第23話 ゴッド級、攻略開始!

 …はい、皆さんこんにちは。またまた引き続きナレーションをやらせていただきます。天宮清歌です。

 前回でもう終わりかなーって思ったんですが、ミラージュダンジョンの攻略が今回のパートで終わるらしいので今回までやれとのことらしいです。

 …なんか申し訳なくなってきたので今度継くんと心ちゃんになんかお菓子奢っておこうと思います。



 さて、余談はここまでとして今回焔さんたちは何をするのかと言うと、ついにミラージュダンジョンの難易度ゴッドに9人で挑むらしいです。

 恵さんと結衣さんを忘れている?いやいや、忘れていないですよ。あの2人は現在、ミラくんとラキュレスちゃんを連れて、エンペラー級のダンジョンの攻略に行っています。尋常ではない成長スピードに怜さんたちは少し驚いています。

 それで現在、焔さんたちはダンジョンの2層におり、ゴブリン5体と対峙しています。


 「フッ!」


 鬼化した海斗さんがゴブリン1匹を吹き飛ばし、吹き飛ばされたゴブリンは壁に衝突しましたが、まだ生きています。


 「海斗先輩!どいて!」

 「了解!」


 海斗さんが横に移動すると、後ろの真莉ちゃんからボウガンが放たれ、一直線にゴブリンに飛ぶと、そのまま額の中心に突き刺さりました。ヘッドショットをくらったゴブリンは消えていきます。


 「【雷切りNo.7・春ノ雷光】」


 怜さんが桃色の閃光となって舞のように鮮やかに動きます。


 「「グギャア…」」


 ゴブリンたちは斬撃を手に持つ短剣で受け流しますが、だんだんと後ろに下がって行きます。


 「ッ…!」

 「グギャッ!」


 やがてゴブリン同士の背中がぶつかり、一か所に集まりました。


 「弟」

 「はいはい、分かってる」


 怜さんの声に、すでにゴブリンの上を取り、天井を蹴ろうとしている俊さんが反応しました。その手には銀色の刃の剣が握られています。


 「【雷切りNo.2・雷鼓】」


 ドン!と大きな音を立てて俊さんの剣が地面に衝突します。ゴブリン2体は回避できましたが、突然、体の制御ができなくなり、受け身を取れずに地面に転げます。ですが、まだ2匹は一直線上にいます。頭の向きも同じです。ならこれから起こることは


 「【雷切りNo.1・建御大雷】」


 俊さんの一撃は地面ごとゴブリンの首を切り、ゴブリン2体が消えました。


 「【アイシクル・バタフライ】」

 「グギャ?」

 「グギャア...」


 龍介さんから氷の蝶が8匹ほど放たれ、白く、冷たい鱗粉を撒きながらゴブリンの周囲を羽ばたきます。ゴブリン1人がブルブル、と一瞬小刻みに震えたのを見て、龍介さんがさらに動きます。


 「【水瓶】」

 「「グギャア!?」」


 ゴブリン2匹の足元から水が吹き出し、ゴブリンを包みます。周りの蝶たちが激しく舞うと、水は急激なスピードでカチコチと凍っていき、やがてゴブリンを包んだまま完全に固まりました。


 「スカル、砕いてくれ」

 「了解だぜ!」


 スカルさんの拳が氷塊に激突すると、氷塊はゴブリンもろとも文字通り粉々に砕け散りました。


 「ふぅ、これで全部か。」

 「お疲れさん。やっぱこの人数だとかわるがわるできっから体力温存しやすいな。」


 後ろで待機していた焔さんが話しかけます。


 「でも大体の場合、狭いところでは戦いづらい上に、大技とかを使うと巻き込んでしまうのでこの人数は多すぎなんですよね。」

 「...なんで全員で来たんだろ」


 風花さんが大人数でのダンジョン攻略の欠点を言うと、アイレさんが半目で呟きます。


 「そりゃせっかくなら全員で最難関のレベルに挑みたいでしょ!」

 「普通にその考え危ない気がするが...まぁミラージュダンジョンの攻略を本編でやるのは今回までだしいいか。あと恵と結衣とミラとラキュレス忘れてないよな?」

 「それはもちろんだけど…むー、もうちょっと待ってから攻略しても良かったんじゃないの?そうしたら恵ちゃんたちとも一緒に行けたのに。」


 真莉ちゃんが不満そうに言うと、ポン、と怜さんが真莉ちゃんの頭に手を乗せ、そのままゆっくり撫でながら話し始めます。


 「まあまあ、私たちよりも少し後に攻略を始めたんだししょうがないよ。でも恵たちの成長スピード、すごいくらいに速いから大会までにはもうゴッド級攻略できるくらいに強くなってると思うよ。」

 「しれっとすごいこと言うなぁ...俺たちよりもポテンシャルあるんじゃないの?あの2人」

 「そうですね。追い抜かされないように私たちも頑張りましょう!」

 「よし、じゃあ行くか」



 焔さんたちは奥へと歩みを進めます。しばらく歩いていると


 「あfやkfおあAたDでnごzrるnや」


 前から猫背で腕をだらりと垂らし首を傾けながら歩いてくる人間のような姿の生物が歩いてきました。

 その体は灰色の肌の上からオーロラのようなグラデーションのかかった光を纏っており、その目は真っ黒のくぼみの中に一粒の光が入れられていました。


 「なんだ、このモンスター...?」

 「ゾンビのような機械のような…我もこのようなモンスターは見たことがない」

 「おい怜、こいつh「焔!」」


 焔さんが怜さんにこのモンスターのことを聞こうと振り返ったその瞬間、焔さんは自分の目と鼻の先に光を纏った拳が迫ってきているのに気づきます。


 「だっ!?」


 とっさに腕でガードしますが、衝撃を受け流すことはできず、飛ばされてしまいます。


 (この距離なら、まだ技は間に合う!)


 身を翻し、体の前面を壁に向けます。


 「【フレア・クラッカー】」


 壁に扇型に広がる炎を爆発と共に放ちました。その爆風で、焔さんは跳ね返されるように再度飛ばされますが、その勢いを利用して飛び、モンスターまで接近すると勢いよく抜刀します。


 「うdあC」

 ーキィィン!!


 モンスターは刀に対して腕をかざすと、刀は大きな音を鳴らして弾かれてしまいます。

 海斗さんたちは既に距離をとって戦闘態勢に入っています。


 「あeRいdらAsなnじ」


 奇怪な言葉を発しながらグっと拳を握ると


 ーシュン!!

 「っ!!?」


 目にもとまらぬスピードで風花さんの目の前に接近します。


 (速さだけでいえば海斗さんレベルで速い!)


 そのまま風花さんにロケットのような勢いで拳が突き出されます。


 「【魔法創造・障壁】」


 風花さんが目に見えないバリアを生成し、拳と衝突します。しかし


 「めdすLinボンAヴォz」

 ーパリィィィン!!


 勢いは殺すことができましたが、バリアはガラスが壊れたように高い音を鳴らして破壊されてしまいました。

 そのまま追撃が来るも、バックステップなどを駆使して落ち着いて回避します。

 大振りな攻撃が外れたとき、風花さんが仕掛けます。


 「吹き飛ばせ」

 「!?」


 モンスターの真下から太い木の根が勢い良く生えてきて、モンスターの腹に命中。

 モンスターは吹っ飛ばされますが、ちゃんと受け身を取ってダメージを緩和します。


 「お姉ちゃん、大丈夫?」

 「うん。でも皆気をつけてください。先ほどのゴブリンとはおそらく比べ物にならないくらいに強いです」


 溜めていた息を軽く吐き、焔さんたちに注意を促します。


 「わかった。全員、気ぃ引き締めていくぞ!」

 「「「「「「「「了解!」」」」」」」」


 全員がモンスターを注視しているなか、怜さんだけはどこか浮ついているような、なにか疑問を抱いている様子でした。



 (あんなモンスター、ダンジョンの敵に登録してない)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無能と言われても、誰かを救えますか。 Fal @sart188

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