第12話 会食
帰宅ラッシュのせいで電車は混んでる。まだお酒の匂いはしないが、それにしても混んでる。LINEのチェックをしたら珍しく浅野君から来ていた。
「淳介くん浅野君からLINEきた。」
「何だって?」
「見たい?」
「見てほしい?」
「質問返ししないでよ。笑っちゃうよ。」
浅野兄弟でキスをしようとする瞬間の写真だった。口を尖らせてタコみたい。それとおめでとうの一言が添えてあった。
「すごいな。浅野兄がこんなことするとは。」
「高ちゃんのがおふざけすごいんだよ。」
「意外だよ。浜で会うとめちゃめちゃ怖いぞ。近寄り難いオーラ出てる。」
「GW行ったら、高ちゃんにも挨拶しようっと。」
「浅野兄とも仲いいの?」
「通学を一緒にはじめたきっかけは高ちゃんだから。中1の時、一人で急行電車に乗ったらドアのとこで押されて潰れてたの。そしたら後ろにたまたま高ちゃんが支えてスペース作ってくれたの。高ちゃんは高1で。中2なるまで高ちゃんと一緒に行ってた。」
「下心ありそう。」
「私まだチビだったしね。150㎝ぐらいだった。気の毒に思ったんだと思う。高ちゃんに彼女ができてそれで浅野君と行くようになった。」
「浅野兄優しいな。」
「そなのよ。でもあの兄弟目立つから、彼等目的の同級生も一緒に行くことになって、6人になったわけ。中2、中3は浅野君と二人だった。多摩川の花火とか浅野兄弟が連れていってくれたの。うちのバーベキューも来たよ兄弟で。」
「お父さんよく招待したな。」
「高ちゃんに助けてもらったっていったら、ある時父も同じ電車に乗って高ちゃんにお礼を言ったの。その時になんか気に入ったみたい。K大大嫌いなのに。」
「幼なじみって本当だな。」
「でしょー。電車おりたら写真とって送ろうよ!」
「いいよ。面白い写真送ろう。」
銀座駅から地上に出てきた。木曜日だが結構混んでる。約束の時間までまだあるので、デパートによることにした。
「人が多いね。人酔いしそう。」
「デパートでようか?」
「外も同じだよね。」
「店内見てみる?」
「そうしようか。」
「ひろはブランドバックとか興味ないの?」
「嫌いではないけど、重いんだもん。往復6時の通学には不向きだよ。」
「ま、そうだよね。服も機能重視なの?」
「そうだね。デニムが好きなのもあるけど。」
「女性らしい服装は見たことないからさ。」
「通学でパンプスとか拷問です。」
「化粧もほとんどしてないよね?」
「した方がいい?」
「しなくていいよ。」
「明日はかわいい格好してくね。」
「持ってるんだ。」
「持ってるよ。着ないだけ。」
「楽しみにしておく。」
「どっか写真とるのにいい場所ないかなー。」
歩きながら場所探しをしていたら、
「ひろ」
振り向いた瞬間を淳介くんが写真にとった。
「びっくりした。写真変顔?」
「めちゃいいよ。かわいく撮れた。俺から浅野に送ってやろうっと。」
「二人で写ってるのを送りたい!!!!」
「どこで撮ろうか?」
「zakuroの前でとろうか?どう?」
「いいね。」
会食のお店の前には私達以外全員集まっていた。
「ひろたん、やっときたか。中入れるから中に移動しよう。」
通されたのは座敷の個室で9人でもまだ余裕がある。料理はすでに注文されていたようで、乾杯のために生ビールを頼んだ。父が挨拶をはじめた。
「本日は急な誘いにもかかわらずお越しくださいましてありがとうございます。石川先生、相田先生お会いでき光栄です。藤井君、山岸君、相沢君、古川君、わがままな娘ですがどうぞよい仲間になってあげてください。ビールも来ましたし、石川先生乾杯の音頭お願いしてもよろしいでしょうか?」
石川先生の音頭で乾杯し、自己紹介にうつった。和やかな雰囲気でそれぞれ話をはじめたころ料理がではじめた。
「すき焼きのコースにしてあります。お肉お酒はどんどん頼んでくださいね。」
みんなが酔う前に藤井さんの紹介をした。
「おじちゃま、紹介したい人がいるんだけどいい?」
「結婚でもするのか?」
「彼はあとで紹介するから、それよりもっと大事なこと。」
