第48話・シルバ達の戦い

 悪魔との戦闘だが、こちらの勝利で終わった。


 相手はスカーレットデーモンの配下、それを倒してすぐに報告しに出向く。


「なんと、スカーレットデーモンにまだ配下がいたか!?」


 朱雀様は驚き、溶岩の方で厄介なと頭を痛める。


「スカーレットデーモンというのは」


「この地に封印した古代の悪魔だ。溶岩の中に封じているが、どうも甘言に乗せられた者達が封印を解いてしまったようだ」


「そうですか」


 もうすぐスカーレットデーモンが復活する。この場合、対処することは二つある。


 一つはスカーレットデーモンの討伐。溶岩地帯を動くスカーレットデーモンを倒すため、さまざまなアイテムが必要になる。だがガチ勢もいる精霊人にとって、これは問題ない。


 もう一つの問題は活性化する火山。溶岩が流れ、辺り一面火の海になる。


 王がこれには沈痛な顔になり、どうするか考えるが、悩む暇は無い。


「王よ、すぐな避難できる者達は避難させるべきです」


「シルバ、だがしかし、この地は我等の生活を支えていた土地。すぐにそれらを置いて逃げるなぞ」


「ならば戦うしかありません。溶岩が流れるのなら、それを逸らす方法を模索するしかありません」


「そんなこと、できるのか」


「できるできないではなく、やるしかありません」


 ストーンウォールという魔法と、クリエイトアースがある。


 それにより分厚い石壁と、溝を作り出して、海に流れるように調整するしかない。


「それでも漁業において、大打撃でしようが」


「いや、土地が残ればまだやり直せる。こちらからの支援は必ずする。だから溶岩から国を守ってくれないか?」


「はい!」


 こうして土魔法使いと一部の戦闘プレイヤーが参加することになった。


 クエスト『紅蓮の悪魔討伐』と『災厄を逸らせ!』が発生する。


 こちらは溶岩の動きと流れの予測、それによって作る石壁の量と質が重要だ。


「やれることはすべてやるぞ。みんな手を貸してくれ」


『おう!』


 こうしてプレイヤーの戦いが始まる。


 ◇◆◇◆◇


 森を切り、溶岩によって発生する火災の対策をすると共に、溶岩の流れを確認しながら耐えるしかない。


 石の壁を魔法で作り、強固な物へと強化、溝を掘り、海へと流すコースを作り出す。


「カウントダウンがあるんですけど、これって」


「溶岩が流れるまでの時間だね!」


「それじゃ急がないと」


 レベルの低い高いは言っていられない。できることをする。


 少しでも深くするため、掘っていくダイチがいる。少しずつコースの土台を作り、私は朱雀様に力を借りて、空から確認したりと様々なことをする。


「こちらの川と繋げます。掘り進んで」


「はい」


「溝をできるだけ深く、あふれ出させないようにしないと」


「はい!」


 掘った土も土壁として積み上げていく。少しでも溶岩の進行を妨害して、海へと逸らす。そのためだけに活動する。


「カナリア、ソフィ、ルビ、ユキ、モンスターの邪魔を止めてくれ。若葉さん、指示お願いします」


「はい!」


 みんなもやる気であり、こうしてあっちに行ったりこっちに行ったり、ついに時間が来たとき、噴火が始まった。


 溶岩の方は、うん、うまく溝に沿って、海へと流れていく。町の方に流れてこないぞ。


 だが噴火の際に振ってくる火の粉や石が危険だ。町の方は避難をしている最中、すぐに手を貸しに行かなければいけない。


「一部の土魔法使いは石壁の補強をしつつ、維持を。それ以外の人は町の人の避難を助けて下さい」


「はい!」


 こうして町の方に行くと、まだ避難できていない人もいた。


 石が頭に激突して苦しむ人がいるため、回復魔法をかけたりして運び出す。


「ご! ゴー!」


 降って来た石を殴り壊すダイチ。なんとか守りながら避難を始めている。


「シルバ!そちらはどうだ!?」


「王様!逃げていないんですか!?」


「馬鹿モン!避難を終えていない民がいるのに、いの一番に王族が逃げて、なんとする!」


 ダイチのように降ってくる大きな石を鉄のハンマーで粉々に砕く。


 こうして逃げる中、火山地帯から咆哮が上がる。


「スカーレットデーモンか。むっ、いかん!」


 炎から声が聞こえ、配下のようなものが現れだした。


「なにしているお前らぁぁぁぁぁ!」


 火を点けて建物を燃やそうとするモンスター。それを退治するため、私達は戦闘が始まった。


「アクアアロー!」


「アイスショット!」


「ウォーターブレス!」


 攻撃には他のプレイヤーも参加して、火を点けるモンスターを倒す。


「ヒートプロテクション!」


 ルビが火属性のダメージを軽減する魔法を全員にかけ、マグマが火に突っ込み、配下を倒す。


 リーサが一突き兎達を集めて倒しだし、他の子も魔法を使い戦い出す。


「なにがおかしい!」


 笑いながら火を点けて壊そうとする配下。何を考えているんだお前ら!


『無駄無駄!お前らのしていることは無駄だ!』


『スカーレットデーモン様は偉大なり、全てを燃やせ!火を点けろ!』


『全ては灰燼に帰すのだ!』


 ふざけるな!


「させると思っているのか! たとえ建物が壊され、燃やされようと、私が復興させる!」


 私は声高らかに宣言する。配下達は無駄と叫ぶが、無駄なものか!


「人の力をなめるなよ! 戦争に負けて、食料もなにも無い状態から、人は国を立て直すことはできたんだ。たとえ私にとってここは違う世界でも、同じように建て直してみせる! お前らなんかに負けてなるものか!」


 私はそう宣言して、戦いが始まる。


 火は集まり、大きな体を手に入れる。どうやらこちらのラストバトルが始まるようだ。

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