第2章 初デート
第6話 待ち合わせ
その後、一週間程経過して迎えた約束の日曜日の午前中。
青木空は近所にあるショッピングセンターに自転車で来ていた。そして、
「さて、待ち合わせ場所はここですが、水野さんはもう来てますかね?」
そう言って、青木空は入り口の当たりを見渡してみると、隅の方に小柄な背丈で黒髪の綺麗なロングヘアの女性を見つけたので空は彼女の方へと歩いて行った。そして、
「えっと、間違っていたら申し訳ないのですが、もしかして水野さんですか?」
空がそう声を掛けると、彼女はゆっくりと空の方へ振り向いた。
そして、彼女は空の顔を確認すると。
「おはようございます、青木くん、今日は一日よろしくお願いします」
今までの学生生活の中で女子生徒と話をする事が殆どなかった空としてはクラスで一番可愛いと言われている詩月の笑顔はとんでも無い破壊力があり。
彼女の笑顔に見惚れてしまい、空は数秒間その場で固まってしまっていた。すると、
「えっと、青木くん、どうかしましたか?」
少しの間黙ってしまっていた空を観て詩月はそんな事を聞いて来たので。
「あっ、いえ、何でも無いです!!」
空は慌ててそう言った後、今度は詩月の服装を観てみると。
彼女は白色のワンピースを着ていて水野詩月にはよく似合っていたので。
「水野さん、そのワンピースとても似合っていますよ、何と言いますか制服姿の水野さんも魅力的ですが、今日の水野さんはそこに清楚さも加わっていつも以上に魅力的に見えますよ」
そう言って、空が彼女の服装を褒めると。
「えっ……青木くんってそんな事を言う人だったんですか? 何と言いますか私が想像していたイメージと随分違っていたので少し驚いています」
少し引いた様子で詩月はそんな事を言ったので。
「まあ、さっきの言い方は僕も似合っていないなと思いました。でも、今日の僕は水野さんの彼氏頑張って振る舞ってみようと思っているんです、水野さんの貴重な休日の時間を貰っているので、そのお返しとして僕は少しでも水野さんの小説作りの力になりたいですから」
空がそう言うと。
「……成程、そういう事なら青木くん、私も今日は青木くんの事を彼氏だと思うって接するので青木くんも私の事を彼女だと思って接して下さい、確かに青木くんの言う通り本当の恋人同士だと思って接さないと良いネタは浮かばないと思いますから」
詩月はそんな事を言ったので。
「分かりました、それでは水野さん、今日は一日デートの相手をよろしくお願いします」
空がそう言うと。
「ええ、よろしくお願いします、あっ、それと青木くん、今日デートをするに当たっての約束に付いてですが」
詩月がそう言ったので。
「ええ、勿論覚えていますよ、幾ら恋人みたいに振る舞うとはいえ、事前に約束した通り水野さんの体に触れるような事は絶対にしないのでその点は安心して下さい、見ての通り僕はかなり奥手な人間で例え水野さんが僕の本当の彼女だったとしても手を繋いだりするのにはかなりの回数デートを重ねないと無理だと思いますから」
空は詩月を安心させる様にそう言うと、彼女は「ふふっ」と小さく笑ってから。
「青木くんがそんなに奥手なら将来彼女になる人はかなり苦労しそうですね、でも、それなら今日は安心して青木くんとのデートに集中できそうです」
笑顔を浮かべて詩月はそんな事を言ったので、そんな彼女の顔を観た空は詩月から目を逸らしながら。
「えっと、それじゃあそろそろデートを始めましょうか、いつまでもここで雑談をしている訳にもいきませんからね」
空がそう言うと。
「ええ、そうですね、それじゃあ青木くん、今日は一日デートのお相手をよろしくお願いします」
詩月は改めてそう言ったので。
「ええ、こちらこそよろしくお願いします、水野さん」
空もそう言葉を返して二人は休日デートを始めた。
同級生の美少女の手帳を拾った結果、彼女の偽の彼氏になりました 向井数人 @tyuuni
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