「斉藤なんかあったのか?」
「僕は知らないですよ。」
石川先生も相田先生もニヤニヤしてる。
「石川先生、相田先生、お話の途中にお邪魔して申し訳ないのですが、皆さん酔う前に紹介させていただきますね。おじちゃま、藤井先輩はおじちゃまの会社受けてるの。ちゃんと顔覚えて話を聞いてあげて。何だったら、内定あげてよ。」
「藤井こっちこい」
石川先生が呼んだ。
「こいつはヨット部で今首将をしてて、弱小のうちの部を強くしたんですよ。人望あるし、ガッツもある。よかったらぜひ使ってください。勉学面は相田さん頼む。」
「藤井、お前石川先生がここまでおっしゃってくださってこんなことはあり得ないことなんだぞ。この出会いを作ってくれた斉藤さん親子にちゃんと感謝しろよ。永瀬、こいつ頑張り屋なんだよ。お前に頭下げるのは悔しいけど、本当によろしく頼むよ。」
「ちょっと皆さん待ってください。ひろたん今日はこれが狙いだったの?」
「たまたま今朝に就職の話を聞いたの。それで会食におじちゃまがいらっしゃるって聞いたので父にお願いしたんです。」
「すいません、共犯です。」
父は笑いながら私の顔を見た。
「おじちゃま?気分害したらごめんなさい。」
「理事長、主任教授に頭を下げられたら、答えは決まってるでしょう。藤井君来年からよろしくね。」
「本当ですか?信じられないです。ありがとうございます。石川先生、相田先生、斉藤先生、ひろちゃん本当にありがとうございます。」
「これは斉藤してやれたのか?」
「石川先生それだけじゃないです。父に会ってほしかったんです。先生が勉強じゃなくていいからやりたいこと見つけろって。あれで私は救われたんです。ここにいる私以外はみんな建築が好きですが、好きじゃなくてもいいんだよって言ってくださったのがうれしくて。無理矢理建築へ行かせた父への説教をどうぞよろしくお願いします。」
父が涙ぐみながら、
「みなさん、本当にありがとうございます。そして藤井君やったな、おめでとう。これだけ証人いるから安心だね。」
藤井さんが父のとなりに行き話し出した。
「私からも斉藤先生に一つお願いがあります。」
「え???なんでしょう。」
「斉藤先生のお嬢さんのひろこさんは今私の一番弟子の山岸とお付き合いさせていただいてます。山岸は見た目は軽いですが、誠実でいい男です。どうぞ交際を認めてあげてください。」
石川先生も頭をさげて、
「斉藤先生、お願いします。」
「待ってください。交際は反対してませんし。挨拶にも来てくれる予定で楽しみにしてたぐらいですから。もう許してます。山岸君とお付き合いすると報告を受けたときにやっと弘子が笑ったんです。それが嬉しかった。山岸君よろしくお願いいたします。わがままで頑固ですが、根は素直なので。」
「おじちゃま助けてよ。」
「ひろたん俺は悲しい。」
「永瀬、お前の娘じゃないだろう。」
「俺の娘だよ。」
「山岸君だっけ、おれのひろたん泣かせたら許さないからな。」
「はい。嫌われても一生そばにいるつもりです。」
「そんなことここで言わないでよ。」
みんなが笑いに包まれた。
トイレにいってもどると、永瀬のおじちゃまに呼ばれた。
「ひろたん、建築すきじゃなかったの?」
「医者かCAなりたかった。CAなら建築出てもなれるけどね。でも勉強してるうちに好きになるかもだし、やるって決めたからとことんやってみる。」
「吹っ切れたんだな。」
「吹っ切れた。何よりいい人たちに出会えたおかげかな。クソジジーに説教しておいてね。」
「わかった。でもお父さんはひろたんが建築学科受かったとき泣いてたぞ。説教はしておく。」
順ちゃんが美味しそうにお肉をたべている。
「順ちゃん美味しい?」
「美味しいーーーー。幸せ。ひろ全然食べてないよね?」
「やっと落ち着いたから、今から食べる!」
「ひろのことすごいって思った。」
「なにそれ、すごくないよ。順ちゃんのほうがすごいよ。よく考えて親身になってくれて。親身になれるってすごいことだよ。」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ。」
「またまた、でも友達になってくれてありがとう。」
「こちらこそだよ。いいからひろは食べなさい。」
父と淳介くんがたばこを吸いにでていった。また父が変なこと言い出したらどうしようと思っていたら相沢君もたばこを吸いにでた。順ちゃんは先生方と永瀬さんと話してる。
「ひろちゃんありがとね。」
「こちらこ父のことありがとうございます。めちゃめちゃ恥ずかしかったです。もう二度とごめんです。」
「実は俺、ひろちゃんのこと好きなんだ。山岸に負けないほど本気だから。ひろちゃんの気持ちはわかってるから気持ちだけ伝えておくね。ひろちゃん結婚するまで諦めないから。山岸に聞いたけど、付き合うの待ってる人二人いるんだって?俺加えると三人。気長に待つよ。」
「待ってもいいことないので、諦めてください。藤井さんはお兄ちゃんのように感じるんです。」
「わかった。わかった。でも待つのは俺の自由だから好きにさせてもらうね。」
「うわーーーー。聞き分けが悪いですね。」
「俺もはじめて本気になったからね。本気を堪能します!」
「そうだ、セミナーハウス。五月三日~五月五日までとってくれたみたい。石川先生。三日からこれる?」
「三日はお見合いなんです。。。。夜なら行けそうですが。」
「お見合いってなんだよ。」
「これは母の方のしがらみで。」
「山岸は知ってるの?」
「知ってます。」
「うちの父を見てもらえばわかると思うんですけど、両親ともに理想の娘像があって。二人でその理想を押し付けてくるんですよ。なのでちょっと面倒なことが多いんです。」
「うちと同じだな。俺末っ子で二男だから、好き勝手やってるけど。姉兄はめちゃめちゃめちゃ親と戦ってたよ。でも戦い疲れて親の言いなりになってた。」
「戦い疲れるのよくわかります。」
「話しかわるけど、他の大学のヨット部に友達いるっていってたけどどこの誰なの?」
「K大の浅野兄弟です。」
「まじかー。兄の方は遊び友達だわ。」
「高ちゃんと遊んでるって、藤井さんは相当チャラいですね。」
「面白い写真みてください。」
浅野兄弟の写真を見せてみた。
「うわー。あいつらヤバイな。」
「私は妹分です。」
「写真とって兄に送りつけよう。写真いい?」
「撮るよー。」
「あとで私にもください。」
「はい。もうLINEが来たんだけど。」
「私のとこは弟から来ました。そいつから離れろって。藤井さんの方は?」
「浜で会ったら覚えてろって。あいつこんなこと言う奴じゃないのに。」
「妹ですから私。」
「たばこ組遅いですね。」
「俺は見てくるよ。」
「お願いします。」
会食は21:30頃にお開きになった。皆それぞれタクシーで帰っていった。父は飲みすぎたようで車に乗り込むとすぐ寝はじめた。大学に通いはじめてから寝不足が続いている。話しに聞いたヨット部の合宿のほうが睡眠時間をとれそうだ。明日のことを決めないと、、、。
『お疲れ様でした。食事の時は全然話せなかったね。外で父と何話してたの?』
返事を待つ間に寝てしまいそうだ。家まであと10分。電車も車も飛行機も到着寸前に強烈な睡魔が襲ってくるのは何故だろう。
(あー、だめだ。目が溶ける。)
やっとついて、ベットに転がり込んだ。吸い込まれるように寝落ちしそう。気持ちーーー。ブルブル。LINEだ。
『お風呂はいってた』
『家ついた?』
『落ち着いたら電話ちょうだい』
お風呂はもう明日にしよう。まだ22:00過ぎだがいつ寝落ちしてもおかしくない状態。
「もしもしー。」
「もしもしー。」
「気疲れさせてごめんねー。」
「大丈夫だよ。」
「さっきから浅野弟からのLINEがすごいんだけどなんかした?」
「藤井さんが浅野兄に食事会の写真送ったの。藤井さん煽ったのかも。」
「全くなにやってるんだか。」
「私の方にもきたから、順ちゃんとお肉食べてる写真送ったら私のLINEは収まったけど。」
「消灯すぎてるのに、兄弟でLINE送ってきてるよ。」
