第5話 陰陽高校 見学1
授業が終わり部室へ向かう。部室に近づくにつれて部長の絶叫が聞こえてくる。部屋に入ると部員が全員集まっていた。何気に初めて会う。
「あ!彼が新入部員の子?僕は佐々木 優斗2年、よろしく。」
「次は俺ね、山本 将司おなじく2年だ。」
「はい、はい!私は、西村 日葵3年生だよ。よろしくね新入生君。」
「・・・・俺は3年、加賀。」
加賀さん声ちっさ!
「中門 司門1年です。皆さんよろしくお願いします。それで、さっきから部長の絶叫が聞こえてきたんですが何かあったんですか?」
「それはね、この前送った陰陽高校見学の依頼の返答が帰ってきたんだけど、OKをもらえたらしいんだ。僕たちみんなも行きたいと思っていたから部長みたいには叫ばないけどかなりうれしんだ。」
佐々木さんは満面の笑みで語ってくれた。ほかのみんなもうれしいのか部長を見て微笑んでいる。加賀先輩以外は。
「俺は、賑やかなとことかダメだから行かない。」
「まあそこは個人の自由だからすきにすればいいよ。僕は先生に報告してくるから明日詳しい話をするから参加する人は絶対に部室に来るように。」
正気に戻った部長は手紙をもって部室を出ていった。
部長がいなくなってやることもないので先輩たちと交流していこう。まずは佐々木さんだ。見た目は丸メガネで短髪の青年でいかにも文化部といった見た目だ。
「佐々木先輩って普段何やっているんですか?」
「僕かい?僕は心霊スポットとかをまわっているね。それで行ってきたところをブログに掲載してるんだ。結構な人が見てくれるから僕も気合が入っちゃって遠くに行ったりすることもあるんだよ。」
「俺は、佐々木と一緒に行動してるよ。こいつを一人にしておくと行方不明とかになっちまいそうだからな。」
山本先輩は困ったようにしゃべり佐々木先輩のおでこをつついていた。山本さんはガイルショートという髪型でちょっといかつい見た目をしている。見た目だけで言えば仲が良くなる組み合わせには見えない。
「俺とこいつがつるむのが不思議か?こいつは幼馴染でな昔っから一緒に遊んでたから仲がいいんだ。」
幼馴染で高校まで一緒なんてすごく仲がいいんだな。俺なんて昔一緒に遊んでた友達なんて疎遠になってしまった。うらやましい関係だ。
「西村先輩は何やってるんですか?」
西村先輩はウルフカットの女性で身長が高くおそらく180はあるだろう。
「私はね、特に何もしてなくて今回みたいな楽しめるイベントがあれば参加するって感じだよ。ちなみに本当は陸上部だからそっちがメインかな?お守で」
部の掛け持ちっていいのか?よくわからないがここにいるってことは問題はないのだろう。それから加賀先輩はっと、ってもういない!どこに行ったのかと回りを見渡すがどこにもいない。
「加賀君ならもう帰ったよ。私が話してる途中に部室から出てくのが見えたから。」
そうなのか、全然気が付かなかった。気配もなければ足音もしなかった。しょうがないのでこのまま西村さんに聞いてみよう。
「加賀先輩は何やってるんですか?さっきの感じだと一人行動って感じがするんですけど。」
「加賀君はね、情報収集をやってくれてるんだよ!例えば佐々木君の行く心霊スポットだったり今回の見学の件だって加賀君が見学者募集の案内を見つけてくれたから応募できたんだ!」
あの人がいるからこの部は活動できているんだな。今度何か相談事があればお願いしよう。
「中門君は何やってるの?」
「あっ!僕も気になる。」
「俺は・・・・・」
ここ最近のことはしゃべれないので陰陽学校に受験しようとしていたことを話した。その後は解散し翌日部長から来週の月曜日学校を休み先生引率のもと陰陽学校に行くこととなった。
陰陽学校見学前日、異界にて俺は鬼たちと宴会をしていた。今日はこの前仲良くなった天狗たちが来るようで今回は天狗に合わせて紅葉の風景となっている。お花見の桜とはまた違ったきれいさがあり時折風に吹かれて落ちてくるオレンジや黄色の葉は風情があり心が落ち着く。異界にはいろいろな風景が鬼たちの思うがままでありここに来るたびに景色が違うのでいつも新鮮な気持ちで来ることができる。
今日はいつもより大勢になるので俺は簡単で美味しいものを作ろうと思う。ずばりエビチリだ。エビチリは家でも簡単に作れるからぜひやってみてほしい。
まずエビのむき身をたくさん用意しておく。油を入れたフライパンに刻んだニンニク、ショウガを入れ香りがしてきたらエビと豆板醤をお好みの量入れ炒める。エビいが色づいたらケッチャプ、鶏がらスープの素、醤油、砂糖、水を入れ煮詰める。その後は水溶き片栗粉とネギを入れとろみがついたら完成だ。
エビが高いのでそこそこの量を作ろうと思うと高くつくが、ここは鬼たちが食材を用意してくれるので好き放題に使うことができる。何度も作り大皿をいくつも用意し宴会場に運んでいく。準備もそこそこに終わったところで天狗たちが到着したようだ。飯綱様を筆頭に10人ほど入ってきた。
「おや中門君じゃないか、今日は一緒に楽しませてもらうからの。」
「飯綱様今日は楽しんでいってください。何か食べたいものがあれば作りますんで遠慮なくいってください。俺はもう少し準備があるんで失礼します。」
そのあとすぐに宴会が始まり鬼たちに絡まれていると飯綱様に手招きされた。
「何か用でした?」
「ほほ、今度陰陽師のところに顔を出すそうではないか。生成りのことを隠しておるそうじゃが見る奴が見れば直ぐに看破されるじゃろう。そこでわしからの贈り物じゃ。」
飯綱様から手渡されたのは天狗の羽で作られたストラップだった。
「これには、おぬしのことを守る法力が込められておる。守るというのはおぬしにとって都合の悪いことすべてからじゃ。じゃが使い勝手のいい効果には限度がある。これにはわしの羽を使っておるのじゃが効果はせいぜい3日しか持たんそれ以降はよう気を付けるんじゃぞ。」
「ありがとうございます。大事に使わせてもらいます!」
「礼はよい。ほれ鬼たちが待っておるぞもどってやれ。」
飯綱様に頭を下げ鬼たちの元へと戻った。今回は天狗たちとの交流ということもあっていつもより長く続いた。家に帰り飯綱様にもらったものを忘れないよう制服のうち胸ポケットにしまい眠りについた。
次の日緊張のためか遅く寝たのに早く目が覚めてしまった。二度寝をするとやらかしそうなのでこのまま朝ごはんを食べることにした。時間になり学校へと登校し校門の前で先生に会いほかのメンバーを待つこととなった。
部長と佐々木先輩、山本先輩、西村先輩の4名が集まり先生の車に乗車した。加賀先輩はあの時言っていたように参加しないそうだ。1時間ほどたちついに入ることのできなかった陰陽学校に着いた。駐車場に車を止め職員室へ挨拶に行く。
「地本高校教員の高橋と言います。本日は見学の件でうかがわせていただきました。ご担当の方はお見えですか?」
「ようこそ陰陽学校に。私が担当の長谷部と言います。こちらへどうぞ。」
長谷部さんに案内され職員室横の部屋に入り席に着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます