第7話 陰陽高校 見学3

「以上で見学を終了といたしますが。何か質問などがありましたらお願いします。時間はありますので好きなだけお聞きください。」


「じゃあ僕から。今日見せたお札の写真以外に何かあったら怖いと思って今まで僕が言った心霊スポットなんかで撮ったものを一度見てもらいたいんですけど。」


佐々木先輩は、そう言って持ってきていたパソコンの写真フォルダーを開き長谷部さんの前にもっていく。


「結構量がありますね。一人で見るには時間がかかりますのでこのパソコンからほかの教員へ写真を送らせてもらいますね。今日中には終わらせますのでまたこちらから連絡させてもらいますね。」


「はい、よろしくお願いします。」




「次は、俺だ。普段俺は、佐々木のおもりでいろんなところに行ってるんだが今までがなかっただけで幽霊なんかに出会う不測の事態ってやつはいつか起きると思ってるそん時はどうすればいいっすか。」


「一番いいのはまず行かないことなんですが、行くのであれば神社などで売られているお清めのお塩や陰陽師が発行してるお札を持ち歩くとよいかと思います。ですがお札も効果が高くなるにつれて値段も上がっていきます。どこまでの物を買えば安全かは状況によって変わってきますので確約はできないので自己責任となります。くれぐれも気を付けてください。」




「私は質問ありません!」


そうですよね、西村さん先輩はイベント参加型で専門家に聞くことなんてなにもないですよねー。まあそういう俺だって聞きたいこととかないんだけどね。次俺の番なんだけどどうしようかな、陰陽高校志望だった身としては何も聞かないなんてもったいないよな~。


「次は・・・中門君ですね。何か質問はありますか?」


「ん~~~~。も、もしもですよ。もしもの話なんですけど。陰陽師に襲われたときはどうすればいいですか?」


「いい質問ですね!今の時代、陰陽師と言えば警察などの人助けの組織ととらえている方が多くみえます。ですが佐々木君の写真に写っていたお札のように悪質なことを行う組織がたくさんあり、その中には元国家陰陽師が所属している組織も確認されています。陰陽師だからと言って絶対に安全というのは間違いで相手を疑う気持ちを忘れないでください。それで襲われた時ですが、助けを待つしかありません。何かしら外と連絡を取れる手段を見つけ待ち続けることです。非合法組織の陰陽師たちは我々の知らない手札を持っていますのでやみくもに行動してはいけません。」


「悪い陰陽師もいるんですね。初めて知りました。」


「知らなくて当然だと思いますよ。一般の方には混乱を招かないように情報規制されているだけです。もし身近に指名手配犯がいるとわかったら大騒動ですからね。ちなみにここで話したことは秘密でお願いします。」


「わかりました。誰にも言いません。」




「最後は部長の僕が。長谷部先生、僕は生まれてから一度も妖怪や悪魔といったものを見たことがありません。サークルを立ち上げいろいろな場所にも行きましたが幽霊すら見ることがありません、実際にそういったものはいるんでしょうか。」


「妖怪は実際にいます。人間のほかに虫や動物がいるように妖怪も古くから存在しています。幽霊については生物の体から抜けた魂が変質したものです。魂がいる場所の状況によって悪霊になったり人の姿からかけ離れた化け物に変わるものもいます。そして悪魔ですがこれについては人の信仰から生まれたものやこの世界とは別のところから移動してきたものがいます。人の信仰とは不思議なもので神様だって生まれてしまう力を持っています。片瀬君が今まで出会えていないのはすごくいいことだと思います。」


「僕は、どんなものでも良いので一度は見てみたいんですがいい方法はありませんか。このお願いが間違ったこととは理解していますが経験することで、この陰陽師という世界のことをもっと知りたいんです。」


「でしたら、今度校外学習を行いますので一緒に行きましょ。安全については教員と一緒に行動してもらいますので大丈夫です。ただ自由な行動はできませんのでご理解ください。あとそちらの高校に許可はもらってくることが条件ですかね。」


「ぜひお願いします。高橋先生何とか許可をお願いします。この通りです。」


全力の土下座をする部長に高橋先生はあきれたのか、折れたのかわからないが校長に許可を出してもらうように掛け合ってくれることとなった。


「質問ももうないということで今日はこれでお終いとなります。お疲れさまでした、気を付けてご帰「長谷部君少しいいかね。」学園長!はい大丈夫です。」


長谷部先生の言葉を遮るようにこの高校の学園長が話しかけてきた。


いつの間に部屋に入ったんだよ!扉の開く音なんてしなかったし、この場にいる全員がいつ入ってきたのかわからずびっくりしている。


「初めまして、地本高校の皆さん。私はこの中部陰陽高校の学園長を務めています近江 定満と申します。以後お見知りおきを。」

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陰陽師になり損ねた男 今日も鬼と宴会をする @kairanban

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