入ったものは誰も、何も残らないダンジョンに棲む一匹のスライム。犠牲者が残した遺品を自身の中に取り込み続けた彼はやがて解放の日を迎える。やがて明らかになるダンジョンの秘密と遺品に込められた願い―
このスライムはやがて名前と人の姿を得るのですが、私が特に惹かれたのはその優しさと無邪気さです。ダンジョンの中で犠牲者を殺し続けたのは彼らの思いを届けるため。人の姿となってからもその無邪気さで周りを振り回しつつも笑顔にしていきます。そんな彼(彼女?)が願うのは、誰も傷つかない優しい世界。
名も無き魔物が思い描いた世界、どうかご一読ください。