しかも二人は知り合いで昔土星で催された宇宙蹴鞠大会で優勝争いをして結局引き分けになったという間柄らしく

「あんな思いまでしてこの仕打ちかぁ……世知辛せちがらいなぁ……」



「ほら隠したぜ、これで大丈夫だろ?」


 おじさんはどこで拾ってきたのか、小っちゃい便座を股間に当てていた。


「隠れてない、隠れてないよ! むしろフォーカスしちゃってる!」


「? こうか?」


「UをCにしても意味ないって! なんで一番隠さなきゃいけない部分丸出しにしてんの?! 分かってやってるでしょ!?」



 レイちゃんとメインちゃんはこちらに背を向け僕たちとは他人のフリを始めたので、おじさんは放置して二人の方へ行き話を進めることにした。



「で? どう? 儀式成功?」


「成功したならきざしが見えるはずですわ……」


きざし?」


「空に虹がかかるんです」


 三人で空を見上げる。



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――



 なんか次元の割れ目みたいなものが広がって、ヤバい暗黒魔王みたいなヤツが出てきた!



「なんか出た!!」


「あれはちがいますわ!」


「まず正解が分からん!!」


「くっ、中途半端な男尻のせいで間違えて冥王が目覚めてしまったようですね! まさしさん! 自分を責めないでください!!」


「えっ!? これ僕のせいなの?!」


 言われたとおりにやっただけなのにあんまりだ。


「このままでは宇宙が滅亡してしまいますわ! まさしが中途半端な男尻をするから……っ!」


「そんなヤベー儀式って知ってたらやってなかったよ!!」


 あまりの不条理さに言葉が荒くなる。



「あれこそが封じられていた冥王、超絶宇宙破壊神混沌暗黒漆黒魔王絶対破滅撃滅冥王です――」



「すっごい漢字の量……神なのか魔王なのか冥王なのか……」


「皆はプルートと呼んでいますわ」


「今の長い名前なんだったの? プルート入ってなかったし」


「なんて巨大で禍々まがまがしい姿なのでしょう……。宇宙連合の助けは期待できまして?」


「復活を危惧きぐされてたとはいえ、予想より早すぎます……。これでは宇宙連合も対応できないでしょう」


「予想だといつだったの?」

「来月上旬です……!」

「誤差じゃん!!」



【グアアアアアアアアアア――!!!!】



 冥王? が咆哮ほうこうする。


「うわっ! めっちゃ叫んでる! なんかヤバげだ! どうするの二人とも!?」


「こうなったら、私たちあでアレを倒すしかないですわ」


「ですね……ここは共闘と行きましょう。ツン・デ・レイ――」


「ふっ、悪くないですわね。メイン・ヒロ・イン――」



 二人はコツンと互いの拳をぶつけた。



「アツい展開だけど倒せる方法はあるの!?」


「ええ、火星人と木星人と地球人が力を合わせて使える秘技があります……」


「マジで? そんな都合のいい技があるの?」


三位一体攻撃さんみいったいこうげき、トリニティアタックと呼ばれるものです」


「日本語にやくすなら酢味噌ボンバーってところですわね」


「レイちゃん、ボンバーは日本語じゃないよ? そもそも三位一体攻撃ってたぶん日本語だからね?」


「ですが、高位魔法である三位一体攻撃をするには時間がかかりますっ! 私とツン・デ・レイが魔力を練り上げるあいだ、誰かが時間を稼ぐ必要が……っ」


「宇宙のすごい科学文明力が出てくるかなと思ったら魔法なんだ!」


「けれど、まさしに時間稼ぎなんてできませんわ。そもそもまさしがいなかったら酢味噌ボンバーの条件が整いませんし……」


「八方塞がりですか……トリニティアタックを行うには時間がかかるのに、時間を稼ぐ方法がない……」


「そして、三位一体トリニティ酢味噌ボンバーアタックでなければ冥王を倒せない……詰みましたわね……」


「ごめん、技名統一してくれない? もうごっちゃごっちゃでなにがなんだか……。というかメインちゃん、冥王の加護を受けてるのに倒しちゃっていいの?」


「大丈夫です。私が加護を受けているのは冥王(善)でアレは冥王(悪)なので!」


「そっか、複雑なんだね!」



「出番のようだな。安心しろお嬢ちゃんたちに少年。時間なら、俺が稼ごう――」



「「「宇宙人おじさん!!」」」



 全裸の宇宙人おじさんが便座を投げ捨て、僕たちの前に立った。



【ゴアアアアアアアアアア!!!!】



 冥王が大きく口を開き、その口に魔力? 的なものが収束されていく。


「ここはおじさんを信じるしかありませんわ!」


「そうですね!」


「マジでっ?! 宇宙人を自称する全裸の変質者には荷が重すぎない!?」


 僕らと地球の命運おじさんにかけなきゃないけないの?!


「それはそれ、これはこれですわ!」


「手段を選んでる場合じゃありません!」


「わ、分かったよ! 僕はなにしたらいいの!?」


 こく過ぎる運命だが受け入れるしかないみたいだ!


「なにか服着てください!!」


「いつまでふんどし一丁でいるつもりですの!?」


「今そんなこと気にしてる場合かなっ?!」



 けれど他にやることもないので言われたとおり服を着た。



「まさし! パージと叫んでみるんですわ!」


「えっ、ぱっ、パーーーーージ!!!!」


 言われたとおり叫んでみると服が吹き飛びまたふんどし一丁になる。


「キャー! なにやってるんですかまさしさん!?」


「これも僕のせいなのっ?!」


「それが宇宙ふんどしの力ですわ!」


「なんでこの宇宙ふんどしキャストオフ機能だけはついてんの?!」


【ゲアアアアアアアアアアアアアア!!!!】


「うわびっくりした!!」



 そんなこんなしていると冥王の口から漆黒の光線が放たれた――!



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