開店と新たな日常

 Side 闇乃 影司の事務所


 =昼・大阪日本橋、闇乃 影司の事務所=


 藤崎 シノブや谷村 亮太郎たち――T市で遭遇した戦闘ロボットの販売もと、DーTECとの抗争は一段落した。


 悪い見方をすればディフェンダーと言う組織の思惑通りに事が進んだようにも感じる。

 

 D=TECの総統も倒せたかがどうか怪しいし、まだ残党も残っているが、ディフェンダーに任せてもいいだろうと判断しつつ、警戒しながら事務所を開店させた。


 怯えてばかりでは何も出来ない。


 一番の変化はミサキ・ブレーデルと言うディフェンダーのエージェントの美女が転がり込んできた事だろうか。

 

 金髪ポニーテールで黒のライダースーツな長身のお姉さんがとんでもないサイズのバストを惜しげもなく谷間を披露してプルプルさせながら尋ねて来る。

 泣きボクロがある顔立ちはとても整っており、化粧もしっかりしていて綺麗で目に毒な大人の女性と言う感じだ。

 

 彼女は猫のように気紛れだ。


 付き纏う時もあれば事務所を空ける時もある。

 酷い時はベッドに転がり込んでくる事だってあった。

 距離感がバグってる。

 

「連日のように殺人事件とか推理してるのかと思ったけど、そうでもないのね?」


「探偵マンガじゃないんですから他の依頼だって転がり込みますよ」


 などと言いながら僕は洗面所の前に椅子を置いてミサキさんを座らせて髪の毛をセットしている。

 肌の手入れやマッサージまでしていた。

 元々興味あったのでその手の知識を吸収して興味あっのが運の尽き。

 最初はミサキさんにアレコレと教えてもらいながら手入れしていたが、今は自然体で手入れできるようになっていた。

 不思議と悪い気分じゃない。


「モデルの仕事とかどう? 紹介してあげるけど?」


「も、モデルですか?」


「うん。アナタの容姿なら引く手数多よ?」


「う、うん」


「その様子だと興味はあるようね?」


「はい、まあ……」


 モデル。

 自分で良いのだろうかと思ってしまう。

 よく周囲からカワイイ、綺麗だと言われるけれども。


「もしくは、金払うから衣装来て?」


「えと—―撮影スタジオとかの準備は」


「するする。してあげるからして」


「うん……」


 僕は照れながら返事をする。

 

 依頼が舞い込んだのはこのやり取りのちょっと後のことだった。

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大阪日本橋・闇乃影司物語 MrR @mrr

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