第10話 一手

私は恐怖を感じた。

(だけど多分気のせいだろう)と思いながら胸に手を添えた。

それから目の前の杏奈ちゃんを見る。


杏奈ちゃん不思議そうな感じで私を見ながら「?」を浮かべていた。

話すべきか?私の事を。

考えながら私は杏奈ちゃんを見る。


「どうしたの?和葉ちゃん」

「.....ねえ。杏奈ちゃん。杏奈ちゃんは信頼しているから話したい。例えばだけど女子が2人の男子と付き合っている浮気をどう思う?」


私は眉を顰めながらそう尋ねる。

そう話すと杏奈ちゃんは目をぱちくりした。

それから「もしかして和葉ちゃん.....」という感じで見てくる。


私はその言葉にビクッとしながら「まあそうだね」と答えた。

杏奈ちゃんに嫌われる。

その覚悟の上で話したが。


「うん。だったら先ずは付き合う上でダメな部分を補正しないとね。和葉ちゃん」

「杏奈ちゃん?」

「.....私は衝撃だけど和葉ちゃんには和葉ちゃんなりの事情があると思うから。.....私はこのままじゃ良くないって思う。だからこそ話し合いをしたらどうかな。廻先輩とそのもう一人の存在の人と」

「.....」

「和葉ちゃんはどうしたいかな」


私は正直言ってどっちとも別れたくない。

だけどそんな甘ったれた事を言っている場合ではなく決断の時が迫っているのだろうけどそれでも別れるには程遠い。

(どうしたものか)と思いながら私は考える。

それから悩んでいると杏奈ちゃんが「もし別れられないんなら私も一緒に交渉の場に行くよ」と励ましてくれた。


「.....杏奈ちゃん.....」

「私は別れた方が良いって思うけど。だけど別れられないんだよね?じゃあ先ずはどっちかと別れる.....というか大切なものは何かを考えよう」

「.....」


その言葉に私は杏奈ちゃんを見る。

着けているエプロンを外し始めた杏奈ちゃん。

それから私に微笑む。

「今から行こうか」と言ってきた。

私はその言葉に「今から?」という感じになる。


「こういう事の解決は早めにした方が良いと思う。だから今からの方が良いと思うから」

「.....分かった」

「うんうん。良い子だね」


そして私は本を直してから立ち上がる。

それから杏奈ちゃんと一緒に廻の教室に向かう。

そうしてから教室に行くと廻が居た。

私を見てから眉を顰める。


「初めまして。廻先輩」

「.....君は?」

「私は杉本杏奈です。1年生です。彼女の.....和葉ちゃんの同級生です」

「そうか」


そんな感じで会話をする2人。

私はその姿を見ながら考えていると「で?杉本さんと一緒に何の用事だお前は?」と言ってくる廻。

その言葉に私は「.....色々と話し合いがしたくて」と告げる。

廻は盛大に溜息を吐いた。


「お前と話す事は何もないぞ」

「.....確かもそうかもしれない。.....だけど私は.....今決意を言っとかないと後悔すると思うから」

「今決意を言っておかないと後悔する?」

「.....別れようと思う。.....相手と.....やっぱり私は仲間が大切って思うから」


その言葉に廻は「!」という感じで反応しながら私を見る。

私はその姿に「友達という仲間を失うならやっぱり私は別れる」と拳を握った。

それから決意を新たにしてから目の前の廻を見据える。


廻は励ましている様だが厳しい言葉を発した。

「それは厳しい道のりになるぞ」という感じでだ。

それはそうだろうな。

私が.....今までやった事もあるし。


「.....お前がやった事を反省するのは当たり前だし.....な」

「そうだね.....」

「人を恨むのもやめないと」

「.....うん」


私はその言葉に頷きながら廻を見る。

廻は「そうか。お前のその誓いは必ず身を結ぶと思う。.....まあ頑張ったらいい」と私を見てからそのまま教室に踵を返して戻って行く。


私は何かの手応えを感じながら「ありがとう」と呟きながらそのまま踵を返した。

それから帰る。

するとニコッとしながら杏奈ちゃんが私に向いてきた。

「よく言えました」という感じで喧嘩した子供をあやす様な感じでだ。


私はその言葉に「私は.....これで良かったのかな」と言った。

杏奈ちゃんはそんな言葉に「どれが正解とかないと思うけど.....でもこうして言えたならなんでも良い気がするよ?」と笑顔になる。


「なんで杏奈ちゃんはドン引きしなかったの?」

「まさか。和葉ちゃんの浮気にドン引き。メチャクチャにね。だけど.....本当にそれが全てなのかなって思ってね」

「それが本当に全て.....?」

「うん。友人の事を嫌う道に進む事だけが全てじゃない気がするから」

「.....杏奈ちゃん.....」

「頑張って。私は応援するよ」


杏奈ちゃんはそう言いながら私の姿を見つつ笑みを浮かべてくれた。

手を握ってくれる。

私はその顔を見ながら考える。

そして「頑張る」と返事をした。


正直まだ分からない。

私が何をしたいのか.....そしてどうしたいのか。

だけどきっとこの場所から今はもがき出すのが必要なのだろう。

正直.....まだ真っ暗闇だが。

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※ちょい休載します※(他サイトにてコンテスト応募予定)付き合っている義妹が浮気した。そしたら.....? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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