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「Foda-se...」鬼丸が思わずそうつぶやくと、今まさに海から上がろうとして波打ち際にいた夜死鬼よしきが反応し、足を止めて鬼丸の視線の方向へ目をやった。

「ああ…」前髪の長い夜死鬼は少し斜めになると目が隠れてしまう。「来やがったな。」と言って苦笑し、またこちらに向かって歩き始めた。

 鬼丸は浜辺に腰を下ろして海を見ていた。日は既に没して久しく、空も海も黒また黒の黒続きで、その境目が曖昧である。月の明かりが当たっている部分がかろうじて海だと知れるくらいだ。だがそれは人間の目から見た光景であり、鬼の目にはまた違った景色が広がっている。夜行性の鬼族にとっては一日が、いや一夜が始まったばかりである。墨汁のような波間の遠近おちこちで鬼たちが素潜りの漁をしていた。近くでは年若い娘が両手に栄螺さざえあわびを握りしめて浜へ上がろうとしており、肌から滴る水滴が浜の砂に染みをつくっていた。遠くでは子供たちがきゃっきゃとはしゃぎながら漁の真似事をしている。ほとんど戯れのようなものだが、ああして遊びながら漁を会得していくのだ。それよりも沖の方では延縄漁はえなわりょうの舟が二艘見える。このとき鬼丸が見ている範囲にはおよそ二十鬼ほどの鬼たちがいた。

 男も女も海に入っている者はみな一糸まとわぬ丸裸である。鬼族は虎皮の腰巻きに、女は普段は胸当てをつけているが、泳ぎの邪魔になるため潜るときは外すので、脱ぎ捨てられた腰巻きや胸当てが浜辺のあちらこちらに落ちていた。

「またうるさくなるな。」と夜死鬼は腰巻きを穿いてから鬼丸の隣に腰を下ろした。

 浜辺の彼方から二人の武士がやって来るのが見える。松明たいまつの明かりが闇夜にぼうっと浮かんでいて、それが近づいてきているのだ。一人は馬に乗り、もう一人は徒歩かちで、徒歩の方が松明を持っていた。それに気付いた鬼丸が「Foda-se」とワルい南蛮商人から覚えた下品なポルトガル語をつぶやいたのである。英語で言うなら「Fuck you」や「Fuck it」に相当するきわめて口汚い罵倒語である。

「あちゃー、来ちゃいましたね…」と大慌てで彼らの元へ駆け寄ってきたのは名を牙蔵きばぞうという青鬼で、鬼丸らより三つ四つほど年少であるが、正確な年齢は本鬼ほんきにもよくわかっていない。女に間違えられることも多い可愛らしい顔は不安で曇っている。

 やがてその武士たちが鬼たちのもとにまでやって来ると、

「こらお前ら!裸は禁制と言うたじゃろ!」ネズミのような顔をした徒歩の武士が声の限りに叫んだ。いや武士ですらない足軽である。麻の小袖に四幅よの袴、足下は裸足と、腰の刀がなければ庶民とそう変わらない身なりをしている。足軽は浜に落ちていた虎皮の胸当てを拾い上げ、

「ほら、とっとと隠せい。」とそこにいた赤鬼の女に投げてよこした。

「これはあたしのじゃないよ。」と女が抗議したがそれには構わず、同じような行為を他の女に対しても繰り返した挙げ句に、

「お前の胸当てはどうした。早くつけろ。」と牙蔵に向かって言った。

「ボ、ボクは男です!」と顔を赤らめながら牙蔵が言うと、鬼丸も夜死鬼も他の鬼たちもドッと笑うのであった。それが気に食わなかったのかネズミは松明をその場に叩きつけて腰に刷いていた刀の柄に手をかけ、

