集団掃除

そうおもわないか？

　綺麗にワックスがけされ換気良い教室の床は埃が滞留する事もない。

　だが生徒達は担任に指示されるが侭に椅子を裏返し机の上に載せ、教室の端に寄せ、毎日の様に掃除をする。

　正直、過剰だと思う。

　情操教育の一環だという事は判っている。しかし毎度毎度机と椅子を動かし、隅から隅まで箒やデッキブラシで塵を取り、棒雑巾で拭き取る必要はあるのだろうか？

　一昔前ならチョークの粉、生徒達の消しゴム滓が逸れなりに散らばっただろうが、今はタブレットが主流だ。落ちるものは髪の毛位だろう。

　それなりの企業ならオフィスの机を動かし掃除をするなど年末の大掃除か部署の移動時等でしかしないだろう。そもそも掃除は専門の会社に任せている筈だ。それを雇う余裕がない企業でもせいぜいキャスター付きチェアを動かしてデスク下の紙屑を取る程度だろう。

　抑々指導している担任のいる職員室で毎日その様な大掃除をやっている訳じゃないからな。

　掃除の習慣付け？ それは個々の性格なんじゃないのか？

　学生時代から毎日掃除しているので、社会人になっても……と公言している人間に出会った事なぞない。ましてや学生時代の様に毎日机の上に椅子を上げ移動し隅から隅まで掃除をすると言ったら奇異の目で見られるだろう。

　多分だが、これは軍事教育か何かの名残なのではないか？ 調べる気もないし軍隊でこの様な机と椅子に座っているイメージは余り沸かないが、其れでもそう言われると何となく納得するだろう。

　後は一クラス、其れなりの市町村の公立校なら30ないし40人位か？ 古い人間なので其の辺は判らないが、彼らに美化の概念を浸透させる為に掃除をさせるにしても多過ぎる。

　ルンバを思い出して欲しい……商品名かもしれないが要は直径30㎝程の円形自走式掃除ロボットだ。数台のルンバならば時間はかかれどスムーズに掃除をする事が出来るだろうが、それが30ないし40台狭苦しい教室に密集していると考えよう。どう考えても過剰だろう。実際に5台ほどのルンバで掃除をしている部屋の映像を見たら案の定衝突はするわ充電スポットに群がるわ酷い有様だった。

　抑々40人という人数は教室等より余程広い、会議室や体育館でも多分持て余す人数だ。

　軍事教育の是非は別の機会に譲るが、組体操の是非等と共に早急に見直して欲しい案件だと思っている。

　学校の時の毎日の掃除によりすっかり掃除嫌いに成ってしまい、ゴミ屋敷や部屋に住むというのもまた考え物だが。