第18話 蓮華会

「さて……ここが蓮華会の本部になります。そういえば……まだ名前を聞いていませんでしたね」


「……彗羽と言います。」


「そうですか。僕は雨霧。雨霧奏音あまぎりかなとです」


彼……雨霧さんはそう告げた。私は小さく笑みを浮かべ「よろしくお願いします」とだけ伝え、彼について行くように蓮華会の本部へと足を進めた。



暫くすると一際大きなドアの前に連れてこられ雨霧さんは私の事を紹介するためにそのドアを開けた。ドアが開けられればツンと香る煙草の匂いに一瞬だけ苦しくなるもすぐ笑みを浮かべ小さく頭を下げてみせた。


「……奏音。そいつは?」


「うちに入りたいと言ってきた方です。前は違う組に居たとか。」


「ほう……?そこのお前。名は?」


「……彗羽と言います。」


この人が……この人が蓮華会のボス、華月 一樹かげついつき……蒼斗さんより威圧感あるな……



「彗羽か……いい名前だ。いいだろう蓮華会への入会を認める。これから俺に尽くせ。」


「……はい。」


私はにこりと笑みを浮かべながら小さく頷いた。潜入がバレる訳にはいかない。首領の為に。そして何よりスラムの為に……。



そんなことを考えながら私は雨霧さんの後ろを着いて歩き私の部屋へと案内してもらった。


「今日はとりあえずこの部屋で待機を……明日から仕事が回ってきます。」


「分かりました……ありがとうございます雨霧さん」


「いえ……それではまた明日に。」


彼はドアを閉めて部屋から遠ざかる足音が聞こえた。暫くしてから私は大きく息を吐きベッドへと勢いよく寝転んだ。



「疲れた……とりあえず首領に報告しておかないと。」


そう呟いてから私はスマホを取りだし首領へ一言【潜入完了】とだけ送り目を瞑った。

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マフィアの首領に拾われました 華柏(こはく) @kohaku_1105

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