参 【三世の体、虚空の念】
「休日は何をしているの?」
そんなどうでも良い事を、毎度聞いてくる人がいる。
スイッチがオフの時にいきなりそんな質問をされても、面白い事も期待された答えも返す事が出来ない私は、結構なコミュ障なのではないかと思う。
アドリブ対応が下手糞なのだ。
それに休日だからと言って何かをしているとは限らないのだ。
『お休み』だから休日では無いのだろうか?
じゃあ正解はいつでもこうなるか。
「ゆっくりと体を休めていますよ?」
過去、現在、未来を総じて『三世』と表する事がある。
それ即ち、世の中のモノ全ての事を現わしている。
時間が流れている限り、それは絶対の価値観を持っている。
「貴女の事が好きです。付き合って下さい!」
「…ごめんなさい。私、心に決めた人がいるんです」
「僕は諦めない!必ず、貴女を振り向かせてみせる!」
『希望の数だけ失望は増える…』なんて歌詞の唄を歌っていた歌手がいる。
でも世の中は『失望の数だけ希望は』増えないから不思議だ。
この年齢になっても告白されるのは感情的には嬉しいのだけど、自分も好きになる…つまりは『相思相愛』になる確率は限りなくゼロに近い。
結婚願望は一人前にはあるし、子供が嫌いな訳でもない。
自分の全てを任せる事が出来る相手がいないだけなんだ!といつも自分には言い聞かせて拗らせているけれど、結婚の最終形は『相思相愛』では無いのかも…。
「何か好きなモノとか、趣味を作れば共通の話題が…」
「お仕事の資格を取ってみる、等が良いかも知れないですね!」
余計なお世話である。
趣味のある生活が本当に幸せならば、趣味がきっかけで知り合った夫婦なんかは絶対に離婚しないのだろうか?
資格なんかも一つ二つは持っているけど、多少の給料アップに繋がるだけで恒久的な幸せが訪れる気配は全くない。
そもそも自分が考えるに趣味も資格も経験値の問題であって、目立ったものを持っていない人でも、沢山の知識や知恵、または創意工夫出来る人ならば私は尊敬もするだろう。
『全く無い』よりは『あった方がいい』くらいの感慨しかないものだ。
「でもそれは、貴女も悪いんじゃない?」
「とりあえず、
世の中に光と影がある様に、正義と悪が存在する。
『喧嘩両成敗』という何と言うか、日本人の性善性が詰め込まれた様な言葉があり、私はこの考えは基本的に好きだし自分が反省する時の指標にする。
争いは何も生まないので、事の大小に関わらずどちらもごめんなさい!しようという事だが、世の中そんな簡単にはいかないよね。
正義と悪に戻るが、何が正義で何が悪なのか?全ての人が正確に説明できるのだろうか?
正義は元々、『義』だけだったのが正しい行いは『義』に基づいているという観念から『正義』となったらしい。
少し屁理屈を話そうと思う。
昔、ウルトラマンというヒーローが街を破壊し、皆を困らせる怪獣を倒す番組を見る度に疑問に思っていた事があった。
「家を壊された人々からすれば、それが怪獣であろうとウルトラマンであろうと関係ないのでは?」
確かに怪獣を倒すという行為が正義ならばウルトラマンは正しくヒーローなのだけど、その過程で広がる被害は正義とは別の次元にある話しではないのだろうか?
なので、そんなひねくれている私は誰も居ない採石場で怪人を倒す○レンジャーや、わざわざ河川敷の広場で必殺技を使い止めを刺す某バッタヒーローなどは好感を持って見ていた。
結局何が言いたいかというと、
「でも私、頑張っているよね?少しくらい、ご褒美買っても良いよね?」
良いんじゃないだろうか?
コンビニで見つけた新作スイーツや街角のショウケースに飾ってある可愛いサンダルとか、自分で自分をもっと褒めてあげよう。
『自分の最大の理解者は自分である!』
当たり前の様で、それを他人の前で肯定する人も少ない様に思う。
勘違いしないで頂きたいのはあくまでも理解者であって、何をやっても赦される為の方便にはして欲しくない。
ふと窓の外を見ればいつもの『逢魔時』が訪れていた。
「ようこそ私の人生!」
紅き黒 あかきくろ
纏う心の まとうこころの
闇化粧 やみげしょう
間亡きを逢魔と まなきをおうまと
他人の云ふなり ひとのいふなり
【完】
紅い夜、昏き朝 ぴえ~ん @razing-geese
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