感想15『並行世界戦記 赧竜の撃墜王』 鴉 さま
■こんにちは、天音朝陽です。
赧(たん)は「顔が赤くなる」という意味が。
『並行世界戦記 赧竜の撃墜王』
作者 鴉 さま
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922541055
第一章と第二章の感想
★ ありそうでなかった、ゼロ戦乗りが異世界へ!
★ 赧竜(たんりゅう)と読む
★ 戦争映画のシリアスさと軽いテンポの掛け合いで独自の世界へと
■
第一感想
太平洋戦争時の日本軍兵士の日常を、連続TVドラマを見ている感じで楽しませてもらいました。
と、いいますのが第一章と第二章を読ませていただいた感想です。
ここからは『これって私の感想ですよね』というものなので一般的な感想と同じかどうか?は分かりません。
ただ、作者さんや訪問者さんたちになんらかの参考になるように考えた上で書いていきます。
カクヨム上で二十数本の作品を読んできました。その中でいくつかの分類できる要素があるんですけど、その中に
・一気読みしたほうが魅力が伝わる作品
・連載的というか、一日おき、数日おきに読んだ方がより面白い作品
という分類があると思うんです。
そのなかで『並行世界戦記 赧竜の撃墜王』は後者の方にあたると感じました。良い意味で「朝ドラ」的、「週刊少年ジャンプ連載」的な楽しみ方に適しているのではと思います。もちろん通して読んでも完成度は高いのですが、個人的には各話・各エピソードの尖り(読者にとどく面白さ)の完成度が高いように感じました。
これは今まで私が読んで感想を書いてきた作品のほとんどが、一気読みタイプであったために大変な気づきであり勉強になりました。
△各話・各エピソードの尖り(読者にとどく面白さ)の完成度が高い!△
■
第一感想からもつながっているんですけど、脳内の映像化がスムーズかつ新鮮!
文章表現である小説の場合
・文字表現(もしくは文字の放つ音)を楽しむか?
・文字を読んで映像化されたものを楽しむか?
このふたつの楽しみ方があると思うのですが『並行世界戦記 赧竜の撃墜王』は、後者のほうで、特徴的に脳内での映像化がスムーズに進む作品でした。
前者の文字表現を楽しむ一例として
以下は感想1『暗黒竜の渇望』らんたさん からの引用ですが
>――なあ、修羅よ?
この一文って、文字表現のみで楽しめますよね。
太郎とか次郎とか劉備玄徳ではなく『修羅』に問いかけているわけですから、この一文の以前(昔と言う意味)に何らかの悲しい事件があり、眼前にいるであろう誰かに「何か」を問いかけているというドラマ性が強いですよね。
また音としての、一拍おいて NA - A 一拍おいて- SYURA - YO の響きも良い。
で、映像化なんですけど、これがスムーズにいかない作品は読者が自力で脳内補完しないといけなくなりますよね。
例・(小説の出だしから) 男は女を斬った「わああああ」鮮血がかかる
上記のような小説だと、「男と女の姿」と「男の武器」と「背景」を自力でイメージしないといけないですし、セリフも誰のセリフかわからない。鮮血は何にかかったのか?も不明。
こうなるとイメージを生み出す読者の脳が疲労します。
説明が長くなりましたが『赧竜の撃墜王』は、私がかつて経験したことのないくらい脳内イメージが鮮明に描けるのです。
これは私がいままでの人生の中で、戦争映画やドラマなどで情景たっぷりに『その戦争世界の映像』を観て・見て感じてきたからだと推測します。
『戦場のメリークリスマス』や『連合艦隊』や『零戦燃ゆ』などの映像がしっかり転用されていたように思います。
で、そこに今まで慣れ親しんだナーロッパ的(なろう系を悪く言う意味ではありません)な世界観を脳内で組み合わせていくわけですね。
この脳内作業は、今まで使ってなかった脳の回路に電気が通る感じで、私にとっては新鮮でした。
■
タイトルの「赧竜」ですが、何と読むかわからずコピペしてAIで調べたところ以下の回答がきました。
>「赧」は「たん」と読みます。赧は「顔が赤くなる」という意味があります。赧然という用い方があり「恥ずかしくて顔が赤くなるさま」という意味です。
例えば、「彼は赧然として答えられなかった」や「赧然とした表情で彼女を見つめた」などのように使います。
ああ、なるほどと感嘆しました。主人公のエピソードや飛竜にかけてあり気づく人は気づく深みのあるタイトルだと感じました。
