四季探索
ゆかこ
第0話
ひまわり畑に立っていた。
息苦しいほどの蒸し暑さ、つんざくような虫の鳴き声。
ただ、どうして自分がひまわり畑にいるのかがわからない。こんな気候、リアルで体験したことないはずなのに。
「しののん。」
名前を呼ばれた気がして振り向くが、そこには誰もいない。
「しののん、お願い。私のこと、忘れないでね。」
泣きそうな声で誰かがそんなことを言っている。
忘れるわけないじゃん、と叫ぼうとしても声が出ない。
泣かないで、という声も届かない。
ただ、声の主が自分から離れていくことだけがわかる。
いかないで。
……と言おうとしたところで気づく。あれはいったい誰だったんだろう。
「
「うーぅん……」
まだ起き切っていない頭と声でうなり声をあげながら答える。
なんか夢見てた気がするんだけどな、と得体のしれない喪失感を抱えながらずっしりと重い腕を上げ、近くに置いていたはずの眼鏡を取ろうとして、やる気を失う。
なんで寝る前に置いといた眼鏡ってどっか行っちゃうのよ。
「あーちゃん、眼鏡?これだよ。」
底抜けに明るい声がかかり、眼鏡が手のひらに乗せられる。
「ありがとう……。おはよう、
目覚め切っていない頭で、同居人の
ここまでが毎日のルーティーン。佳澄が今日も寒いねぇと言うので、そうだねと答えながら体を起こし、時計を確認した瞬間頭に血が回った。
「もう8時!?えっ、1限間に合わないじゃん!!」
「あはは~ごめん、あたしも今日起きれなくって。」
そういう佳澄はしっかり服も着替えて、化粧まで済ませている。
うそじゃん!やばいやばいやばい準備!と近くを見渡すと服の山。そういえば昨日お母さんが洗濯物部屋に置いといてくれたまんまだったな、などと頭の隅で考えながらと適当に服を選んでいく。
「お母さん、私行くね!」
「朝ごはんはー?」
「無理!食べれない!!」
「すみません、
「あら、佳澄ちゃんも?気を付けてね。」
「「いってきまーす!」」
そうして今日も雪の中、
四季探索 ゆかこ @yuukororinn1227
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