第7話
「主よ、この者に裁きを───」
手初めに祈り始めた騎士を焼いた。
「伝令! はし───」
次に、指示役と馬に乗った騎士を焼いた。
「どうして騎士になんか───」
最後に諦めている騎士達を纏めて焼いた。
これらの炎は対象を絞ってはいない。ただ火力が強く全てを燃やせるだけの炎だ。瑞々しい草木も肥沃な大地も全てを薪とし燃えるだけ。
つまり延焼の速度は尋常ではない。放っておけば集落の全てを焼き尽くすだろう。あの忌々しい裏切り者を含めて。
「た、助けてくれ!」
ああ、良かった。
彼の周囲だけ炎を操り、焼き殺さないようにする。
それに安堵したのか、炎の塊となった俺の姿に頬を引き攣らせながらも微笑んでくる。
「ありがとう、助かったよ」
「……」
特に答えず歩み寄る。
「お前なら必ず勝てると思ってたんだ。ほら、金も手に入ったし二人で都会暮らしでもどうだ?」
「……」
特に答えず歩を進める。
「お、思えば二度目か。お前に助けられるのは」
「……」
特に答えず正面に立つ。
「なぁ、だから今回も助けてくれよ。二度も三度も変わらんだろ? なぁ、なぁっ!」
「……」
糞尿を垂れ流しながら強迫紛いの命乞いをする彼の足に炎を垂らす。ついでに臭い糞尿の処理を兼ねて下半身をケロイド状へ変えた。
「アァァァァァァッ! どうしてだよ! 俺らダチだろ!? なんでこんな事すんだよ!」
次に肩から先を炭にし、動きを封じる。
最初から黒炎で周囲を囲っているので逃げられる心配などないが、気分の問題である。
あとは眼球と呼吸器以外を炙り、騎士が持っていた剣に顔を反射させてやれば完了だ。
苦痛に悶えている上に、焼け爛れて表情が分かりにくい影響で反射した自身の顔を見せられたか判断に困るが、良しとしよう。
「……この、人でなしがっ」
「ん?」
俺が人でなしだと? こいつは何を言っているんだ。
そんなの───
「見れば分かるだろう?」
炎そのものである右手で頭を握り潰すように燃やし、集落を後にする。
後は制御を解いた炎が勝手に焼き尽くすだろう。
死体も
思い出も
その全てを
それから数日後。
入念な調査により新たなる
──────────────────────
これにて一章終了です。
今後は、他の作品と併せてのんびり更新していきます(`・ω・´)ゞ
灰も残ると思うなよ 一味違う一味 @splatter-festival
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます