押し入れから突然現れたココナが可愛い

カリナ

第1話 突然の出会い

俺の名前は、ナギタニ ユウト。

とある企業で働く会社員だ。

特にやりたい事もなく、人見知りな俺は一人でパソコン作業ができて人とほとんど会話をしなくていいという理由もあってこの仕事を選んだ。


「ん、そろそろ時間か」

仕事がが終わり、定時の時間になったので帰る準備をし、挨拶を済ませる。


「お疲れ様でした」

「はい、お疲れ様」


仕事が終わり、いつも通りの帰り道。

こんな当たり前の毎日がずっと続いて行くんだと、今日この時までは思っていた。


家に帰るといつも通り、寝るまでのルーティンを済ませていると、押し入れの方から物音がするではないか。

そーと開けると。


「きゃーー!」

「いやーー!」


そこには見たことあるような耳と尻尾が付いた小さな女の子がいた。座って布団で体を隠して驚いた表情でこちらを見てくる。


「どちら様ですか!?」

「いや、こっちのセリフなんですけど!」


何が起きているのか分からない。

(コスプレ?)

見た目は耳と尻尾が付いている以外は普通の女の子だ。


「いつからここにいたの?勝手に入ってきたらダメでしょ!」


被り物みたいな彼女の耳を取ろうとすると、


「痛たたたた!」

(え!?なにこれ、本物?)

「痛い!ってゆうか、あっちむいてて」


なんだか分からないけど、言われるがままに後ろをむく。


「よい…しょ、」

ドタン!!…後ろから物凄い音が聞こえたので振り替えると、すっぽんぽんで打つむせに倒れている彼女の姿があった。


押し入れから落ちたのだ。


(えーー…何で服着てない?)

お尻から尻尾が生えているのがハッキリと確認できる。

(終わった)心の中でそう思う彼女だった。

泣き出す彼女。急いで布団をかけてあげる。


「だ、大丈夫?」

「えーーーん、見たよね?絶対!」

「ごめんってば」

「さいあく」


とりあえず近くにあった、Tシャツを着せてあげる。

平均身長より少し高い俺が着るTシャツを、彼女が着ると凄いヨレヨレで肩がギリギリ出ない感じで、膝も隠れるほどの長さだ。


「そもそも突っ込みどころが満載なんだけど、この耳と尻尾は何?人間?」

「私もさっき気が付いて、なんでこんなのが生えてるんだろうって思って、それとたぶん人間だと思う…」

「たぶんって…そもそも何でここに居たの?」

「私も気がついたら暗くて狭い所に居て、凄く怖くてじたばたしてたら、お兄さんがここを開けてくれて、凄くびっくりして、」

「そ、そっか」


(でも絶対こんなのおかしい…幽霊ではなさそうだけど、俺今日疲れてんのかな?)


「名前は何て言うの?」

「名前はココナ、お母さんにもらった大事な名前…」

「ココナ?名字は?」

「名字は…思い出せない、お母さんの事も顔も名前も思い出せない、でも確かにお母さんからもらった名前だもん」

「そうなんだ…」


どうしていいのか分からずに混乱していると、どこか寂しで不安そうな表情を見せるココナ。


「そういえば、ココナちゃんって何歳?見たところ2歳児ぐらいに見えるんだけど、ずいぶんしっかりしてるね」

「16歳!!」

プンプンに怒った顔で答えるココナ。

「16!?ってことは高校生?」

「そうだってば!!」

「全然見えないんだけど」

「何でこんな姿になってるのかこっちが聞きたよ」


聞けば聞くほど意味が分からなってきた。


「でも、とりあえず警察とかに行った方がいいと思うんだよね」

「うん…」

「俺も一緒に行ってあげるから今から行こうか」


その子の手を取って一緒に警察に行こうとすると、何かを察するように俺の手を振りほどくココナ。


「待って!こんな姿で警察に行ったら本当に助けてくれるのかな?それどのろか、この姿で人前に出たら実験台にされたりしないかな?少し怖いんだけど…」


涙目になりながらも、小さく口を開ける。


「でも、そうだよね、行かないとダメだよね…」


行為ではないとはいえ、勝手に家に上がり込んでしまっている事やこれ以上迷惑をかけてはいけないと思ったのか凄く不安そうで可哀想だったので俺も少し落ち着く事にした。


「確かに、この状況で行っても100パーセントの安全は保証できないかもな、もしかしたらって可能性もあるよね、一旦考え直そうか」


少しホッとした表情を見せるココナ。

「ごめんなさい、ありがとう」


「でもさ、良く考えたらこんなこと現実であり得ないと思うんだけど。きっと悪い夢か何かだと思うんだけど

「ココナだってそう思いたいけど…」


「一回寝てみればもしかしたら、悪い夢も覚めるかもよ?」

「そ、そうだよね!」

「う、うん…」

(何だろうこの感じ夢にしては妙にリアルだな)


「とりあえず、今日はもう遅いし一旦寝てみようか」

「うん、そうする」


本当に夢だと信じているか、何の躊躇もなしに俺のベットで横に並んで寝ようとするココナ。


「ココナもよく考えてみたらこんなの普通じゃないって思ったし、やっぱりあり得ないよね。それと、今日は色々ありがとね、こんな夢もあるんだね」


そう言い残すと、落ち着いたのかスヤスヤと眠ってしまった。

(ホントに大丈夫かなこの子。とりあえず俺も眠いし寝よ)

少し奇妙な気持ちが残ったまま眠りについてしまう。



時間が立ち朝がやってくる。



「うーん、よく眠れた!」


寝起きでボヤボヤしている中で、聞き覚えのある声が俺の目を覚まし、とっさに声をかけてしまう。


「おはよう」

「おはよう!」

すぐに返事が返ってきた。


「って!じゃなくて!!やっぱり夢じゃなかったんだよー!」


頭を抱えるココナ。

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