第3話 拠点とダンジョン。

今造ったばかりのダンジョンの主とも言える僕のダンジョンでの拠点となる所をユキと見ることにした。


広さで言えば大分広い。東京でこんな広い土地造って建物を建てたらいくらお金がかかるかわかったものではない。建物のある土地だけで皇居くらいの広さがある。どうせだからと奮発してしまった。建物その物は洋風和風どちらにしようかと悩んだが結局和風にした。


平屋で広い建物にしようと思って唸っていたが、ふと平安時代の貴族の屋敷やお寺や神宮のようなものにしようと思い有名所を調べて自分好みの名所のようなものが出来上がった。見る人が見たら「これあそこをパクってね?」とか思われそうである。


これはいわゆる何式の建物だと聞かれても知らないし平安風としか答えようがない。しかし見る人が見たらこれは違うと否定されるかもしれない。まあ自己満足だから良いのである。


なんとなく欲しいと思って枯山水を造ったり、枯山水とは別に草花のある綺麗な庭園も欲しいと思い造ったり、はたまた平安風の屋敷やお寺神宮と言ったら池かな?と思い水の透き通る綺麗な池まで造ってしまった。


「綺麗な拠点が出来ましたね。」

「うん。僕とユキしか居ないのに造り過ぎたかも」


そう苦笑しながら言うと「いえこれで良いと思いますよ」だなんて言われると。何故だろう?そう思って居ると


「これから先、他の眷族が出来たり、もしかしたら客人を招くことがあるかもしれませんから。これくらいあって大丈夫ですよ。それに、私や眷族とも違うような従者やメイドとも言える様な者が居れば庭や池の手入れは出来ますから。」

「たしかにそれもそうだね。そう言われるとここを造って良かった。しかしこんな所の持ち主になることがあるなんて夢のようだよ。ダンジョンの主になって良かったかも。」

「はい。現実でしたら相当難しいですものね。」

「うん。将来ここがどうなるか今から楽しみだ。それに何と言ってもダンジョン。ワクワクして仕方がないよ。」

「それは良かったです。樹様が楽しくして居るのは私も嬉しいですから。」


「それにしても、よくこの拠点を思いつきましたね。」

「うん?この屋敷のことかい?」

「それもそうなのですが、まさか天空に大地を造りそこに拠点を建てるとは思いもしませんでした。」


そう、ここは何と空の上である。樹は最初このダンジョンの世界の中心となる場所やはたまた秘境とも言えるような場所に拠点を建てるつもりで居たのだがそれでは何だかつまらないと思いまさかの天空に浮かぶ大地に拠点を造ってしまった。


「天空の大地にこのお屋敷に、緑の咲きほこる森にそれに美しい山々まで。まさかこう言った拠点を造るとは思いもしませんでした。」

「いやー、やりすぎちゃったかな。造り始めたら楽しくてね。まだ拠点だけなのにね。」

「いえ良いと思いますよ。このような空の上でしたら地球の者がダンジョンに入れるようになり樹様に何かしようとしても簡単に手出しが出来ませんから。」

「あー、確かにそれもそうだね……。ありえるもんね。」

「権力者や成らず者はいくらでも居ますから。それにこのような空の上でしたら簡単に来れない上に私が結界魔法を使えば立派な要塞になりますから。何でしたらこちらから地上に向けて一方的に攻撃する事が出来ますからね。」

「確かに。しかしここから攻撃か。ユキの雷魔法で地上を攻撃したら、それこそ神様みたいだね。」

「そ、そんな私が神様だなんてとんでもございません!このダンジョンでの神様と言うべきなのは樹様しかありえないですから!」


軽く神様みたいと言ったらユキがびっくりするほど慌てふためいてしまった。


「ごめん、ごめんよ、まさかユキがそんなに慌てると思わなくて。」

「い、いえ。私こそ樹様に大して声を荒げてしまいました。申し訳ありません。」

「ちょっとちょっとそんなに謝ることじゃないって。やめてよ。ユキを責めてるわけじゃないんだ。ね?普通にしてくれればいいからさ。」

「わかりました。ですが樹様は私にとっては私を生み出していただいた主であり神様のような方ですから。私がもしもこれから造る国や地球の者に神様と言われたらたまりませんね。」

「そうなんだね。いやすまないね。でも僕は確かにユキを生み出したけど、そんなに僕を上に見なくていいからね?ユキは僕をサポートしてくれる【眷族】だけど出来るだけ対等で居たいんだ。」

「そうなんですね。ふふふ。樹様にそう言って頂くだなんて嬉しいです。」

「はは。まあとりあえずダンジョンの続きをしようか」

「はい。」


拠点の屋敷の中にあるパソコンがある部屋に戻り僕達は新たにダンジョンに造る国や魔物をどうしようかと話始めた。


「国か魔物、どちらから造れば良いか悩むね。」

「造ってすぐに実装しなければどちらから造っても良いのでは?」

「あーそれもそうだね。とりあえず両方ある程度出来てからで良いか。」

「はい。それにしても……。」

「うん?」

「この拠点を造った上でこんなにすぐに国や魔物を造れるとは。ダンジョンの主とは本当に凄いですね。」

「ね。管理者に最初言われた時は僕はもっと苦労するのかと思ってたよ。少しずつ少しずつ造るのかと思ったけど、でも管理者に力を与えられてアプリの造り方が分かるとどうやらそうじゃないことに気が付いてホッとしたよ。何年も何年も辛抱強く造るなんて僕には向かないからね。」

「そらは良かったです。ですが、私が居ることを忘れないで下さいね。私は樹様をサポートするためにいるのですから、無理はしないでください。」

「勿論わかってるよ?ユキは心配性だね。」

「当然です。樹様は私の主ですから。」


僕が願い想像して生まれたのがユキだから、きっとユキが心配性になった原因は僕にあるんだろう。両親が亡くなってから独りで生きてきて少し疲れていたのかもしれない。だけどもやはり人に心配されるのが相手に申し訳なく心苦しくもあるけど、正直自分をそんなふうに心配してくれる人が居るのは嬉しくもある。


「ありがとう。そう言って貰えると嬉しいよ。でもユキも無理をしないでね?ユキに何かあったら僕もたまらないよ。」


ユキが顔をこてんと少し傾けて「私は結界魔法や治癒魔法が使えますから、大丈夫ですよ?」と言われてしまった。いや、そうだけどそうじゃないんだよな。かと言ってどう言って良いか分からないからどうしようもないのだけれど。


「まあ、とにかくダンジョンだ。ダンジョン造ろう。」

「?…そうですね。ダンジョン造りましょう。私も手伝います。」

「そうだね。あ!そう言えば!!」

「どうかしましたか?」


ダンジョンの主だからと言ってダンジョンの管理や作成を何も僕だけが出来るわけではない。ユキにその権限の一部を与えることもできる。


「ユキにも作成と管理をしてもらおうと思ってね。」

「私がですか?」

「うん。僕だけじゃ大変だし。それにどうせなら、僕とユキで別々の国や魔物を造れば僕1人で造るよりもレパートリーが生まれるだろう?」

「よろしいのですか?樹様はダンジョン造るに当たってワクワクしていらっしゃったのに。」

「勿論だよ。今でもワクワクしてるし楽しいけど、地球へのお披露目も早くしたいからね。」

「わかりました。それでは微力ながらお手伝いさせていただきますね。」

「うんよろしくね!ユキが造る国だからどんな国のどんな文化でも構わないからね。地形も弄って構わないからさ。勿論魔物も好きにしてね!」

「わかりました。それでは私も造らせていただきますね。」

「うんうん。あ、それじゃあ出来てから見せ合おうか?この規模ならそんなに時間もかからないだろうし。」

「そうですね。どちらかと言うと魔物の強さの調整や出てくるアイテムの調整。それにこれから造る国とのやり取りはもちろん、何より地球とのあれこれがダンジョンの主にとっては一番大変ですからね。」

「そうそう。そう考えると管理者は暇とは言え細かいことするのが面倒くさかったんだろうな。」

「そうかもしれません。造った後のこと考えるとあれこれが大変ですから。」

「ダンジョンの主、体の良い中間管理職かな……?」

「ま、まあそこはあまり考えないようにしましょう。それに、管理者はそんなに干渉する気が無いようですから。中間管理職のように上からあれこれはそんな無いと思いますよ。」

