過去があったことが判明した。その後の経歴を見ると大学を出てからというものいくつかの会社を転々としていた。そのどの会社も医薬品関係の品を取り扱う会社であった。

調べれば調べるほど怪しい人物であった。決定的な証拠を掴むべく尾行をすることになったが椎名はベルテットに潜入調査をしているのでもちろん顔が割れている。そうなると必然的に俺が瀬古の尾行を担当する形になった。

決まったその日には俺は瀬古の尾行を開始した。道路を挟んだ向かい側のビルには喫茶店があるのでそこから監視しても良かったが定時後ともなると道が人でごった返すのでエントランスの影に潜んで瀬古が出てくるのを待った。すると程なくして瀬古の姿を確認する。俺は間に一人挟んだ後方部から瀬古の動向を見守った。

その日は週末にあたる金曜日だったが居酒屋には目もくれずまっすぐ駅に向かうとそのまま電車に乗り込んだ。そのまま帰宅するのだろうか、そう考えていると2駅目でその電車を降り別の路線の電車に乗り込んだ。俺も遅れをとらないようすぐに乗り込んだ。すると先程の電車よりも人気路線なのか人混みが多く瀬古の姿を一瞬見失ってしまう。辺りを見回して姿を確認するもやはり姿が見えない。人混みをもう少しかき分けれ瀬古の姿が確認出来るかもしれないと考え少しずつ歩みを進めていくとふいに手を引っ張られる感覚がした。

「ちょっと!!人の物盗むんじゃねーよ」

身に覚えのないことを言われ困惑していると次の駅に到着し、電車のドアが開いた。それと同時に腕を引っ張られ電車から降ろされてしまう。腕を引っ張る男性に冤罪だという弁明をするも耳を貸す様子もなかった。腕を引っ張る力が強いこともありするすると改札まで来てきしまったのでそのまま事務所に引き渡されるのだと考えていたがそのまま改札を通り過ぎる。

