第21話 ならここの里1

油山寺を出た僕らは、山間の道を走っている。

対向車とギリギリすれ違えるほどの車幅や細い橋が架かっていた。

そうして辿り着いたのが「ならここの里」と言うキャンピング施設だった。

黄色い外壁の建物が受付棟。

その少し北側には、温泉に入ることが出来る施設「ならここの湯」もある。

到着すると、彩夏は受付に出掛けて行く。

僕は、駐車して待つことにした。

辺りは、木々が生い茂っている。

まだ、紅葉には早い。

どちらかと言えば秋のはじめだから。

気温もまだまだ暑い。

10月中旬なのになぁ。

もうそろそろ気温も下がってくると思うけど。


「宗一朗、お待たせ」

「うん、それでどうしたらいい?」

「フリーサイトなので、このまま車で。道は案内するね」


僕は、彩夏の案内でフリーサイトエリアへと車を進める。

ちょうど、この辺りはならここの里の施設しかないらしい。

そして、フリーサイト…。

僕らは、車を停めて降りる。

そこは、芝生が敷かれ木々も植えられた緑豊かなところだった。


「宗一朗、設営しようか」

「ああ、やろう」

「じゃあ、まずはタープからだね」


車からタープを下ろす彩夏。


「まずは、タープを広げるよぅ」

「じゃあ、こっちもつね」


僕らは、両端を持って広げていく。


「ポールを本体布にセットして、メインロープをかけるよ。

そしたら、私がペグ打ちするから宗一朗は立たせて」

「うん、分かったよ」


僕は、ポールを立たせ支えるとその間に彩夏がメインロープを張り、ペグを地面に打ち付ける。


「次反対も」


僕らは、反対側に向かいもう一つのポールも立たせ、同じようにメインロープを張ってペグ打ちをした。


「あとは、サブロープだね。

2人だと楽だね」


彩夏は、そう言いながらサブロープのペグ打ちも終わらせた。

手際がいい。

ソロの時は、ポールは立てずにメインロープを張るらしい。


「次はテントだね。今日はワンポールテントにしたよ。

まずは、グランドシートを敷くね…うーん、この辺かなぁ」


彩夏は、タープの位置からテントの位置を決め六角形の真っ黒なグランドシートを敷いた。

グランドシートは、レジャーシートのような物でテントが汚れないようにするための物である。


「ワンポールテントは、その名の通りポールが一本だけなの。

だから、まずはロープを張ってペグ打ちしちゃうよ」


僕らは、手分けしてグランドシートとフライシート(テントの事)を同じペグでロープを打ち付ける。


「うん、2人だとすぐ終わるね。

あとは、ポールを頂点に合わせて立たせれば」

「あ、僕がやるよ」


僕は、彩夏の代わりにポールを立てる。

そして、テントが出来上がった。


「じゃあ、あとはテントの内装とリビング作りだね」

「彩夏は凄いね」

「え?なにが?」

「設営凄い早い」

「うーん、慣れの問題だよ」


それからは、車から荷物を下ろしていく。

彩夏は、あっという間にテントの内装とリビング作りをしていった。










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とあるバリスタのアウトドアな休日 天風 繋 @amkze

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