「そっか。それもそうだね。じゃ国と魔物造ろうか。」

「はい。樹様に喜んで頂けるように造りますね。」

「はは、あまり気にしないでね?」


そう言って2人で国と魔物を造り始めた。ただやはりいざ造ろうと思ってもどういったコンセプトで造ろうか悩んだ。すぐ側でユキはカタカタとやっているのとは違い中々指が動かない。何となく造っては消し造っては消し。そうしているとふと思いたった。


そうだここの拠点は平安風の屋敷にしたがならいっそ今から造る国は平安風の国にしようかな?建造物は平屋で長屋があるような。まあ良くある和風の国にするかな?や、待てよ?中華風も悪くないな。悩むとても悩む。だがいざダンジョンを地球に実装してから」日本人が造るから和風なんてありきたりだな。」とか思われたり言われたりしても嫌だから中華風にしてみるか。


そう思いチラっとユキを見て閃いた。そうだ!ユキは天使で翼がありキトンのようなものを着ている。それならキトンを着ているいる古代ギリシャ風の国にしよう!


そう決まってからは嘘のように指が動く。史実の様に正確に造る必要もないのである程度決まれば楽なものだ。古代ギリシャのように都市国家を造り、街の中心部にはアクロポリスのような高所要塞を造る。ここは王の住居であり街の中枢と呼べるような物にしよう。


しばらく時間が経ち僕が造りあげた国ができあがる。そして次は魔物だ。こちらは適当に狼やら猪やら、あとはファンタジーお馴染みのゴブリンやオークとかありきたりなので良いかな?そのへんに強力な魔物なんていたら国が成り立たないだろうし。それにいざ地球で公開してもそのへんに強力な魔物がいたらなす術なくあっさり死んでしまうだろう。強力な魔物は人里離れた所にしてゲームのイベントのようにたまに人里に降りてきて被害をまき散らすとかにしようかな。


そしてまた時間が経ちある程度魔物の配置が終わったところで僕の初めての国造りと魔物造りが終わった。いざこういうのを造り始めるとやはり楽しい。次はユキが造ったのを見るのが楽しみだ。


少ししてユキも造り終えて樹の方を向いた。


「お待たせして申し訳ありません。造り終えました。」

「ううん全然待ってないよ!」

「本当ですか?」

「うん本当だよ。じゃあ早速だけどお互いに造った国を見ていこう!」

「はい。樹様のを見るのが楽しみです。」

「僕もユキのを見るのが楽しみだよ!」


そうして僕はユキの造った国を見るのが見始めた。良かった。コンセプトは被らなかったようだ。ユキの造った国は何と和風な国だった。魔物には犬や狼、そらに蛇などまあ僕の造った国とはそのあたりは大差ない。


「ユキは和風の国にしたんだね。」

「はい。大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だよ。僕も最初和風にしようか、それとも中華風にしようか悩んで結局横見たらユキが居てさ。」

「はい?」

「それで閃いて古代ギリシャ風にしたんだ。」

「それでこの服装なんですね。」

「うん。ダメだったかな?」

「いえ樹様が造った国ですからダメなんてことはありません。」

「良かった。」


本当に良かった。ユキにダメと言われる事は無いだろうがユキを見て閃いたって辞めてくれなんて言われなくて良かった。


「コンセプトが被らなくて良かったね。」

「そうですね。所であの……」

「うん?」

「樹様の造った国の魔物も住民も【スキル】が設定されていないのですがよろしいのですか?」

「あー!しまった忘れてた!国造るのに夢中になって【スキル】を付けるのを忘れていたよ!ユキはどんなのつけたの??」

「私は和風の国なので【刀術】や【忍術】なんてものも一部の者につけてみました。」

「おー、良いね。あとは【弓術】や【槍術】とか?」

「はい。あとは昔の日本であったような、今ではマイナーとも言えるようなスキルもつけてみました。」

「うんうん【忍術】だなんてものもあるしいかにもゲームみたいだね。」

「はい。それに折角ですから、昔の陰陽師と同じにはならないですが、【召喚·和】もつけました。」

「ますますファンタジーだ。」

「そうですね。」

「【召喚·和】か。鬼みたいな魔物も味方に出来るもんね。」

「それに一口に【召喚·和】と言っても人によって千差万別ですから。他にも天狗や蛙、はたまた狸に狐色々ありますから。」

「うん。人によっては空を飛ぶものも召喚できるからね。」

「はい。【スキル】によってよその国のコンセプトがでるので良いですね。」


そうなのである。国の雰囲気服装等によって大分かわるのに、そこにさらに【スキル】によってもかわる。しかも【召喚】には和以外にも中華風な【召喚·中】などもある。これなら人と被ることは中々無いだろうし色々な魔物が見れるようになるだろう。