「本当の目的は何ですか」

目の前の男を怪しんだ俺はそのまま男に尋ねてみる。しかし、男はただ黙って腕を引っ張り続けた。

トイレまで来たところでようやくその腕から開放される。

「この駅のこのトイレなんだが意外と来るやつが少ないんだよな」

男は笑みを浮かべながらそう言った。

「本当の目的は何で――」

そう言いかけたところで顔半分を覆うように布が被せられた。すると途端に意識が遠のき力なく地面にへたり込むのだった。

再び目を覚ますと無機質な壁に囲まれた部屋に手足を縛られた状態で居た。目の前には瀬古が立っていた。

「お前の尾行バレバレだったぞ」

そう言って思い切り俺の顔を蹴った。

「別にそのまま海に捨てても良かったんだが最近イライラしててさ、ちょっと殴って発散させてくれよ」

今度は振り上げた拳をそのまま俺の顔に振り下ろした。俺は叫びたいほどの怒りと不安に苛まれいたがそれを押し留めて瀬古に質問を投げかけた。

「…なあ殺される前に一つ聞いてもいいか」

「何だ?」

「単独って訳じゃなかったのか」

「確かに一人だと思っても不思議じゃないな、現にベルテットを陥れてるのは俺一人だし」

「それは…どういう」

言いかけたところで突然、部屋に一人の男が入ってくる。顔を見るに先ほどの男とも違っている。

「女の方はどうします?」

男がそんな発した言葉に思わず反応してしまう。

「まさか、加村さんか!」

「だったら何だよ」

瀬古から腹部に目掛けて思い切り蹴りを浴び、咳き込んでしまう。

「で、どうしますか」

「あの女、余計な真似しやがってよ。爪ぐらい剥げば懲りるだろ」

瀬古がそう指示すると男は薄ら笑いが浮かばせながら部屋を出ていった。

「実は俺が全部始めたんだ、だから加村さんは悪くない。開放してほしい」

「いやいや、何言ってんだ?加村がお前らに相談したんだろ。じゃなくても前から数字に厳しかったからいずれ遅かれ気付いて行動してただろうよ。全く余計な事しやがって…」

「頼むよ、頼むから。俺はどうなっても良い、これ以上加村さんに何もしないでくれ」

俺は懇願するかのように瀬古に言葉を投げかけるもスルーされるのみだった。瀬古はため息をつきながら再び俺を蹴ろうと脚を動かしたその直後――

ギィッ

部屋のドアが開いた。瀬古もその音に気付きドアの方を振り返った直後、衝撃が加わり倒れ込んだ。

「大丈夫か!堺田!」

声をかけられその方向を見ると、そこには北島さんが立っていた。

「北島さん…ありがとうございます。というか、何でここにいることが分かったんですか?」

すると扉の方から見知った姿を見せた。横には憔悴しきった様子の加村さんが居る。

「椎名!加村さんも!」

「椎名に感謝するんだな。どうやら用心の為にお前の服にあらかじめGPSを仕込んでたみたいだぞ」

北島さんが俺の縄を解きながらそう言ったので、着ていた服を触ると確かに上着のポケットの中に何やら機械が入っているのが分かった。

「大丈夫ですか、重則さん!」

「何とか。でも本当にありがとう、君のGPSが無かったら俺も加村さんもどうなっていた事やら」

「いえいえ、用心するに越したことはないですから――」

「ふざけんなよ」

瀬古が怒りで震えた声でこちらを糾弾した。

「加村ァ、ほんとに厄介な事してくれたな」

瀬古の視線が加村さんを捉えて一歩踏み出した。北島さんも椎名も同じ事を思ったのかほぼ同時に俺を含めた三人が瀬古を抑えるために動き出す。


その時、瀬古の動きが止まった。大きく目を見開いたと思えば、身体を震わせて口から泡を吹き出し始めてその場に倒れ込む。その異常な光景に椎名がいち早く動き、倒れた瀬古の手首に指を当てる。

「とりあえず死んではないみたいです」

もしや、と北島さんも瀬古に近づいて腕を見る。

「あぁ、やはりか」

そう言って腕時計を指差した。

「一見、腕時計に見えるんだが遠隔操作で強力な電気ショックを流せるって代物だな。確か、最近話題になってる犯罪コミュニティの奴らが身に着けてるとか何とかって聞いたことあるな」

「そうなってくると他の奴らも同じ様になってるかも。ちょっと見てきます」

椎名はそう言うと早速、部屋から飛び出して他の部屋に居たであろう瀬古の仲間の様子を見に行くが、さほども時間もかからずに戻ってきた。

「やはり皆同じ状態でしたね」

「そうだよな。で、ここからどうするかなんだが…」

北島さんの視線が倒れた瀬古に移り、一同の視線も自然とそちらに移った。その時、瀬古が目を覚ます。周りを確認してから上体を起こすと瀬古がゆっくりと呟いた。

「…ここはどこ…なんだ?」

「え?」

俺は瀬古の言葉の意味が理解出来ず困惑してしまう。

「やっぱりか」

「ど、どういう事なんですか」

「さっきの電気ショックで記憶障害になったんだろう。今までもこうすることによってこの組織の母体の秘匿性を保ってきたんだろうよ」

「となると瀬古の事件の記憶も失われてしまったんですね…」

「そういう事になってしまうな。…もしかしたら何らかの行動がきっかけになって記憶が取り戻されるかもしれないが、希望薄なのは変わらないな」

「ですよね…」

「あ、あの」

そこでここまで事態を静観していた加村さんが口を挟んだ。

「私はもういいです。ここまでの代金も後日支払います、なので…もうこれ以上関わりたくありません」

彼女は声を震わせながらそう言い切った。ここでやっと彼女の手の爪が何枚か剥がされていることに気付いた。こんな状態ともなれば肉体的にも精神的にも大きなストレスになるのは想像するに容易かった。

「こんな事態を招いてしまって大変申し訳ないです」

俺は加村さんに頭を下げた。

「ま、ずっとここに居てもしょうがないしそろそろ戻るか」

北島さんが空気を察してそんな提案をした。話し合いの結果、北島さんは加村さんを病院まで送っていくことになり、俺と椎名で瀬古を始めとした面々を警察に明け渡すことになった。

北島さんが加村さんを連れて去った後、次々と瀬古の仲間達が同じ様に記憶を失った状態で目を覚ましいく中で、俺は椎名に恐る恐る一つ提案をした。

「椎名、頼みがある」

「何です?」

「瀬古を家で預からせてくれないか」

その時ばかりはいつも冷静な椎名が驚愕している様子が伝わってきた

「何考えてるんですか」

「いや、ごもっともな意見だと思う。でも北島さんがさっき言ってただろ、もしかしたら記憶を取り戻すかもしれないって、だから俺が預かる、ちょうど一軒家も買ったところだし部屋はある」

