第49話・戦いの決着とその後

 水魔法であるアクアアローを放ちながら、燃え上がる悪魔というモンスターと戦う私達。


「ヒートプロテクション!」


 ルビは火属性が効かないから、ダメージ軽減する防御魔法を使い、ソフィとカナリアは魔法で攻撃、ユキは氷魔法を使い続けた。


『抵抗するな!』


「黙れクソガキ!」


 私は叫び、メイスを叩き込む。他のところでも同じようなモンスターと戦う中、私達はダイチを軸にして戦う。


「ゴ!」


 ダイチの連続パンチが決まる中、炎攻撃を軽減しながら戦う。


『燃えろ!』


 炎のブレスが放たれるが、炎の中を突っ切ることにした。


「うおぉぉぉぉぉぉ!」


 これくらいの火にビビっていたら生き残れない。そんなこともあった。


 攻撃と回復を繰り返しながら、私達は少しずつ追い込んでいく。ブレス攻撃の方に巨大な腕の薙ぎ払いを放つが、ダイチが気合を入れて防いでくれる。


「ゴ!ゴーーーーー!!」


 ダイチは土属性のオーラを纏い、それにより防御力が上がる。


『これは麒麟の力か!?』


 ダイチの連続パンチが決まる中、私は振り上げてから、メイスを叩き込む。


『ぐはっ!』


「まだじゃい! お前は怒らせすぎじゃいバカガキ!」


 ルビは雷魔法を使い、魔法攻撃が四方向から放たれ、膝をついたところでメイスで滅多打ちにして、ダイチのタックルが決まる。


『おのれおのれおのれ!』


「振りかぶり!」


 メイスの一撃を強くするアーツを使い、私は頭へと飛ぶ。


『バカな、コボルト風情に!』


「日本男子なめるんじゃねえよ!」


 叩き落とした。


 悪魔は悲鳴を上げてポリゴンになる中、どうやら最初に倒したのは我々らしい。


「すぐに別のところに行くぞみんな」


「ゴ!」


 全員が頷きあい、私達は町に現れたモンスター退治に入る。


 その頃にガチ勢が親玉を倒して、被害は最小限に抑えることはできた。


 ◇◆◇◆◇


 建物の修理、畑を直したり、溶岩を冷やして固めて捨てる作業。


 やることはいっぱいだが、ドワーフの人達は悲観していなかった。


「皆さんのおかげで助かった。これくらいドワーフなら三日も経たずに直してみせよう!」


 王の言葉にドワーフの人達は協力し合い、街の復興へと入る。


 プレイヤーも手を貸す中、朱雀様の神殿が一時的に宿になり、町の人達を集めて避難させていた。


「さあ皆さん、料理を振る舞いましょう」


「おー!」


「カレーはまだまだあるぜ!」


「パンだってありますよ~」


「シチューもあるぜ」


「ピザもたくさん焼くぜ!」


 料理人プレイヤーが料理を振る舞い、ガチ勢は残ったモンスターなどを退治しに出向き、町の復興を早める。


「おにぎりできました」


「はいありがとう、上手になりましたね」


「はい!」


 若葉さんと犬耳の子が仲良さそうに会話して、おにぎりを配る。私はおにぎりを頬張りながら、ふむと考えこむ。


「………まあいいか」


 味に覚えがある私はそう考え、復興のために解放された鉱山に出向き、鉄を集める。鉄から様々な道具を作り、街の復興へと使っていく。


 まだまだ復興は終わらないが、ある程度軌道に乗ると、イベントは終了。報酬が配られた。


「おお、武器は凄いな」


「防具も良いぜ」


「称号ゲット」


「やったぜ」


 私達もそれなりに良い称号や武器を受け取った。朱雀様から感謝の言葉をいただき、北へと帰ることに。


「若葉さんはあの子と仲良くなったんだね」


「ええ、フレンド登録しましたよ」


「………自分だけずるくない」


「あら?気づいてるんですか?」


「孫かどうかくらいわかる」


 そう、犬耳の子。私とは名乗りも挨拶もしていない子。あの子は絶対の孫だ。孫が私の為に握ったおにぎりの味がしたのだから間違いない。


 それにあらあらうふふと微笑む。紹介してくれないらしい。ずるい。


「子供ならいっぱいいるのですから、いまはそれで我慢しなさい」


「パパ、今度はどこに行く?」


「お父さん、次はなにするんでしょうか?」


「父上、今度は玄武様のところに」


「ゴー」


「新しい洋服作りたいです」


 いろんな子供達がそういって、はいはいとみんなの言葉を聞く。


 どうやらまだまだやることは山のようにあるようだ。だからまだやり続ける。いずれ出てきてくれるだろう。


 孫とは、腰の痛みも関係なく、私はこのゲームを続けていくつもりだ。


 大事な家族が増え、友人も増えたこのゲームライフ。楽しみながら生きて行こうと思う。


 私はコボルト農家シルバ。たまに鍛冶をして装備を作り売っている。テイマーとして家族がたくさんいて、その子たちのために冒険の日々を送っている。


 さて、今度はどこに行こうか。そう考えながら私達はゆっくりと北の町に戻っていった。


 ブログはそうだな、朱雀様、玄武様、麒麟様、青龍様、白虎様の像をブログに張り付けて、コメントを書こうと思う。


 他の神様も気になるから、今度はそちらをメインに、冒険しようと思う。


 いやはや、このゲーム、やってみて本当によかったと思う。そう考えながら、私は静かに微笑んだ。


(完)

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コボルト老夫婦のVR日誌 読書好きのシマリス @ookina-simarisu

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