第2話 ホームステイ

とあるアジアの国のお話。


私は今,高速道路を運転している。

片側1車線で山を切り拓いたような,名ばかりを走る高速道路。田舎にありがちなこの道。

でも,これがないと時間がかかって不便だし,あるだけマシなのかとも思う。


車には他に3人乗っている。

1人はカッコよくて,低い声の韓国人。

もう1人は可愛い声で優しい韓国人。

そう。今,私はホームステイを受け入れているのだ。


私は優しくて可愛い子のホストファミリーである。


もう1人は何故かついて来た,ピンクと黒のツートンに分けられた髪色の子の日本人である。

とても可愛らしい女の子ではあるのだが,結構ガサツで少し粘着質である。断ったら駄々を捏ねそうだと思い,大人しく車に載せた。

今も後ろで派手に笑っている。楽しそうだ。


途中,目的地への行き方をVlog動画を見て確認する。

何かとわかりにくい場所らしい。


ナビの通り走ると,動画で紹介されていた道が出て来た。

明らかに細くて傾斜のある坂道を上らなければならない。


あの動画ではご丁寧に,上手に坂道を上れるためのシフトの動かし方を説明していた。


坂を上り始める。

この時期,この場所は葉が色づく前に一度雪が積もる。

今回は雪はほぼ溶けかけて殆ど道には残っていないのだが,泥にハマるのだけは気をつけたい。


目的地には美味しい野菜が食べられるお店があるそうだ。

ここはアジアなのにдача というらしい。


かつて駅構内の線路だったところは菜園になっており,駅舎がレストランとなっている。

ここは旧線の廃止に伴い新線の方に駅が移された。

新線の駅は人が多い場所にある。

今日はそちらにも訪れる予定だ。


なんとか坂を上りきり,駐車場に車を停める。

本当の過去に駅だったことが面影でわかる。

ガラスとコンクリの建物で,白壁のモダンなデザインである。

少し埃などで黒ずんでいる場所もあるが,古い建物にしてはまだ使えているのが不思議である。

それなりに補強,修繕などはしてるだろうが。


車を降り,菜園を見ながら話す。

くだらない話をしながらレストランへと向かった。


(......。記憶が途切れる。)


新駅に着いた。


その地域の駅弁を作っている企業がところが駅そばも提供している。駅弁のマークもある。


階段を上がり,改札階に着いた。

線路が伸びている様子が見える。

ここは跨線橋と自由通路が一緒になっているらしい。

奥には田舎街らしい畑作地帯と山が見える。


今は台鐡とコラボで駅弁を売っているらしい。作っているのはこっちだが,レシピは同じだそうだ。


また,台鐡のオリジナルチャイムが使われているらしい。

ここでは姉妹都市である花蓮駅のを使っているそうだ。


確かに少し雰囲気が似ていてよかった。


(......。記憶が途切れる。)


宿泊先で4人,寝巻きでベットの上で話している。


私は運転の疲れと温泉の気持ち良さもあって布団を被って話を聞いていた。


ホームステイを受け入れるのも,あと数日で終わり。

それを思い出し,聞こえない程度に最後なんて言おうか考えていた。


私は恥ずかしかったので日本語ではなく,慣れない英語を話そうとした。


私は可愛いあの子に恋をしたのだ。

愛称で猫ちゃんと呼ばれる優しくて声が良くて,可愛い男の子。


声が大きかったのか,「呼んだ?」と声をかけて来た。


私は恥ずかしいことを聞かれた勘違いして,布団を頭まですっぽりと被り直した。


11月15日夜 自宅,食事後の寝落ちにて

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢日記 @Rinto_whisky

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る