「そんな無茶な…。記憶を取り戻したところで野蛮な男ですよ、ご家族になにか被害が被るかもしれません」

「その時は、俺が対処する。絶対に」

俺の決意が揺るぎそうにないと察して椎名は呆れたようにため息をこぼした。

「北島さんに知られて何言われても警察に取り締まられることになっても俺は関係ありませんから」

「それで良いんだ、ありがとう。あ、それと…」

「何です?」

「これは俺からの依頼だ、引き続き瀬古とその周辺について調査を続けてくれないかな、もしかしたらそこから今回の事件やこの裏にいる組織について分かることがあるかもしれないし」

「そこは奇遇でしたね、個人的に調査を続けようと思ってたところです」

そこでパトカーのサイレン音が聞こえてくる。

「まずいな、瀬古を連れて出ていかないと」

「今からここ出たって警察に怪しまれるだけですよ、それよりも良いほうがあります。実は警察に知り合いの菅谷さんって人がいるんです。多分、この現場に来ると思うので協力してもらいましょう」

「椎名って何者なの」

椎名がその言葉に笑って答えるばかりでより彼の謎が深まった気がした。

椎名の言葉通り、現場には菅谷という刑事がやってきた。事情を説明すると菅谷はパトカーに瀬古と俺を乗せて家へと向かった。

家に着くと、香子が驚愕して開いた口が塞がらないといった状況だった。幸い明梨が学校に行っていることもあり事情を説明して説得を試みた。渋々といった様子だったが何とか了承を得たが、次に明梨にどう説明するかということで話し合いをしようとしたその時、携帯電話が鳴った。画面には「椎名」と表示されている。

「もしもし、任せてきちゃった。ごめんね、どう?何かあった?」

「それは全然大丈夫です、ただちょっとまずいことになりました」

椎名からの言葉に冷ややかな汗が吹き出す

「と言うと…?」

「重則さんが行った後、監禁場所を見て回ってたんです。そしたら奥の部屋に一台ノートパソコンが有って画面には加村さんと重則さんの顔写真がそれぞれ映されてました。このままだと危ないかもしれません、北島さんの方にも連絡してみます」

電話を切った俺はじっと香子を見つめた後、椅子から立ち上がって後恐る恐る香子に話を切りだした。

「ごめん俺、この後出かけるけどしばらく帰ってこれないかもしれない」

俺は正直に香子に伝えた。もちろん、香子は驚愕するがそこには怒気が感じられるようだった。

「どどういう事なの」

困惑する妻を横目に家族に被害を及ぶ事に恐怖を感じた。このままどこかに家族共々高飛びした方が安全なのではないかと一瞬考えたが結局、俺が規模も底もしれない犯罪組織に割れてる事を思うと俺が単独で行動するのが良いのだろう。そうとなると居ても立っても居られなくなり自分の最低限の荷物をすぐにまとめ始めた。

「あの子に連れてきた人、どう説明したら良いのよ」

「それなら、俺の隠し子で明梨の弟…名前は信太郎、堺田信太郎って事にしよう」

「はあ?ちょっと自分が何言ってるか分かってる?」

おかしな事を言ってるのは俺も分かっていたが俺の頭にそ何かを思いつけるほどの余裕が無かった。

荷物を急いでまとめ終え、玄関に立ってから改めて香子の方を見る。

「本当にごめん、事態が収まればすぐに戻る。それまで明梨と、瀬古…じゃなくて信太郎もよろしく頼みたい」

「やっぱり本気で言ってる?」

香子は既に諦めた様子でため息混じりでそう言った。

「緊急性の連絡があればすぐには行けないかもしれないけど何とか駆けつけるから、だから頼む」

俺は香子に頭を下げた。はからずも出会った時のようになってしまう。

「…そういえば、そういう人だったわね。いってらっしゃい」

そんな妻の言葉を後押しにして俺は、家族の前から姿を消した。

それから、俺は椎名とたまに北島さんと連絡を取り合い瀬古とバックの組織について調査を粛々と進めていた。

すると意外な事実が判明した。組織側でもあの日以来、姿をくらました瀬古の行方を追っていたのだ。死んでいるとしても恐らく自分たちでしっかりと確認したいのだろう。信太郎として名を変えた瀬古はというと、香子が事情を知っていることもあり家から出さないよう徹底していた。その甲斐あってか何とか行方を組織に知られずに何とか生活を送れているようだった。明梨はというと、無責任な父親に影響されてしまったのか、高校を数ヶ月で退学して、それから近所のショッピングモールにあるアイスクリーム屋で働いていた。

事態は膠着状態のまま、それぞれどこかが音を上げてるのを待ち望んでいるようだった。そうして2年が過ぎたある日、事態は急速に動いた。信太郎が小阪征也に刺されて病院に運ばれたのだ。俺はそれを知った時、家族を心配する気持ちと同時に膠着した状態がやっと動き出したという考えが浮かんでしまった。きっとこれで信太郎という名前だが瀬古が生きていることが分かるので彼らはそこに接触してくると考えた。

そういう事なので病院を見張ることにした。椎名にもその事を聞かせると病院を見張る役を彼が買って出た。最近、護身術として武術を習っているらしくそれを試したいという事だった。


道を進みながら2年間の様々な思い出が回想していると、遠くの不自然な位置にブレーキランプの光が見えた。

近づくと見覚えのあるセダンと黒いハイエースのようなワゴンが連なるようにガードレールにぶつかっているのが分かった。ブレーキ痕が夜の街頭から分かるほど色濃く残っていることからブレーキをかけたものの速度を殺せずそのまま突っ込んでしまったのだと予想出来る。

俺は車を降りて手前にセダンの方に急いで近づいた。やはり運転席にいたのは椎名だ。

「大丈夫か!」

椎名に声をかけるが、返事はない。目の焦点が合っておらず口が開いているのから察するに事故を起こした衝撃で放心状態なのだと思う。

とりあえず安全を確認した俺は次にワゴンの元へと駆け寄った。おい!と声をかけながら後部座席のドアを思い切り開ける。

中には看護師の格好をした男と担架に乗せられた信太郎が横たわっている。前方の運転席も覗いてみるとそこに黒い格好に身を包んだ男が痛みで身を屈めた状態で呻いているのが分かった

「いよいよ年貢の納め時だな」

痛みに呻く犯人たちに向かって声をかけると、俺は携帯電話を取り出して警察に電話をかけた。

「すぐ来るらしいからな、もう記憶は消させないぞ」

そうして犯人たちの腕時計を次々と外していく。一応、信太郎の腕も確認してみるがまだ腕時計は着けていないようだった。と、次の瞬間、信太郎に腕を掴まれる。

「目が覚めてたか!」

「よくもこんな目に合わせてくれたなぁ!」

「その感じだと思い出したか…信太郎。いや、もう瀬古条って呼んだ方が良いみたいだな」

「あぁ全部思い出したぞ。変な名前まで付けて今まで家族ごっこに付き合わせやがってよ」

瀬古は鋭い眼差しをこちらに向けた。その眼差しには2年間の家族ごっこに対する恨みを感じるようだった。上体を起こして俺の首元を絞めようと手をかける。しかし、その時、腹部を抑えてうずくまってしまう。脂汗が額に浮かび上がっているのを見るにまだ傷口は完全に塞がっていないようだ。


おい、と瀬古の肩に手を伸ばそうとするがそれを瀬古はすかさず振り払った。するとパトカーのサイレンの音が聞こえ始めた。

「記憶も戻ったようだしこれから洗いざらい警察に話してもらうぞ」

「…こんな場面で事故を起こすような馬鹿どもを仲間だと信用した時点で終わってたんだな」

自嘲するように鼻で笑った瀬古の目はどこか虚ろで寂しげな印象を受けた。

パトカーが止まると菅谷が降りてくる。特段、仲が良いという訳でもないのだが今ばかりはなんだか安心感を覚えてしまう。

きっとここから芋づる式に組織の事が明るみになっていくだろう。俺も何らかの処罰を受けることになると思うがそれも今は些細な事に感じられた。

ふと空に目を向けると暗い夜空だと思ってた色がいつの間にか赤色に染まりつつあったことに気付いた。

「朝か…」

そう呟いた俺は笑顔だったと思う。

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Sを求めて 西空 数奇 @gin_karashimayo

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