「ええいやかましい!従わんと叩っ斬るぞ!」と赤鬼よりも顔を真っ赤にして叫ぶのであった。

「よせよせ。」と馬上から声がかかる。馬に乗っていた武士は侍烏帽子さむらいえぼしを頭に頂き、直垂ひたたれを着た馬面うまづらであった。馬が馬に乗っているように見えるので鬼たちは笑いをこらえるので必死であった。この時代は武士が日常的に烏帽子を被ることはないのだが、鬼たちに威厳を示すために被っているのである。それがかえって鬼たちには滑稽に見えた。

「いたずらに鬼を減らしても仕方がないじゃろう。島の鬼は殿の物ぞ。」などと馬面が言う。

「これは失礼つかまつりました。」ネズミは松明を拾い上げ居住まいを正し、馬面に頭を下げた。松明の火の粉が風に踊り、闇の中で蒔絵のように咲いては消えた。

 馬面は馬上から女どもをねぶり尽くすように見て回した。ねっとりとしたその視線に嫌悪感を抱いた女どもは警戒するように馬面をにらみ返す。やがて馬面は口元に笑みを浮かべて、

「わしならまだ良いが、お偉方えらかたならこうはゆかん。努々ゆめゆめ気をつけるんじゃぞ。」などと言った。

 だがすぐに、女どもとは違う視線が自分に突き刺さっていることに気付いた。浜に座ったままの鬼丸が馬面を睨み上げていたのだ。その野犬のような視線に馬面は一瞬たじろぎ、なにか言いかけたが、

「なんじゃ貴様。」とネズミが先に言った。

「…別に。」鬼丸はぶっきらぼうに言った。

「…ふん。」馬面はつまらなさそうに鼻を鳴らすと馬の尻を蹴り、手綱を操って元来た道を戻っていった。徒歩のネズミもそれに従う。

 活気に満ちていた浜辺は、すっかり興ざめしてしまった。

「なんなんだろうね。」と話しかけてきたのは青鬼の女で、名をさそりと言った。海から上がったばかりなのだろう緑色の髪の毛は濡れ、肌の表面にも水滴が浮かび、幾筋もの流れが出来ている。もちろん胸当てはしていないどころか腰巻きも穿いていなかった。赤鬼ばかりの中にあって牙蔵や蠍の青い肌は目立って見えた。

「なんだってああも躍起になって裸を禁じようとしてるのかね。人間の海女あまだって本土の方じゃ裸で潜るらしいじゃないかい。」呆れたように蠍が続けた。

 夜死鬼が応えて「南蛮人がうるせえのさ。女が乳出してんのが信じられねえんだとよ。南蛮人のおかげでこの島も潤ってるからな。真の支配者は宇喜多うきたじゃなくて南蛮人かもな。」などと人目もはばからずに言う。先刻の武士たちが聞いていたら今度こそただではおかれないような発言であるが、幸い武士たちはもう米粒ほどに小さくなっており、この声は潮騒にかき消されて届くことはない。

切支丹きりしたん聖書ビブリアじゃ、アダムとエヴェは禁断の果実をかじる前は裸だったのにな。」と夜死鬼が言うと鬼丸が、

「めんどくせえな」巾着袋から金平糖をつかみ取り、口の中に入れた。

 桃太郎の役から間もなく始まった人間による島の支配はもう既に十年に及んでいる。彼ら鬼たちにも人間どもの力関係や支配構造というものが知れていた。交易と商業で栄えている鬼が島では南蛮人の存在は大きい。

 ここで鬼丸が立ち上がり、腰巻きの尻をパンパンと手で払って砂を落とした。

「どっか行くのかい。」と蠍が問いかけた。

。」と答えながら歩き出す鬼丸。夜死鬼と牙蔵もそれについていった。

 鬼が島は鬼口きこう五百鬼ほど、人口千人ほどの小さな島である。島の東西の海岸沿いにそれぞれ「東村」「西村」という村があり、鬼族はそこに住んでいる。東村には主に赤鬼族が、西村には主に青鬼族が居住していた。一口に鬼が島の鬼族と言っても赤鬼と青鬼とがおり、決してひとつにまとまっていたとは言い難い。むしろ両者は長らく対立関係にあり、ちょっとしたいさかいもしばしば起こった。もっともそれが鬼同士で殺し合う戦に発展することは一度もなかった。対立関係にあった赤鬼と青鬼がまとまったきっかけは、皮肉にも十年前の桃太郎の役とその後の人間支配であった。共通の敵ができたことで志をともにすることができたのである。