「うーんそうなると僕はどうしようかな?やはり【剣術】【槍術】は必要だし当然【弓術】もいる。あ、【盾術】もいいな。」

「そうですね。和風ですと盾はそんな使わないイメージですが古代ギリシャ風ですと盾のイメージがありますね。」

「うんうん。あとはそうだな……あ!」

「どうしましたか?」

「うん、この国は体術みたいな、格闘技だったりの、物理系統の【スキル】をつけようかなとおもって。」

「なるほど。私の造った国と違い近距離に特化させるわけですね。」

「……よし、【格闘】【頑強】【体力増加】あたりはつけるか!」

「良いと思います。」


こうしてユキの造った和風の国と違い古代ギリシャ風の国は脳筋国家になった。脳筋相手にするなんて僕には出来ないな。盾と槍や剣を構えた相手が体力もあり格闘術も持っているだなんて。


「さてと、あとは国名はどうしよっか?」

「国名ですか。」

「うん、国名。」

「国を造るより悩みそうです。」

「ね。」


あれこれ悩むが中々決まらない。古代ギリシャ風の国の名前なんてどうしたら良いんだ。うんうん唸っているとユキが名案を出した。


「あの、思ったのですが。」

「何?」

「いっそいざ実装したときにそれぞれの国の代表に名前付けさせれば良いのでは無いでしょうか?」

「お!!それだ!そうしよう!」


ユキの名案に乗る事にした。それなら僕もユキも悩む必要がない。後は実装と、何より地球に公開することに注力できる。


「地球に公開するのはいつにしようか?」

「実装して国名が決まった後で良いと思います。」

「そうなんだけどさ。そのタイミングがーとか、どこにどんな形でダンジョンの入口を造ろうかなって。」

「たしかにそれも問題ですね。」


2人で悩んでいると突然第三の声が響いた。


「わー!もうここまで出来たのかい?!まだ1日しか経っていないというのに君は熱心だね!」

「うわ!びっくりした。」

「ははは済まないね!まはか昨日の今日で造りあげるとは思わなかったからね!思わず様子見に来たよ!それと提案があるんだよー!」


提案があると言われ僕とユキは顔を見合わせた。今度は何を言うんだろうか。


「うんうん提案だね!言ったと思うけど他の人にもダンジョン造ってもらうと言ったろう?」

「はい言われました。」

「うんうん!だけどさまだ他の主は造り終えていないんだ!」

「はい、僕はもう造ってしまいましたが。ちょっと速かったですね。」

「いやー感心感心!僕は嬉しいよ!」

「は、はあ……。」

「で提案というのはね、どうせだから他の主がダンジョン出来てから一斉に地球に公開しちゃおうと思うんだよね!」

「それは構わないのですが、いつ頃になるのでしょうか?」

「うーん適当に3日後にしようかな!」

「はやいですね。」

「そうかい?!君がもう出来たように造ること自体は簡単だからね!3日で充分さ!たぶん!」


管理者は簡単に言うが、実際凝る人は凝って時間かけて造りそうだ。と言うか3日後か。早いと思いつつ楽しみだ。


「それとね!地球の国へのダンジョンの周知は僕に任せてよ!」

「それは構わないのですが、どうするので?」

「ふっふー3日後のお楽しみさ!」

「え、周知と同時に公開するのですか?」

「だめかな?!」


ダメではないけどいきなりすぎるだろう。世界中の人々は混乱するんじゃないだろうか。


「混乱しませんか?」

「混乱?うーん、問題ないよ!」

「そうですか……。」

「うん!それに混乱してあたふたしてくれたほうが観てる僕は楽しいからね!」


この管理者、タチが悪いなと一瞬思ったが心を読まれるから気にしないことにした。それにしても、僕の他にダンジョンの主はどれくらいいるんだろうか。


「ダンジョンの主は何人ほど居るのですか?」

「ん?うーんとね!全部で6人くらいかな!」

「6人だけ?案外少ないんですね。」

「うんうん!もっと多くしようかと思ったど、いきなりそんなに多くしたら地球も大変だからね!優しささ!」

