Blue Rose〜最終話
《登場人物》
男1×女1
マスター Barのマスター。男性。
女性 客。いつも決まって青いカクテルを注文する。
《概要》
とあるBar。初めて訪れた女性が注文したのは「青いカクテル」。
名前のわからない青いカクテルが何なのか?
女性はなぜ青いカクテルを注文するのか?
3話完結の最終話。
《目安》7分程度
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『Blue Rose〜最終話』
ここはお客様に、お酒と安らげる時間を提供する空間。
お客様にとって、それは思い出の味かもしれない。
心を込めて、この一杯を。
(足音)
え…? 閉店のお知らせ? そんな…
ータイトルコール『Blue Rose』ー
(入店)
女 こんばんは
マスター いらっしゃいませ。お待ちしておりました。
女 え…? 私を…?
マスター はい。そろそろお見えになるんじゃないかと。
女 あの…ここ、なくなっちゃうんですか?
マスター あ…お気づきになられましたか?
女 はい。表の張り紙を見て…
マスター はい。しばらく留守にするので、お店は閉めることにしました。
最後にお会いできて嬉しいです。
今日も、いつものでよろしいでしょうか?
女 えぇ。いつもの…青いカクテルをお願いします。
マスター かしこまりました。少々お待ちください。
(カクテルSE)
マスター お待たせしました。こちら、エメラルドクーラーでございます。
女 え…? あの…これ…。青じゃないような…?
マスター はい。青ではありませんが、きっとお客様が探している味のはずです。どうぞ、お召し上がりください。
女 はい…。いただきます…。
女 (一口飲んで)え…?! これ…!
マスター 当たっていましたか?
女 はい…! これです! この味!
マスター 良かった! やはり、それでしたか。
女 どうして…? どうしてこれがわかったんですか?
マスター 今までのお客様との会話から、もしかしたら、青いカクテルというのは記憶違いだったんじゃないかな?と…
味のイメージや初めて飲むカクテル、そのあたりの情報からこちらじゃないかなと。
女 でも、今までそんなこと一言も…
マスター それは…。私も色が違うことは思い浮かばなかったので…。
ただ、先日いらした時に、記憶というものは月日とともに変わることもあるのだと気づきました。
女 どういうことですか…?
マスター お客様。いえ、○○さん、ですよね?
女 え?! どうして私の名前を?
マスター やっぱり! そうじゃないかなと実は先日、気づきました。
女 あの…あなたは…?
マスター 失礼しました。まだ、名乗っていませんでしたね。私、○○と申します。覚えていますか?
女 ○○…。あ…! え?! もしかして同じクラスでした?
マスター はい。△△高校のB組ですよね?
女 そうです! 担任は麻生先生!
マスター ですよね! やはり同じでした。
女 嘘…。なんで今まで気づかなかったんだろう?
マスター それは…あれから20年近く経っていますし、お互い、当時は眼鏡でしたよね?
女 そうでした! 確かに!
マスター (眼鏡をかける)どうですか?これなら記憶にありますか?
女 あ! あります!覚えてます!○○君!
マスター 良かったぁ。これでも覚えてなかったら、そんなに存在感薄いやつだったのかと。
女 すみません。でも、○○君も私のことすぐ気づかなかったんでしょう?
マスター それはこちらもすみません。○○さん、お綺麗になったので。
女 まぁ! そんなお世辞を。
マスター 本当ですよ。それに…この前の卒業式の話…
女 あ…! 1人だけの卒業式にみんなが待っててくれて、ミスチルを歌ってくれた!
マスター そうです! そんな話、滅多にないでしょう? それで、○○さんだと気づきました。
女 そうだったんですね! その時に言ってくれたら良かったのに。
マスター いや…それは…。はっきり確信は持てなかったし、それに…僕のことを覚えてないかもしれないと思ったので…。
女 そんなこと…。クラスではあまり絡んでなかったですもんね。コースが違ったから授業もほとんど別だったし。
マスター そうですね。でも、○○さんは目立っていましたよ。活発なイメージでした。
女 なんだか恥ずかしいですね。それにしてもびっくり! まさか、同級生だったなんて…!
