第34話 俺と付き合ってください!
モモと話した俺はすぐに1人の女の子へメッセージを送る。
すると、明日の夕方なら会えるとの返信が来たため、翌日の夕方に会うこととなった。
そして翌日の夕方。
俺は1人の女の子を、とある公園に呼び出していた。
(長い時間考えたんだ。この選択に悔いはない)
俺は心の中で言い聞かせる。
しばらく待っていると…
「ごめんね!少し遅れてしまった!」
俺の好きな人で、俺が幸せにしたいと思った、山﨑梨沙が現れた。
「ごめんな、ここまで来てもらって」
俺はまず、こんな時間に会ってくれたことへ感謝を伝える。
「これくらい大丈夫だよ!だって好きな人に会えるもん!たとえ、1分しか会えなくても飛んでくるよ!」
「そっ、そうか……」
俺はその言葉に顔を赤くする。
「あれ?照れちゃったかな?」
すると、ニヤニヤしながら俺に近づき、上目遣いで俺の顔を覗き込む。
(くっ、完全に梨沙のペースだ)
出会って早々、梨沙のペースに持ってかれる。
そのため、この空気を変えることを目的に、俺は思っていることを素直に伝える。
「今日の梨沙も可愛いぞ」
「ふえっ!」
ニヤニヤした顔から一転、一瞬で顔を真っ赤にする。
「も、もうっ!お世辞はいらないよ!」
俺の言葉がお世辞と思った梨沙は、すぐに頬を膨らませ、俺から顔を逸らす。
(今から告白の返事をするんだ。少しくらい恥ずかしいことを言っても俺にダメージはない。可愛いって思ったのは事実だし)
頬を膨らませる梨沙をもっと見ていたいが、告白の返事をするだけで“バクバク”と五月蝿い心臓が持ちそうにないので、早速本題に入る。
「俺は今日、梨沙に俺の気持ちを伝えに来たんだ」
俺の言葉の意味を理解した梨沙は、逸らしていた顔を俺の方に向け、真剣な表情となる。
「なんとなく予想はついてたんだ。多分、私の告白に対して返事をするために呼び出したんじゃないかなって。そして、私の告白を断るために会ってくれたんじゃないかなって」
そこまで言うと、梨沙は1度大きく深呼吸をする。
「よし!もう大丈夫!なんでも私に言っていいよ!」
梨沙が笑顔で俺に言う。
もし俺が断る言葉を伝える場合、気を使わなくて済むように。
しかし、両手を力強く握っているところから、無理をしていることがわかる。
(ホント、俺には勿体無いくらい素晴らしい女の子だよ)
そんなことを改めて思ってしまう。
「梨沙」
「な、何かな?」
梨沙が緊張した声色で聞いてくる。
「俺、ショッピングモールで梨沙と出会ったことを忘れてたけど、迷子の女の子と遊んだことは一度たりとも忘れなかった。記憶が曖昧なところはあるけど、あの時の俺は女の子と遊んでとても楽しかった、もっと遊びたかったって思ったんだ」
「そうだったんだ」
梨沙の声色は先程同様に緊張しており、未だに両手を強く握っている。
「そして高校で再会してから、梨沙は何度も俺に話しかけてくれた。とても楽しそうに話しかけてくれる梨沙の様子に、俺は学校で梨沙と話すのが楽しみな自分がいた」
「め、迷惑って思ってなかったの?」
「あぁ。むしろ楽しみにしてたくらいだ。特に笑ったり頬を膨らませて怒ったりと、表情がコロコロ変わるところが好きだった」
「そっ、そうなんだ……」
俺の言葉に梨沙が頬を染める。
「そんな梨沙に、これからも俺の隣にいてほしい、俺だけに笑ったり怒ったりしてほしいって思ったんだ」
「えっ!そ、それって……」
俺が梨沙を呼び出した理由に気付いた梨沙が、驚きの表情とともに目が潤む。
「俺は梨沙が好きだ。これからは俺の隣にずっといてほしい。必ず幸せにするから」
そこまで言って、俺は一度深呼吸を挟む。
そして、自分の想いを伝える。
「俺と付き合ってください!」
誰もいない公園に、俺の告白が響き渡る。
俺の言葉を聞いた梨沙は、目に涙を溜めた状態で、今まで見たことのない眩しい笑顔を見せる。
そして…
「はい!喜んで!」
俺の告白を受け入れてくれた。
【本編完結】
*****
ここまで作品を読んでいただきありがとうございます。
皆さまのおかげで、途中で投げ出すことなく、書き続けることができました。感謝感激です。
さて、本編はここで完結させていただきますが、いずれafter storyを書こうと思っております。
まだまだ物語は続きますので、作品フォローは外さず、続きも読んでいただけると嬉しいです。
また、作者は新作を同時更新しております。
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