ネタバレは勿体ないので、気になった方は本編を通して読んでみてください。
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ようやく他の人がコメント欄で述べられているような点で、私が面白いな続きを読みたいな!と感じた点を書いていきます。
1話目のブーゲンビルやラバウルやミッドウェーという単語ですね。この単語だけで引き込まれます。これは、いわゆる「この手の話が好きな層」にはとてつもなく響く単語なのだなと読者目線で読んでいて気づきました。(逆に言うと、意識しないときづかなかった)
これは創作活動で使えるかもしれませんが、このあたりの単語をファンタジー小説のなかで飛空艇や組織名というある程度の大きさを持った存在に使うと面白いかもしれませんね。例「帝国の飛空艇ブーゲンビル」というふうに。
1話目の『黒の死神』ですね。こいつも虹色の雲に入ったので、主人公と同じく転生していないか?と気になりました。
ま、これは異世界転生ものを読んだ人であれば、誰もが気になると思うのですが、例にもれず私も気になりました。
□
異世界描写の面白さ
主人公転生先の世界では、タバコやお酒という小道具が独自の名前に変換されていて興味深かったですね。その独自の名前の由来・意味は何だろうと思ってローマ字変換したり逆さ読みしたり人工知能に聞いたり、読了後に一晩かけてイロイロ考えたのですが結局分かりませんでした。
……く、悔しいところです。
結局はわからなかったのですが、こういうのを考えさせるのも楽しいですね。
暗号解読に自信がある方はぜひ挑戦してください、グッドラック。
□□
価値観の見せ方
主人公転生先の世界では、大日本帝国海軍軍人の主人公の価値観とはかなり違うものです。(髪型とか体形とか精神性とか)
その違いを見ていくのも面白いですね。
読者としては、まず主人公の帝国軍人としてのデフォルメされた価値観を見て、次に転生先の価値観+それに対する主人公の反応 をみて面白がることが出来ます。
転生先の世界の価値観は、かなり現在の我々にちかいのですが ややどこか違います。
ですので読者としては
・主人公の帝国軍人としての価値観(帝国軍人の平均的価値観)
・転生先世界の価値観
・現在日本の価値観
について、知らず知らずのうちに頭の中で考えるもの・考えさせられる興味深い構造を持った作品だと思いました。
もちろん深刻になりすぎずに面白い~!て感じでですね。
これは、すげ~~!
□
ほどよい、連載感
あとは前のほうで少し書きました、程よい「TVドラマ感」「少年ジャンプの週刊連載感」があって一話一話・一エピソードのメリハリが効いています。
それなりに読み応えのある話ではあるのに、電車の中や空き時間に「ん、時間があるから『赧竜の撃墜王』を1話よんどくかな」という気持ちになる。
そういう意味で、WEB掲載として、すごい良い作品だなと感じました。
このあたりには作者さんの各方面からの練った工夫があると思うのですが、今回はそこまで創作者目線で分析できませんでした。すみません。
小さい工夫や努力の大きな積み重ねって、分析する側からは本当に分かりにくいんです。
これはプロゲーマーの梅原大吾さんが言っていましたが
「何がすごいのか分からないけどすごい」っていうのが本当のすごさだと。
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好きなキャラなど。
個人的に印象に残った好きなキャラは『ヤックル』ですね。弱い奴かと思っていたらいきなりの覚醒。煉獄を放てるようになるとは。ヤックルと言うともののけ姫に出て来たシカのような動物を思いだして、そのシカが眼鏡をかけているような顔立ちをイメージしてました。
で、主に最初のほうに出て来た女の子『ジャギ』、この子もいろいろと性癖に刺さって好きです。
一番好きなのはヤックルと一緒にいた『マーラ』ちゃんでしょうか、ギャグのレベルも高く、軍隊の訓練生なのに○○〇で〇〇〇しているとか性癖に刺さりすぎて絶頂しそうでした。
■
引用などで変に文字数を稼いでしまいましたが、私が伝えたい感想は大体まとめられたかと思います。
最高のエンターテイメントを楽しませていただいた感じです。
では、また機会をみて続きを読めたらと思います。
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