 桃太郎の役での鬼の死亡者数はゆうに三百鬼を越える。桃太郎は問答無用で鬼たちを斬り殺した。島の北の海岸から上陸し、まずそこにいた漁師どもをほぼ皆殺しにした。次いで東村を、その後に西村を襲撃した。東村襲撃中に逃げた住民が西村に知らせたため、西村の被害者数は東村より少なかった。と言ってもその時点ですでに桃太郎は西村に迫っていたので西村も壊滅的な打撃を受けたことに変わりはない。

 桃太郎は当時の備前国(今の岡山県東南部)の武将、宇喜多和泉守直家うきたいずみのかみなおいえに派遣された先兵であった。

 そのころ直家は主君の浦上宗景うらがみむねかげを倒すための下剋上を画策しており、瀬戸内海に浮かぶ鬼が島を支配下に置きたいと考えていた。当時の瀬戸内海は水軍(海賊)が幅を利かせており、最大派閥の村上水軍は毛利氏はじめ他の大名の配下にあった。

 瀬戸内海における支配力を強め、貿易や兵糧の輸送などを強化したい。そのための拠点として鬼が島は最適だったのである。

 しかし鬼が島は鬼が住む島として長らく恐れられていた島である(そのため水軍も手を出さなかったという側面がある)。相手が人間ならともかく、鬼との戦はさすがの直家にも経験がなかった。『謀聖ぼうせい』と呼ばれるほどにはかりごと、策略に長け、数々のライバルたちを暗殺してきた直家も、鬼に対しては手段を講ずる術もなく、手をこまぬいていた。

 そこへ名乗り出たのが桃太郎であった。

「某が鬼が島の鬼どもを討伐してみせましょう。」

 いきなり現れた、海の者とも山の者ともしれぬ謎の少年。いや、子供だ。宇喜多家家臣たちは眉をひそめるか笑うかだったが、直家は違った。何かを感じ取ったのか、桃太郎に船を貸し出し、鬼が島討伐を命じたのである。

 鬼族は外敵のいないこの島に何百年と住み続けるうちに、戦いを知らぬ享楽的な性質へと変わり果ててしまっていた。荒々しい本土の鬼とは似ても似つかぬ民族になっていたのだ。暖かな風に吹かれ、豊富な漁獲と果実で腹を満たし、必要以上には働かず、月明かりの下、美しい娘に口づけた。気の向くままに歌を歌い、詩歌しいかを詠み、美酒に酔いしれた。思わぬ外敵の襲来で手に取った金棒は錆にまみれていた。

 加えて桃太郎もまた、桃から生まれたという人ならざる存在であった。神仏の加護を得た桃太郎は鬼に対して無敵であった。鬼の攻撃は一切効かなかった。霊的な防御により無効化されてしまうのである。

 桃太郎は島を地獄に変え、去って行った。だがそれで終わりではなかった。

 桃太郎の役から約一か月後、今度は人間の軍が船に乗って押し寄せてきた。直家の弟である宇喜多七郎兵衛忠家うきたしちろうべえただいえの軍勢である。

 鬼たちは戦ったが、勝敗は目に見えていた。相手は戦国の世を生き抜いてきたつわものどもである。武器が金棒しかなく、戦の仕方も知らず統率の取れていない鬼族に勝ち目はなかった。わずか半刻で島は忠家の手に落ちた。この戦での被害が鬼族側が三鬼、人間側が一人とわずかですんだのも、早々に戦が終わったからである。鬼が早々と武器を捨てたのだ。

