第5話 出来る出来ないの話
僕たちは36歳になっていた。僕が予想したように、お互いの性質は、ほとんど変わっていなかった。そして、中学の頃に語っていたそのものの職業には就いてはいない。社会が用意した「適材適所」にいる。陽三も僕も自分たちの職場を適所だと思っている。陽三の弟の適所は社会が提供してくれないから、いまだに「霧の夜状態、つまりは五里霧中、言い換えれば暗中模索」だそうだ、それを語る陽三の嬉しそうな顔ったら。
宇宙規模の自然界を知ってからの陽三はこじんまりとした管理出来る自然を相手にするしか無いと考えたという。
計り知れない規模を感じたら、管理できない天然自然を相手にするのは、はなから負ける。そんなふうに考えて完全に把握できる規模で小さく収まる事を生業としている世界を探したという。お互いにできることとできないことを早めに見つけることが出来たと感じている。
人間の心理を探ると身体の構造やホルモンの影響など様々な要素が絡み合って「症状」を構成していることがわかってきた。
女性はホルモンバランスが乱れることは常識的になってきているが、男性のホルモンバランスだって乱高下する。
キレルメス使い 戸部 アンソン @anson
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