第113話 それは無い
「……」
廊下を明日香と2人で歩く。
なんの変哲も無いただの廊下なのだが今日は文化祭。
見たこと無いくらい、ただの廊下が人でごった返している。
高校の文化祭ってこんなにも混むものなのか。
メイド喫茶のシフトが予定よりも早く終わり、文化祭を2人きりで満喫……と思ったのだが。
「お客さん本当に多いねぇ。私達のクラス以外も結構混んでるし」
「うん」
どこの教室も人だらけですぐ入れそうなところが無い。
すぐ入れたとして展示物を飾ってる教室くらいなものだ。
展示物も勿論、2人で見てれば面白いんだけど、それよりも……。
「やっぱ優も気になるの、あの2人」
「野暮だっていうのは分かってるんだけどね」
明日香も気になってるんだ。
でも、あんな感じになってたらね――。
「――私、もうちょっと残るよ。今抜けちゃうと料理の提供遅れちゃいそうだし」
真栄田君の厚意を西堀さんは厚意で返した。
これは端から見たら好循環に見える。
だけどそれだと福との文化祭は……。
「じゃあ、俺も残るよ」
福さん、あんたって男は……。
「それはダメだよ! 足りてないのはキッチンだけだし……落ち着いたらすぐに行くから待ってて欲しいな」
あぁ……。
こう言われてしまったら、何も言えないよね。
案の定、福はうんと頷くしかできなかった――。
落ち着いたらって西堀さんは言ったけど、お昼が一番混むと思うんだよなぁ。
午後から来る人だっているだろうし、そうなると落ち着くなんていうのはいつになるやら。
「ねぇ優、これ食べてみて!」
隣でテンション高めにはしゃぐ明日香の腕の中にはいつの間にか、多くの食べ物が存在していた。
「どうしたのこれ?」
教室はどこもかしこも並んでいるのにこんな短時間でこの量。
この子はどうやって集めたのさ。
「通りかかったら貰っちゃった」
後ろを振り返ると、ちらほらと男子生徒がこちらの様子を伺っているのが分かる。
あ、これ多分、かわいい子がいたからワンチャン狙いで渡してくれたやつだ。
体育祭で公開告白したのに割とこういう行動をしてくる人いるんだよなぁ。
俺と明日香がすぐ別れると思ってるからなのか、それは謎だが、でもこれ別の意味で大成功だと思いますよ。
「んー、おいし♡」
うちの明日香はただでさえかわいいのに、幸せそうに食べてる時はさらに増すんだから。
歩く広告塔として観光地とかの繁華街で商売始めても割と儲かりそう……なんてことを考えていると。
「あ、西堀さん」
廊下で空き教室を覗く、西堀さんの姿があった。
何を見ているのかと思い、その視線の先を追ってみると、そこにいたのは2人。
福と……。
「お姉ちゃん」
未来さん?
明日香の代わりにシフトに入ったはずじゃ……っていうかこの場面、非常にまずいのでは!?
あたふたしてる間に真剣な表情をした福が未来さんに手を伸ばし、そして声を発した。
「前からあなたのことが好きでした。俺と付き合ってくれませんか」
福……お前、それは無いだろ。
今日、西堀さんに告白するって……。
そう思った瞬間、西堀さんは逃げるようにその場から駆け出した。
※※
るふぇです。
まずは読者の皆様、ごめんなさい。
先週、投稿をお休みするという内容をアップしたと思い込んでいたのですがしておらず、無断で休んでしまいました。
本当に申し訳ございません。
最近はかなり忙しいことに加え、体調の悪化や作品の進め方に悩み全く書けておらず、なかなか投稿が遅れてしまっており、本当に申し訳ない限りです。
今週から少し楽になりそうなので完結に向けて、そしてカクヨムコン期間内に新作をアップすることを目標に頑張りたいと思います。
これからも応援していただけたら幸いです。
壊れかけの僕と最強メンタルの君 るふぇ @rufe
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