 だが戦後の混乱は酸鼻を極めた。

 乱妨取らんぼうどり──

 乱取りとも言う。

 この乱世の時代、戦の勝敗が決すると身分のある武将は所領を与えられるなどして褒美をもらうことが出来る。だが雑兵・足軽どもは庶民から略奪するしかないのだ。金品食糧を奪い、女を犯し、奴隷として拉致する。それを乱取りと言った。そんな横暴が当たり前のように行われており、大名は黙認し、中には大名自らが乱取りを采配していたこともあった。越後の上杉謙信などは領国が雪に閉ざされる冬期間、関東に侵略しては乱取りを行わせなければ領民を食わせていけなかった。雑兵・足軽の多くは農民出身で、乱取り目的で戦に参加していたのである。

 鬼が島においても当然それは行われた。詳細は後に述べるが鬼族はほとんど稲作を行わないため米を分捕るということが出来なかった。野菜や漁獲を奪ってもたかが知れていたので強姦や「鬼さらい」が主な戦利品となった。鬼の娘の、人間とは違う肌の色はかえって人間を欲情させた。このときに出来た人間と鬼の間の子の多くは鬼の手で殺された。奴隷として狩り出された鬼も多く、十年経っても未だにとらわれたままで生死すら不明である。

 あとは鉄器だ。一角山で踏鞴たたら製鉄が行われているため鬼族は鉄器を使用していた。鍋や釜、農具、漁労用具など身の回りの物は鉄製品が多い。それらを人間どもは奪っていった。また鬼族が武器として使っていた金棒は武士たちに取り上げられた。

 東西の村には生業を指導する年長者はいたが政治的指導者はいなかった。忠家は家臣から村代官を置き、村の管理、税の取り立て等を行う役人とした。先刻海岸に見回りに来ていたあの馬面が東村の代官である。鬼族側の「村の代表」は置かず、また鬼がそういう鬼物を設けることも禁じた。「鬼族の代表者、指導者」を置くとそれを筆頭にして鬼族がまとまり一揆することを恐れたのである。

 そして島の南部に城を築き、城下町を造営し、鬼が島の領主となった。一角山より南部には鬼が住みついていない。太陽が勢力を増す南の方角は不吉だとされてきたからだ。町には直家の名から一字取って直宮なおのみやと名付けた。町の周りを四角く築地ついぢ(土塀)で囲い、東西南北と「鬼門」である丑寅の方角(北東)に一つずつ、関所を設けて門番を立たせた。

 そんな人間支配が十年続き、今に至る。当然鬼族の生活、ありようも大きく変わった。

 海辺から坂を上っていくとすぐそこに東村があるのだが、その手前にひとつの粗末な小屋がある。その軒先で火を焚き、鉄の鍋をかけている老鬼がいた。鍋からは湯気が上がっている。

「おう塩爺しおじい、やってるな。」近づいた鬼丸が声をかけると、老鬼は「おお…」というようなかすれた声を上げた。しわだらけであばらが見えるほどにやせこけた老体は長年潮風に吹かれて肌ががさがさになっている。伸びるに任せた髪の毛や髭も水分を失って艶なく、辛うじて開かれている目は鬼丸を見えているのかどうかもあやしいところである。塩爺というのは本名ではないが、塩焼きを生業なりわいとしているのでそう呼ばれている。

 鍋の中ではなのりそがかん水で煮られていた。なのりそは別名玉藻たまもとも言い、現代では「ホンダワラ」と呼ばれる海藻の一種で、古くは藻塩もしおをつくるのに使われていた。藻塩はこのように海草と一緒に煮ることで通常の塩にはない旨味が含まれるようになる。この老鬼は漁業のかたわら細々と塩焼きにいそしんでいたが、現在では人間に売れるので専らこっちが本業となっている。もとより漁に出られるような歳でもない。かつては快活な鬼柄おにがらであったが桃太郎の役で息子を亡くしてからはすっかり覇気を失い、内に籠もるようになった。人間の商人から買う煙草が何よりの楽しみで、そのためにせっせと藻塩を焼いているのである。