マスター ほんとですね。こんなふうに偶然、再会するなんて。
女 ね、マスター。○○君、おかわり何か作って。○○君も一緒に飲みましょう。
マスター はい。かしこまりました。
(カクテルSE)
マスター お待たせしました。こちら、ピンクレディでございます。
女 ありがとう。○○君のは?
マスター こちらはダイキリです。ポピュラーですね。
女 じゃ、改めて、再会を祝して、乾杯!
マスター いただきます。
女 あ…そうだ。お店を閉めるって言ってたけど、どこかに引っ越すの?
マスター いえ。しばらく旅に出ようかなと。昔から行ってみたかったんだよね、ヨーロッパ。
女 ヨーロッパ?! すごい! 良いね! どちらに?
マスター フランスやイタリアに行こうかなって。 映画に出てくる街や景色を見たくて。とーやさん、ビフォア・サンセットって知ってるかな? あとは、ありきたりだけどローマの休日とか。
女 あ…! 知ってる! 9年ぶりに再会した2人が空港に行くまでを過ごす時間がリアルでドキドキするよね!
マスター 知ってた? そう。運命の再会、そして、わずかな時間だけのデート。
女 いつか私も行ってみたいなぁ。今は仕事が忙しいし無理だけど。(間)
それにね、私、夢があるの。
マスター 夢? どんな夢?
女 私、自分のお店を持ちたいんですよ。今は全然違う仕事してるけど、いつか、気軽にお酒や料理を楽しめるバルのようなお店をやりたくて。
マスター 良いね! 料理も自分で?
女 えぇ。こう見えて、料理は得意なのよ。昼間はランチやコーヒーを、夜は女性が楽しめるように、野菜を多く取り入れた料理をお出ししたいわね。
マスター それは素敵だね。実現したらぜひ、僕も行きたいな。
女 ありがとう。その時はぜひ! あ…、それでね、青いカクテルが何だったのか、探していたの。
マスター そうだったんだね!
女 えぇ。軽く飲めるカクテルやサワーなんかを出したくて。見た目にも綺麗だと、女性は嬉しいから。
マスター なるほど…。でも、綺麗な色や飲みやすいものなら、他にも色々あるけど、どうして青いカクテルを?
女 青いカクテル、友達に薦められたと話したでしょう? 昔ね、その子と約束したの。お互い、夢が実現したらまた会おうね!って。
だから、実現したらその子を招待して、あの時の青いカクテルを出したくて。
マスター 素敵だね。そんな風に約束しあえる関係。
女 ありがとう。いつ叶うかわからないけど。
マスター きっと叶うよ。あ、そうだ。もう一杯だけ、飲んでほしいお酒があるんだけど、良いかな?
女 (不思議そうに)えぇ。いただきます。
マスター では、少々お待ちください。
(カクテルSE)
マスター お待たせしました。こちら、Blue Roseでございます。
女 わぁ…! 綺麗な青! いただきます。
女 おいしい…! 甘い香りなのにさっぱりしていて、とっても飲みやすくて。これはどういう…?
マスター 企業秘密でございます。こちら、オリジナルなんですよ。
女 オリジナルのカクテル! 素敵!
マスター 青い薔薇を知ってる? 昔から青い薔薇を咲かせることは不可能だと言われていて、研究されてきたんだけれど、今ではその開発が成功し、青い薔薇の花言葉は「夢叶う・奇跡」と名付けられたんだ。
このカクテルも同様に、あなたの夢が叶いますようにという願いを込めて考えたんだ。
女 ありがとう! あの…これ、私のために…?
マスター うん。○○さんから青いカクテルのオーダーをいただいているうちに、もしかしたらオリジナルのカクテルだったのかも?と思って。
ずっと探していたカクテルを引き当てたら、まさに奇跡でしょう?
それと同じように、夢はきっと、いつか叶うよ。
女 えぇ! 勇気をもらった! 今までは漠然と夢を描いていたけど、具体的に考えてみる。
いつか、実現したら、渋谷君も来てね!
マスター もちろん! 今度は僕がオーダーするね。「青いカクテルはありますか?」って。
女 かしこまりました!
(乾杯SE)
ー了ー
Blue Rose ふわり @fuwari3333
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