「高ちゃんから藤井だけはやめておけ。山岸のほうがまだましとか。」
「藤井さん浅野兄弟からかってるんだな。」
「就職決まったし、気分いいだろうしね。」
「そだね。」
「淳介くん父にはっきり伝えてくれて嬉しかった。めちゃめちゃ恥ずかしかったけど。」
「俺も心臓破裂しそうだった。」
「たばこのとこで父に嫌なこと言われなかった?」
「お父さんも一目惚れで結婚したから気持ちはよくわかるって言われたよ。あとひろのこと笑わせてくれてありがとう。って。」
「変なことじゃなくてよかった。明日はのんびりする。」
「疲れたでしょ。」
「気を張ってたから、ふにゃって今なってる。」
「風呂は?」
「なんか混んでて入れないから朝にする。洋服だけはなんとか脱いだ。」
「想像したじゃん。」
「スイッチはいってる!!!室内着きてるし。」
「残念。」
「藤井さんに告白されたの。淳介くんたばこ吸ってる間に。」
「やっぱり。帰りのタクシーで飲みに行こうってしつこかったから。おかしいなって思ってた。」
「お兄ちゃんとしか見れないって伝えたけど、気長に待つっていわれた。待つのは俺の自由だって。なんでみんな待つ待つ言うんだろう。」
「そりゃ待つよ。ひろは魅力的だから。順番待ちしてもいいって思うんだよ。」
「かいかぶりすぎ。」
「藤井さん嬉しいだろうなって、今考えちゃった。」
「就職きまったしね。」
「そうじゃなくて、ひろがお願いして先生たち巻き込んでくれて。自分のために一生懸命やってくれてるのが好きな女とかどんだけ幸せなんだろって。」
「その女は淳介くんが好きですですから。」
「ありがとう。酔ってる?」
「今ビール飲んでる。あそこでは飲まなかったし。」
「ひろは酒弱いね。」
「そうなの。」
「明日ね外泊の許可もらったっていったらどうする?」
「煽るなよ。冗談でしょ?」
「順ちゃんが協力してくれたの。」
「本気にするよ?」
「いいよ。」
「順ちゃんがさっさと抱いてもらえって。お互い安心できるしいいじゃんって。」
「そりゃそうしたいよ。でもひろがそれで後悔するなら俺は待てるから。」
「淳介くんも待つとか言うし。」
「ひろ、待つって言えるのは本気だからだよ。浅野も藤井さんも本気なんだよ。俺がお前のこと好きだって気持ちと浅野も藤井さんも同じように好きって思ってるんだよ。本気じゃなかったら待たないよ。」
「うん。」
「待つの意味もっと砕いていえば、浅野はお前が俺に抱かれてもそれでもいいって言ってくれてるんだよ。待ってる間他の奴に抱かれてるのわかっててすごく苦しいけどそれでもいいって、普通は言えないよ。」
「うん。」
「嫌な話するよ、大丈夫?」
「大丈夫だけど、ちょっと怖い。」
「お前の元彼、無理矢理したの悪いことだけど俺もそいつの気持ちよくわかる。浅野もわかってるよ。好きで好きでどうにもならなくて、なのに自分のものにならなくて、いついなくなるかわかんない不安で一杯になってどうにもならなくて結局は無理矢理にでもしたら少しでもこっち向いてくれるかもしれない可能性にかけたんだと思う。浅野はその辛さをずっと耐えてるってこと。」
「私、どこが悪いのかな?」
「ひろは悪くないの。遊びなれてる連中が我を忘れるぐらい夢中になる魅力をもってるよ。俺もだけど、こんな気持ちはじめてだよ。セックスに夢中なのは男なら当たり前だけど、体抜きで夢中なるとかあり得ないと思ってたもん。抱ければ誰でもいいって思ってたけど、ひろ以外抱きたくないって。」
「私も嫌なこと聞くよ?」
「いいよ。」
「私のこと抱いたことないから、だから余計に抱きたいって思うんじゃない?」
「抱きたいから抱くはセフレでいいの。好きだからその好きな人を触りたいとか好きな人とくっつきたいとか肌を重ねてその人を感じたいって思うことだと俺は思う。好きが前提なんだよ。」
「何となくわかる。私がほっぺ触りたくなる感じと同じってことだよね?」
「そう、その通り。よく考えてみて?例え出すよ。浅野が落ち込んで弱ってたら慰めるだろ?そのときほっぺ撫でたりできる?」
「ほっぺはしないけど、頭はなでるかも。」
