プレバト俳句の添削ノート(2023年11月23日放送について)第3話

滝口アルファ

プレバト俳句の添削ノート(2023年11月23日放送について)

今回もプレバト俳句を楽しく拝見しました。

今回のお題は「コロコロ」。

個性的な「コロコロ」の俳句に出会えました。


さて、今回、私が気になった俳句は3句。

まず、凡人(40点)に評価された、

辰巳琢郎さんの俳句を見てみましょう。


重ね着でコロコロ使う孫の顔


「着膨れ」が、冬の季語で、

その傍題に「重ね着、厚着」があります。

この句を、夏井先生は次のように添削されました。


コロコロを巧みに重ね着の孫よ


これでいいのかもしれませんが、

「孫よ」が少し大袈裟でしょう。

このお孫さんは、お手伝いにコロコロを使っていたと

辰巳さんはおっしゃっていたので、

私は、次のように添削してみました。


重ね着の孫コロコロのお手伝い


これが、辰巳さんの意図にピッタリな添削例かなと思います。


次に、名人5段の、

皆藤愛子さんの俳句を見てみましょう。


着膨れた背中猫の毛あちこちに


夏井先生は評価されていましたが、

私は、もう少し直せるのでは?と思いました。

添削例を挙げてみます。


A 着膨れた背のあちこちに猫の毛あり

B 着膨れた背に猫の毛のふわふわと

C 着膨れたその背に猫の毛が光る



まず、「背中」ではなく「背」とすれば、

2音分、ほかの表現に使えるでしょう。

そして、この句をよりユーモラスにするために、

私は、「ふわふわ」というオノマトペを使ってみました。

添削例Cでは、「猫の毛」を少し描写してみました。

しかし、このように、

私なりに添削してみましたが、

皆藤さんの原作のほうが、

分かりやすくて、いいのかもしれませんね。


最後に、特別永世名人の、

梅沢富美男さんの俳句を見てみましょう。


コロコロのミシン目ずれている四温


完成度の高い俳句です。

夏井先生も、「格の違いを見せつけた」と、

絶賛されていました。

このままでも十分なのでしょうが、

私は、次のように添削してみました。


A コロコロのミシン目ずれて小春かな

B コロコロのミシン目ずれて年の暮

C コロコロのミシン目ずれてクリスマス


「四温」は、「三寒四温」の「四温」です。

しかしながら、「四温」と聞いて、

世の中のどれほどの人が、

この「四温」を思い浮かべるか、はなはだ疑問です。

花の「紫苑(シオン)」と誤解する人も少なくないでしょう。

現に、広辞苑には、「四温」という言葉は載っていません。

というわけで、

私は添削例Aでは、「小春」を使ってみました。

それと、原作の下5の「いる四温」が、

微かに窮屈な感じがしませんか?

以上のポイントに留意しながら、

ゆったりとしたリズムの句に直してみましたが、

いかがでしょうか。

もちろん、語順を代える添削例も考えられるでしょう。


D 小春日やミシン目ずれているコロコロ

E 極月やミシン目ずれているコロコロ

F 風花やミシン目ずれているコロコロ


「極月(ごくげつ)」は、12月のことで、

「風((かざはな)」は、冬の晴天にちらつく雪のことです。

上記の3例とも、下5が6音ですが、

「コロコロ」はオ母音の4連打ですので、

それほど違和感はないかなと思います。

そして、やはり、

最後に「コロコロ」で種明かしするほうが、

読者もより楽しめるのではないでしょうか。

さらに、思い切って、

5・8・4のリズムにするのもアリでしょう。


G 小春日やミシン目ずれてるコロコロ

H 極月やミシン目ずれてるコロコロ

I  風花やミシン目ずれてるコロコロ


こうするほうが、

勢いがあって、いいのかもしれませんね。


今回は以上です。













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