第56話 帰り道の姉
~姉視点~
お祭りからの帰り道。私達は手をつなぎ、これからのことを話しながら歩いていた。
「―――お姉さま、これからはまた以前のように触れたりできますよね?」
「あ~、そうだね。なんてったって私達は、その…こ、こいびと…なんだし…。」
恋人って言うのが恥ずかしく、口をもごもごさせてしまう。
「恋人……。そう…ですよね。私達はもう恋人なんですよね。それなら、これからも手を繋げますか?」
「うん…。」
「デートしたり、あ~んしたりもできますか?」
「うん…。」
「では添い寝したり、一緒にお風呂に入ったりも?」
「うん……うん?ちょっとまて。」
「言質を取りました。しっかり録音しています。」
そう言う美優の手にはスマホが握られており、先ほどの会話が全て録音されていた。い、いつのまに…。
「や、やられた…。」
「ふふっ、ちゃんと守ってくださいね?」
「うぅ…。」
軽率に頷いてしまったのが良くなかった。でもあの流れはずるい。
「私達はもう恋人なので、何も問題ありませんよ?お姉さま、そうですよね?」
「そ、そうだけど…一緒にお風呂は恥ずかしいじゃん…。それに私達、恋人になったばかりだし…。まだ早いんじゃないかなって…。」
以前のは不可抗力なのでノーカンだ。
「大丈夫ですよ。楽しみにしていてくださいね。私が綺麗に洗いますから。」
美優は一呼吸置き、顔を私の耳元に寄せてくる。そして…。
「汚れ一つないように、体のすみずみまで。ふふっ。」
そう、ささやいた。
「ぴ、ぴぇ…。」
私は美優に洗われる様子を想像してしまい、顔が真っ赤になる。
「ふふふ、真っ赤なお姉さま可愛い…。ついつい、いじめたくなってしまいます…。」
なんだか目が濁ったような気がする美優が、絡みつくような声でそう言ってくる。
「うっ…。わ、私がお姉ちゃんなんだぞ!!いじわるダメ!!!」
「ふふっ、ごめんなさい。でも可愛いのは事実なので。」
「う、うるさい!!」
好きな人に可愛いと言われた嬉しさと恥ずかしさで顔があっつい。
「あぁ、照れているお姉さまも愛おしい…。はぁ…お姉さま本当に可愛い…。食べてしまいたいくらい…。」
「ひ、ひぇ…。」
「どちらから頂きましょうか…。上からでしょうか…?それとも下から…?ふふっ、迷いますね。」
「こ、怖い!!食べても美味しくないよ!!食べないで!!!!」
やめて!!私美味しくない!!もっと美味しいものいっぱいあるよ!!
「ふふっ、冗談です。流石に頂くのは合意の後にします。」
「合意なんてしないよ!?!?!?」
「それはどうでしょう?ふふっ。」
「絶対無いからね!!!」
なんでそこまで私を食べようとするんだ!!怖いよ!!
「………お姉さま。」
「こ、今度は何?」
次に来る言葉のために私は身構える。
さぁ来い!!どんな言葉でも返してやる!!
「大好きです。」
美優は若干頬を染め、微笑みながらそう言ってくる。ずるい。
「……私も、好きだよ。」
「…好きなだけですか?」
美優が上目遣いで聞いてきた。そんなのずるじゃん…。可愛いなぁもう。
「だ、大好き…。」
「…ふふっ、それは良かったです。…私達、幸せになりましょうね。」
「…うん、そうだね。絶対。えへへ。」
二人で笑い合いながら歩を進める。満天の星が空を覆いつくし、満月が私達を明るく照らしていた。
私達は同性で、姉妹で、それでも恋人同士だ。これから色々な困難が私達を待ち受けているだろう。時には喧嘩するかもしれないし、涙を流すことがあるかもしれない。
それでも―――
「ねぇ美優、私達ならどんな壁でも乗り越えられるよね?」
「もちろんです。幸せになるのですから。」
「…うん!」
私達二人なら乗り越えられるはずだ。
なんか妹の距離が近い気がする。〈完〉
――――――――――
どうも、シマイノ=ユリスキーです。ここまで長々とお読み頂き、ありがとうございました。
ひとまず完結です。ただ、恋人になった後の二人の話は書きたいと思っているため、後日談としてまだ更新は続けると思います。ですので、フォローは外さないで頂けると…笑
さて、まさか処女作で10万字もの小説を完結まで書き続けられるなんて思ってもいませんでした。ここまで書き続けられたのも皆さんの応援のお陰です。本当にありがとうございます。
最後に、その…ちょっとでもこの小説が面白かったと思ってもらえたなら、お星さまを流してくれたら嬉しいなぁ~なんて、へへっ。
実は今、星500と作品フォロワー1000人を目指していたりします。ですので、あとがきでくらい催促してもいいかもって…。すみません…。
まぁこれからも書いていくと思うので、面白いと思ったタイミングで評価していただければ幸いです笑
では、また。
なんか妹の距離が近い気がする。 シマイノ=ユリスキー @shimai_yuri_suki
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