「マジかよー。ショックなんだけど。」
「子供に対してよしよしする感じかな。」
「例を変えるわ。浅野はお前にとって身内なんだろ?」
「うん、その通り。」
「次は藤井さんだったらどう?」
「絶対に無理。触るなんてあり得ない。」
「そう言うこと。わかった?」
「わかった。」
「浅野は平気なのね。そりゃキスしたしなお前。」
「言わないでよ。なんかかわいそうだったんだもん。愛情というより母性に近いと思う。」
「でも目の前で見た俺の気持ち今ならわかるよね?」
「軽率でした。ごめんなさい。でも流されるってああいう感じなんだね。」
「何か理解したならもういいよ。」
「ごめんね。」
「ついでに浅野兄は?」
「高ちゃんも頭なでるかも。ほっぺはないな。キスは絶対ない。」
「合格点です。」
「犬の訓練みたい。刷り込みされてる感じだよ。」
「恋愛ってそうだよ。」
「そうなのか、ワンワン。」
「むかつくけどたまらなくかわいいって思うバカな自分がさらにむかつく。」
「もし、浅野弟となんかあったとかなったら淳介くんはどうなる?」
「嫌な質問するんだね。悪気なく聞くから本当にたちが悪い。」
「ごめん。」
「いいよ、許せないけど別れないと思う。今日お父さんの前で言ったけど、何があっても別れないから。これは本気だから。」
「うん。」
「もし俺が他の女抱いてるってわかっててもお前は平気?」
「もやもやするかな。私だけ見てくれる人のとこいくかな。」
「他に行くのかよー。またショックだわ。」
「今思ったんだけど、だったら淳介くんが一番ショック受ける相手に抱かれにいくかも。」
「お前は本当に最悪だわ。イライラしてきた。」
「聞いたのは淳介くんだよ?」
「その通りなんだけど、俺は絶対待つし別れないのに、お前は報復するんだろう?それで俺は捨てられるか。お前はもてるからなー。手を離したらいなくなるってことなんだよな。俺ももてるんだけど、もてるレベルが違いすぎるわ。」
「他の人としないで。私もしないから。」
「俺はしないよ、でもさっき流されたとか。はぁー。苦しいです。」
「ほっぺなでなでしてあげるよ明日。」
「ひろの触りかたさ、ものすごくエロいって自覚ある?」
「全くない。」
「ですよねー。この間の土曜日の帰りにさわってくれたとき俺鳥肌たったもん。理性飛びかかってた。今日だって不意討ち食らったし。お前だけ触ってずるい。」
「ごめんね。うまく言えないけどいとおしいって思うと触りたくなるんだもん。おかしいのかな私。」
「今なんていった?」
「触りたい。」
「そのまえ。」
「ごめん。」
「あのなー。ごめんと、触りたいの間。」
「いとおしい?」
「やっと言った。どういう意味かわかってる?」
「国語得意だから、意味はわかるよ!」
「そうじゃなくて、俺のこといとおしいって思ってるの?」
「うん。好きって言葉よりいとおしいの方がしっくりくる感じ。そう思ったらだめなの?」
「すごい嬉しい、ありがとう。」
「日に日にはっきりわかるの淳介くんが好きなこと。だから今ならまだなんとか元に戻れそうだけど、これから先も一緒にいたら一緒じゃないと生きていけなくなりそうで怖いんだよね。それで不安にさせたらごめんなんさい。」
「やっとちゃんと気持ちいってくれたね。嬉しいよ。無理矢理好きって言わせてたみたいでひろのことばで言ってほしかったんだ。ありがとう。幸せすぎる。」
「嫌がらなくてよかった。」
「嬉しいよ。やっと俺のこと見てくれてるって感じるよ。」
「明日どうする?」
「本当に泊まれるの?」
「泊まったら我慢できる自信ないけどそれでもいいの?」
「いいよ。」
「夢みたいだよ。ずっとホテルとかでもいい?」
「いいよ。でも寝たらごめんね。」
「寝かさないし、一緒にいれるならいいよ。」
「怪しまれないように朝6:00迎えいくね。」
「ごめんね。アリバイ工作。」
「寝ようか。おやすみ。」
「おやすみ。」
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