現代の病理にデジタルコミュニケーションから迫る意欲作

SNSやメッセンジャーアプリをはじめとした、デジタルコミュニケーションのみを描写することによって、炙り出されるリアルな現代の闇の深さ……。

安全圏にいる人々が好き勝手に無責任なことを言い、それに翻弄される人の解像度がとても高い。

ネットが発達する以前は、言葉で傷つけられたり、脅威にさらされる場はクローズドなコミュニティに限定されていたと思います。家庭内とか、クラスの中とか、ご近所さんの井戸端会議とか。

ネットの発達によって、オープンな場で誹謗中傷、罵詈雑言が飛び交うようになったため、際限のない数の暴力的な側面をもっている現代。

心無いひとつのポストには耐えられても、膨大な数でそれが押し寄せてくると、耐えられなくなるというのは想像に難くない。

ツールの問題なのか、人の問題なのか、両方なのか、考えさせられます。

一人でも多くの現代人に、物語の結末を追っていただきたい意欲作です。