 塩爺を横目にして坂を上っていく。すると見えてくる東村は典型的な環状集落である。中央の広場を中心にして竪穴式たてあなしき住居がその周りを囲み円形に立ち並んでいる。その間をすり抜けて広場まで来ると女たちが数鬼集まって座り込み、水に浸したカラムシという草の皮を木槌で叩いているのが見えた。鬼族はこのカラムシを「ヲ」と呼んでいるが、こうして布や糸にするための繊維を取りだしているのだ。中高年の女が先導して行い、それを幼い女児がじっと見つめている。時折実際にやらせてみるとぎこちない手つきながらも真剣な表情で見よう見まねをする。その様を見守る女たちの眼差しは優しい。鬼族は獣皮とともに女たちが織る編布も併用していた。

 女たちは鬼丸らの姿を認めるとあからさまに眉をひそめた。作業していた手を止め、非難めいた目を向けてくる。鬼丸らはもう慣れたものなので意にも介さずに歩いて行く。女たちのいる辺りを通り過ぎると背中に声がかけられた。

「またどっかほっつき歩くんかい。」嫌悪を隠そうともしない、老婆のとげとげしい声。周りの女の止めようとする声が聞こえるが、老婆はさらに続けて、「いさりもせんで、ようこの村におれるわ。」と不満をぶちまける。

 鬼丸らは「村の仕事」をしていない。

 この村に住む鬼ならば男なら主に漁をしたり、家を建てたり補修したり、石器をつくったりと言った仕事がある。女なら森で木の実やキノコを採取したり彼女らのように布を編んだりする。村共有の畑の仕事をしたり、またそれらを荒らしに来る獣を駆除したり……村の仕事はいくらでもあるのだが、それらは個鬼のためではなく村全体のために行うことだ。漁でとってきたものは村鬼全員の食料になり、畑でとれたものは村鬼全員で食する。その日の「稼ぎ」は村の女たちの手で調理され村鬼全体に振る舞われ広場で共に食う。余った分は塩漬けや干物にして備蓄される。それが昔から受け継がれてきた鬼族の伝統であった。

 しかし鬼丸らは村鬼の仕事をしていないのだ。飯の種は自分らで稼ぎ、勝手に食っている。彼らは直宮に出入りしているので人間に合わせて昼行性、昼間起き夜に寝るという鬼とは反対の生活を営んでいる。そのため村鬼との共同作業は出来ず、食事もほとんど共に出来ないのが現状だ。

 当然これを快く思っていない者が多く、この老婆のようにあからさまな侮蔑を投げてくる者も少なくない。

 鬼丸らは一瞬立ち止まったが、またすぐに歩き出した。しかしその背中に再度声がかけられた。

「鬼美子のやつもこんなボンクラ産みやがって、とんだ痴れ女じゃ。」

 鬼丸は踵を返し真っ直ぐに老婆の方へ歩み寄った。逃げる暇も与えず老婆の白髪頭をつかんで引っ張り上げ、

「もう一回言って見ろ。ぶっ殺すぞ。」触れ合うくらいに顔を近づけ、そう言い放った。その瞳孔は見開かれ、憤怒がみなぎっている。「おれのことはなんつってもいいけどよ、母さんのこと言ったらマジでぶっ殺すからな。」

 村に居た鬼たちはただならぬ気配に感づき、広場の方に注意を向け、不測の事態に備えて男たちが近くに寄ってきた。

「やめとけよ。」夜死鬼が鬼丸の肩に手をかけた。「鬼同士で争うなって魔沙悪魅まさおみさんも言ってたろ。」

「……」鬼丸はつかんでいた手を放したあとも、しばしその顔を睨み付けていた。手には抜けた老婆の白髪が何本も絡みついている。老婆は敵対心と恐怖が入り交じった凄まじい顔をしている。

 それを女児が怯えたような顔で見ているのを見て鬼丸はその場を去って行った。



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『鬼が島』 竹中越前守樫家 @taketakeyoujo

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