いけいけ勇者様48

最上司叉

第1話

その日朝一番に爺やがやってきた。


魔王と爺やが魔王の部屋に篭もりなにかしている。


勇者は気になり魔王の部屋のドアをコンコンとノックした。


「もうそろそろ終わりますぞ」


そう爺やに言われて大人しくリビングの椅子に座り数分待った。


【ガチャ】


魔王の部屋のドアが開いた。


「さっ魔王ちゃん」


女がが魔王の手をひき部屋から出てきた。


そこにはドレスアップした魔王がいた。


俺は見とれてしまった。


「どうかな?」


勇者は魔王に聞かれてしどろもどろになる。


それを魔王が見て魔王は不安そうな顔をした。


「ちょっと勇者様!」


「あ…あ…キレイだ…」


勇者はそう呟いた。


魔王は喜んでいる。


魔王の婚約者は先に魔王の城に行った。


今日は魔王の生誕祭なのだ。


魔王の生誕祭に出席するのは魔王と魔王の婚約者と爺やだけだ。


俺たちは留守番だ。


魔王と爺やは馬車に乗り込み魔王城へ出かけて行った。


残された勇者は突然言い出した。


「魔王の誕生日皆でお祝いしないか?」


皆驚いたが乗り気だ。


魔王が帰ってくるのは明日の朝だ。


それまでに準備しなければいけない。


勇者と盗人で部屋の飾り付けをして女はケーキとご馳走を作る。


魔法使いは薬の調合で忙しい。


プレゼントも用意しないといけない。


早速部屋の飾り付けに取り掛かった。


紙を切り輪っかにしたり花にしたり女はドラゴンの女と買い出しに行った。


ドラゴンの女は美味しい料理が食べられると喜んでいる。


主役は魔王だが。


部屋の飾り付けをしていると女がサンドイッチとお茶を持ってきてくれた。


「少し休んでください」


「あぁありがとう」


「進みましたね」


「もう少しだ」


「夕方にはプレゼント買いに行けそうですね」


「あぁそうだな」


「料理のほうは?」


「下ごしらえは終わりましたからあとは火を通すだけです」


「魔王を驚かせよう」


「そうですね」


サンドイッチとお茶を食べ終えてまた部屋の飾り付けに戻る。


そして夕方になった。


「終わった」


「あぁ」


そこに女がきた。


「終わりましたか?」


「あぁ今ちょうど終わったところだ」


「皆さんからお金を頂いて魔王ちゃんのプレゼントを買おうと思って」


「分かった」


勇者と盗人もお金を渡す。


「買ってきますね」


女は魔王のプレゼントを買いに出かけて行った。


「俺も少し出てくる」


そう言い勇者も出かけて行った。


しばらくたった頃女がプレゼントを持って帰ってきた。


勇者も帰ってきた。


「出かけてたんですか?」


「ちょっとな」


「そうなんですか」


「あぁ」


そして晩ご飯を皆で食べて明日魔王が帰ってくるのを待つだけだ。


そして翌日の朝勇者がいつも通りトレーニングをしていると馬車の音が聞こえてきた。


皆が慌ててリビングに集まる。


【ガチャ】


扉が開いた。


『誕生日おめでとう』


皆でそう言うと魔王は驚いていた。


「ありがとう」


魔王は満面の笑みで喜んでいる。


「はいコレ皆から」


「ありがとう」


女が魔王にプレゼントを渡し魔王を席に案内する。


そして誕生日パーティが始まった。


皆で騒いで盛り上がっている。


勇者は少し外の空気を吸いに家の庭にでた。


「フゥ」


「どうしたの?」


勇者が振り返るとそこには魔王が立っていた。


「なんでもない」


「そうなんだ」


勇者と魔王は他愛もない話をしている。


「もうそろそろ戻らないと」


そう言うと魔王が家の中に戻ろうとした。


勇者は咄嗟に魔王の手を掴んだ。


「どうしたの?」


「…」


「?」


魔王は訳が分からない顔をしている。


勇者は勇気を出して道具袋から小さな包みを出した。


「?」


勇者は包みを開けた。


そこにはネックレスが入っていた。


「魔王に似合いそうだなと思って…」


「!」


「イヤか?」


「ううん嬉しいありがとう」


魔王は喜んでいる。


魔王の後ろに立ちネックレスをつける。


「ありがとう大事にするね」


「あぁ」


そのネックレスは魔石がはめ込まれており持ち主を加護する力があると店の店主から聞いた。


どうか魔王を守ってくれと願いをかけてプレゼントしたのだ。


気休めかもしれないが。


もう魔王が傷つくのを見たくないからだ。


魔王も同じ思いだとまだこの時は知らないでいた。


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