あの日スズメに襲われて四車線道路の中央分離帯付近で二段階右折中の原付にひかれかけていた野生のトムソンガゼルを助けたら実は天の川を渡って降りてきた冥王星の冥王の加護を受けた火星人で今度は人間の美少女な
見た目になってやってきて恩を返したいと迫られていたら今まで人間だと思っていたグイグイアプローチをかけてくるマスコット系美少女幼馴染が実は
あの日スズメに襲われて四車線道路の中央分離帯付近で二段階右折中の原付にひかれかけていた野生のトムソンガゼルを助けたら実は天の川を渡って降りてきた冥王星の冥王の加護を受けた火星人で今度は人間の美少女な
桜生懐
見た目になってやってきて恩を返したいと迫られていたら今まで人間だと思っていたグイグイアプローチをかけてくるマスコット系美少女幼馴染が実は
「うーん、今日もいい天気だぁ! 空が青いっ! おっと、雨戸を閉じたままだった!!」
妙に家の中が真っ暗だと思ったらそういうワケか。うっかりしてしまった。
「おっ、やっぱり晴れてるじゃん! 言ってみるもんだなぁ」
雨戸を開くと、雲一つない快晴だった。
ピンポーン――
「おっ? お客さんかな? それとも幼馴染の幼馴染レイちゃんかな?」
ガチャ(ドアノブを回す音)――
狭いボロアパートの二階の部屋に住んでいるんので、居間と玄関が目と鼻の先なのだ。
扉を開けると、そこには、見たことのない美少女が立っていた。
艶めく黒髪ロングの姫カット、パッチリお目目の
「あの……? キミは……?」
「あっ、あの、私……以前アナタに助けていただいたトムソンガゼルです……!」
「ええっ!? まさかキミは、あの日スズメに以下略――」
「そうです! あの日以下略――のトムソンガゼルです!」
「どうして人間の姿に!?」
「冥王の加護を受けた火星人は顔含め可変なんです!」
「すごい! じゃあ今も本来の姿じゃないんだっ?」
「安心してください! アナタの信じたい姿が本当の私ですっ!」
「いいこと言うじゃ~ん」
ジーンとする。そうだ。見た目に惑わされるな。見た目が好みなら、それが全部じゃないか。他になにが欲しい? 金か? 地位か? 名誉か? 全部欲しいに決まってる。
「名前はメイン・ヒロ・インと言います!」
「じゃぁメインちゃんだね!」
「はいっ! 恩返しさせてください!」
「気持ちは嬉しいけど、急に言われても……恩返しってなにをしてもらえば……?」
「待ちなさい! そこの泥棒猫!!」
「レイちゃん!」
そこにお隣さんであり幼馴染である姓・
「来ましたね、ツン・デ・レイ!」
「ツンデレイ?」
聞きなれない単語に首を傾げる。
「わたくしの本名ですわ……」
「えっ」
「幼馴染レイは地球に住むための仮の姿……。実はわたくしは木星以下略――」
「空路なのにわざわざ喜望峰を経由してっ!? とうかレイちゃんフラッドウッズモンスターなの?!」
ま、まさかレイちゃんが宇宙人だったなんて……。そしてメインちゃんも宇宙人……。宇宙人なんているかいないか議論されているようなUMAだったはずなのに……。
自分の中の常識が信じられなくなり、気が付けば手すりから身を乗り出し、道行く知らないおじさんに声をかけていた。
「おじさーん! 宇宙人っていると思いますかー!?」
おじさんが僕を見返す。
「俺」
「えっ?」
「俺宇宙人」
ジッと見つめられる。
「あっ、はい、すいません……」
満足したのかおじさんは頷いて去っていた。
真顔で自分が宇宙人主張するおじさんめっちゃ怖かった……。
「スペード宇宙人!」
「タコ宇宙人!」
こっちに戻ると二人がケンカしている。
「どっちも本体がヤバそう! とにかく二人とも落ち着いて!」
「まさしはわたくしのモノですわ!」
「まさしさんは渡しません!」
「アナタにまさしは渡しませんわ!!」
「私だって引きませんよ!! 6600万年前の決着をここでつけましょうか!?」
「望むところですわ!!」
「6600万年って……二人とも何歳なの? てっきり僕と同じ17くらいかと思ってんだけど……」
「わたくしは今年でちょうど17
「
「私はちょっと年上の17垓46憶歳です!」
「ちょっと……??」
二人がやばいほど年上なことは理解した。けれど女性に年齢の話題を続けるのはマナー違反だ。二人が何歳だろうと関係ない。だって見た目がこんなに良いんだから。
「とっ、とにかく声を荒げないで話し合おうっ……!」
なんとか二人をなだめる。
「もうこうなったら
「望むところです!」
「でた宇宙蹴鞠! ずっと気になってたんだけど、宇宙蹴鞠ってなに?」
「宇宙の中でも選ばれしごく一部の者だけが行うことができる神楽ですわ」
「苛烈で熾烈で酷烈で鮮烈な大会なんですよ」
「なにするか全然分かんないけどなんかすごいことは分かった!」
「時として大きな事故も起こる、非常に危険な競技でもあるんです」
「例えばどんな?」
「ちょうど前の大会のときでしたわね……。あの時はコースを外れた毬が地球に衝突してしまいましたの」
「えっ、地球大丈夫だったの?」
「…………」
「…………」
何故か二人とも僕から目をそらした。
「恐竜さんごめんなさいですわ……」
「アレは不幸な事故でした……」
「絶滅の犯人キミたちだったかー」
結果的に僕(というか人類)の祖先? に関係していると言えないこともないため深くは追及できなかった。
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