「優しさですか。」

「そう!優しささ!えっへん!」


これは優しいのだろうか?と思った。というかそうなると1人で地球の何カ国くらいにダンジョンの入口を出すのだろうか。


「あー言い忘れてたけど、ダンジョンの入口は君の好きにしていいよ?!」

「好きに、ですか。」

「うん!なんなら日本だけでも構わないよ!」

「他の国に何か言われませんかね?」

「何を言ってるんだい?!君はダンジョンの主、マスターだよ!」

「マスター」

「そうマスターさ!ダンジョンの主よりダンジョンマスターのほうが言いやすいだろう?!」

「そ、そうですね。」

「うんうん!」


「それで日本だけで構わないと言うのは本当ですか?」

「本当だよ!というかダンジョンの周知は僕がやるけど国とのあれこれなんてものは僕感知しないからね!君たちに任せるよ!」

「え、ええ……」

「そのためにユキちゃんのような【眷族】がいるじゃないか!がんばれ!ファイト!」


ファイトと言われても僕とユキだけじゃ限度があるんじゃないだろうか。不安がよぎる。


「そうだね!たしかに2人だけじゃ不安かもしれないね!そうだ!君を含むダンジョンマスターの中でダンジョンをひとまず造り終えた者から追加で【眷族】を一体造る権利をあげよう!特別だよ!」


それは正直嬉しい。2人だけでは大変だが【眷族】が追加で出せるなら役割分担ができるだろう。


「その【眷族】には【個体特性】はつくのですか?」

「うーんどうしようかな?!うーんよし!決めた!特別に【個体特性】もつけちゃおう!特別だからね!」

「それは嬉しいのですが、よろしいので?」

「うん!いいよ!それじゃ僕はもういくよ!じゃなかった伝え忘れてた!」

「へ?」

「君は今仕事しているだろう?!」

「はい」

「それもう辞めて大丈夫だから!」

「辞めるのは構わないですが、お金がないと現実世界で困るのでは……?。」

「ふふん!僕は地球の管理者だからね!まあ3日後を楽しみにしててよ!3日後に新たなダンジョンの知識が君の頭に入るようにしたから!それじゃばいばーい!」


そう言って管理者は消えていった。いきなりテンション高く現れたと思ったら、あっという間に消えていった。まさに台風一過である。


しかし仕事を辞めて良いか。まあそれならそれで構わない。両親を亡くしてからはバイトして、そして働きだしてからは掛け持ちしてと必死だったがそれを終われるとなると嬉しいものだ。


「あっという間でしたね。」

「ね。何事かと思ってびっくりしたよ。」

「しかし【個体特性】持ちの【眷族】を生み出す権利をくれるだなんて、管理者も思い切りましたね。」

「うん。正直ダメだと思ったけど。でも良いのかな?」

「何がですか?」

「【個体特性】で攻撃向きだと地球に攻撃するのは禁じられていないだろう?元々持ってる【眷族】が強力な攻撃手段になるような【個体特性】持ちだったら余計に危なくなりそうだけど。」

「管理者からしたら大した問題ではないのかもしれませんね。」


恐らくユキの言う通り、管理者からしたら地球の国にそこまで感心がないのかもしれない。ダンジョンの周知で混乱するのも楽しみにしていたし。やはり管理者は子供がアリを踏み潰すときのようにきっと地球の国々が被害にあってもにこにこしているのだろう。


「ま、とりあえずなるようにしかならないか。」

「そうですね。樹様はもう【眷族】を造るのですか?」

「うん。さっそくだけど早めにね。不安かい?」

「いえ、楽しみですね。私以外の樹様の【眷族】ですから。仲良くできると良いのですが。」

「できるよ。僕の【眷族】だからね。」


そう言って僕は早々に新たな【眷族】を生み出す。どんな能力が欲しいか想像しながら生み出すと目の前にそれはいた。



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