第6話 陰陽学校 見学2

「改めまして、中部陰陽高校教員兼陰陽師をしています長谷部と言います。本日は校内見学ということでいくつか事前に説明をさせていただきます。」


長谷部さんは席を立ち我々にパンフレットと名札を配った後、ホワイトボードの前に立った。


「ではまず初めにこの学校で必ず守っていただきたいことから。陰陽高校は、陰陽師になるもの言わば卵を育てる機関となります。その関係上、悪霊・妖怪・悪魔などといった悪しきものを近づけない結界がいたるところに貼ってあります。その為構内にある備品などには触れず何かある場合は私もしくは近くにいる教員へお声がけください。」


「はーい!長谷部さん質問です!例えばこの学校の物が私たちのほうに飛んできたりしたらどうすればいいですか?」


西村先輩が元気よく手を上げて質問をする。全く考えもしなかったが、確かにないとは言い切れないな。


「そうですね・・・その場合は避けていただくのがいいかと。呪物などもありますので触れること自体が危険な場合もあります。難しい場合は後で布を渡しますのでそれを間に挟んで防いでください。守りのお札を張っておきますのでまず大丈夫でしょう。では説明に戻ります。・・・・・・・」



その後1時間ほど説明を受け、必要な荷物のみ持ち部屋を出る。


「ではまず生徒のいる教室から行きましょう。授業中なので静かにお願いします。」


1-1と書かれた教室の前に着いた。中では30人の生徒が黒板を見つめており、その黒板には訳の分からないことがたくさん書かれていた。


「この学校では陰陽師の知識しか勉強しませんので一般的な高校の授業などは一切行いません。今受けているのはお札の書き方についての授業になります。使用する言葉や効果、力の強さなど組み合わせ方はたくさんあって専門の機関ができるぐらい奥の深い内容なのでここでは3年を通して学んでもらうことになります。わかりやすいたとえで言うと皆さんがお寺や神社などでもらうお札も神様と守ってもらう対象といった具合でいろいろありますよね、あんな感じです。」


「へー。それじゃあ廃墟なんかにある普通の家庭にないようなお札が貼られてるところは陰陽師の人が入ったところなんだ。」


佐々木先輩は、スマホを取り出しみんなに現場にあったお札の写真を見せる


「げっ!!お前そんなものまで見つけてたのかよ。ってかこのお札なんか気持ちわりぃな。」


写真に写っていたお札は乾いた赤黒い血でぐちゃぐちゃと書きなぐられており、山本先輩の言う通り見ていると気分の悪くなるものだった。


「佐々木君それはどこで見つけたものかわかりますか?陰陽師が使うものとはかけ離れていてまず間違いなくよくないものです。早いうちに処分を行ったほうがいいでしょう。」


佐々木先輩は慌てて自分のブログサイトを開き履歴の確認を行う。


「確か・・・あった。A県B市の○○町11-1ですね。」


「ありがとうございます。もしもし長谷部です。A県B市の○○町11-1の廃墟へ至急調査員を派遣してください。正体不明の札の情報を確認しました。写真は通話終了後に送りますので確認お願いします。」


「なんだか大ごとになってしまったね。佐々木君、今度から何か見つけたら相談したほうがよさそうだ、見学が終わったら一度全部見てもらおう。」


「そうですね部長。後で話してみます。」


長谷部さんの電話が終わったみたいで見学の続きに戻り各学年の教室を見た後に体育館へと移動した。


体育館へ入ると中は広く通常の体育館とは違いバスケコートなどはなく、まるで闘技場のようになっていた。


「ここでは実技訓練を行っていて中央には、訓練を受ける生徒が入ってもらい周りの客席では待機の生徒が座る場所になっています。この時間は使用していないのでお見せできませんが普段は訓練用の疑似幽霊相手に札や式神を使って戦っていただき実践の経験をつんでもらっています。ちなみに訓練場と客席の間には結界が貼ってありますので外の生徒に危険はありません。」


体育館をまわって見たあと普段の授業の録画映像を見せてもらい校庭へと進む。


校庭では生徒たちが印を結んで何かを唱えていたり、札を投げ火や水などを飛ばしていた。中には鎖や釘など物騒なものを投げている生徒もいた。


「校庭では自分で作成した札や術などを自由に使用でき、授業中であれば教員からのアドバイスや一緒に改良したりなどを行っています。」


「すっげぇ。陰陽師と言えばこれだよな!俺もこの中にいたかもしれないと考えるとすっごく悔しいな。」


「そうだね僕にも才能があればこの中に混ざれていたんだ・・・。」


「そっか~!片瀬君と中門君は陰陽高校に入ろうとして落ちたんだっけ!」


ぐっ!西村先輩め、俺と部長の悲しい過去を攻めよって・・・。試験日に間に合わなかった俺はともかく、ちゃんと受けて落ちた部長のダメージは大きいんだぞ!


「そうだね。僕には才能がなかったからね。仕方がないね。*#$・・・・」


あぁ部長がいじけてしまった。その場にしゃがみ込んで何か小声でぶつぶつと言っている。


「片瀬君ごめんって!落ちたから私たちと会えてサークル活動できてるんだよ。そう考えればこの結果もよかったじゃん!夢がすべてじゃないよ!」


「そ、そうだね。落ちたから新しい目標ができて君たちと会えたんだ。西村さんの言うとおりこれはこれで良かったのかもしれない。夢は夢、かなわないなら仕方がない今を良く考えよう。」


部長が復活した!さすが3年間同じサークルにいるだけのことはある。部長の扱い方を完全に熟知している。


その後は特に問題もなく一通り校内を見て回ったので職員室横の教室へと戻った。

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