想像の中だけでもいいから、NTRしてくれませんか。~俺の彼女、私の彼氏交換しませんか?

アサガキタ

第1話 優斗、みっけた。

 俺の名前は瀬戸優斗。


 なんの変哲もない高1。中学から付き合ってる彼女がいた。いや、彼女がいるだけで変哲はある。


 変哲がないなんて贅沢言ったら彼女、白鳥芽衣に怒られてしまう。


 芽衣以外にこれと言っては何もない。


 いや、頑張って上げるとしたら、ネット小説を投稿しているくらいだ。


 金曜日の放課後。


 いつもなら彼女の芽衣と一緒にショッピングモールにきてたのだけど、今日は家の用事でまっすぐ帰宅した。


 書店に立ち寄ってから帰ろうと思った。


 趣味で書いている小説が行き詰まって、アイデア探しに寄った書店だけど、天上人のような作家さまが書いた小説が凡人の俺に参考になるわけもない。


 もし、芽衣の家の用事が週末に掛かるようなら、いま書いている話を諦めて、新しい話を書くアイデアを求めての散策だったのだけど……


 こういう時はうまく行かない。諦めてエスカレータを降り階下にあるフードコートを横切り、駅に向かうことにした。



「あっ、優斗だ」


 エスカレーターで降りた先、円柱の柱にもたれて、気だるそうに小さく手を振る女子。クラスメイト。絹のような明るい茶色のロングヘア。


 そこそこ魔改造された制服。クラスで1番可愛い女子。芽衣には内緒だけど。


 フォローするなら芽衣の方がスタイルがいい。胸がその……デカい。規格外の芽衣に比べたら水無月紫音は普通の体型。


 だけど高校のトップカーストというヤツ。彼氏の神楽坂大地も同じくトップカーストのひとり。


 サッカー部。名門とまではいかないが、中堅くらいのチームで1年生ながらレギュラー。


 身長は俺と変わらない、イケメンというか愛想のいいナイスガイ。


 男女共に人気者。クラスの笑いの中心にいる。嫉妬心が湧かないくらい、いいヤツ。


 席が近かったせいで、高校に入ってから友達になった。


 帰宅部の俺とも仲が良い。


 俺はサッカーは出来ないけど、観戦というか分析が好きでそんなこともあって、意外にも会話が弾む。


 ちなみに大地の彼女、水無月紫音と俺の彼女白鳥芽衣は彼氏同士が友達なので、4人でいることもある。


 基本女子ふたりはあまり会話をしない。合わないようだ。


 俺の彼女の芽衣はおとなし目というか、人見知りするタイプ。いや、我が道を行くタイプ。ダウナー系というやつか。


 付け加えると、俺も芽衣まではいかなくてもそこそこの人見知り。


 そして、更に付け加えると「優斗」なんて、水無月に呼ばれたのは今が初めて。


 芽衣にさえ「瀬戸君」なのだ。


 家族以外で呼ぶのは彼女が初めてだけど……実はふたりで話すのはあまりない。


 普段は大地が話を振って、水無月が答える。俺が芽衣に振って芽衣が答えを探す感じ。


 彼氏同士が友達じゃなかったら、この女子ふたりは話すことはないだろう。


 そうなると友人の彼女に話す機会も少ない。


 それはさて置き、なぜいきなり「優斗」呼びなのか。なぜ、彼女は制服のまま真っ白なキャリーバックを引いてるのか。


 ***



「聞いてよ、優斗! 酷いんだよお母さん‼」


 要約すると、どうやら親子喧嘩の末、後先考えずに家出してきたらしい。だからといっていきなりの「優斗呼び」の謎の答えにはならない。


「えっと……神楽坂は?」


「部活中〜〜『まいん』でメッセージ送った所で返事来ないから送ってない〜〜ねぇ、聞いてる? 酷くない? 頭ごなしだよ?」


「それは、まぁそうかなぁ……」


 単なる相槌。いや、友達の彼女。相槌のひとつも打つだろう。見たこともない友達の彼女の母親の味方はしない。


 しかし、これが良からぬ方向を向く。


「だよね! そんなわけで優斗。今日泊めてよ!」


 はぁ⁉ いや、なんで⁉ いや、引っ張らないで!!


 俺は連行される勢いで手首を掴まれショッピングモールの外に連れ出された。一体何が起きようとしてる?


 ***


「だから! 水無月、マズいって」


「なにが、どうマズいのよ?」


「いや、うちの父さんは居酒屋チェーンの店長で夜は居ないし、母さん看護師で今日夜勤なんだって!」


「知ってる。今日大地と話してたの聞いたから、それで閃いたの。ワンチャンあるなって!」


 はぁ⁉ じゃあなに確信犯なの? フードコートで出待ちしてたの? 


 そういや大地に本屋に行くって言ったわ。しかも、駅への近道。あのエスカレータ必ず通るし……


 いや、待てよ。


 こんなキャリーバッグ持ってるってことは朝から計画してたの?


 いや、待てよ。芽衣が家の用事でいないこともまさか織り込み済み? 完全に宿屋としてロックオンされてた!


「ほら、私ら普段あんまし個別で絡みないでしょ? 親睦を深めるいい機会だと思わない?」


「思わない。少なくとも、神楽坂が知らない時点でおかしいよ」


「なんで?」


「水無月は神楽坂の彼女で、俺には芽衣がいる。どう親切に考えても誤解生む」


「そう? じゃあさ、とりあえず優斗んちに行くってのはどう? それで大地が部活終わる時間に連絡取って『ダメ』って言うなら泣く泣く帰るよ、ね? お腹もすいたし、色々トークしようよ、夜は長いぜ?」


 改札前で駄々をこねても仕方ない。道行く人たちの視線が気になる。


 セーラー服に大型キャリーバッグというのも目を引く。確か水無月はショッピングモールの最寄駅から上りにふた駅。


 俺は同じ方向にひと駅。追い返すにしても定期券があるから、気が引けない。


 ここにいて学校の知り合いに見られるのも嫌なので、俺は水無月に引っぱられるまま上り電車に乗った。


 帰って新作小説のプロットを書こうと思ったのに、なんか変な方に運命が転がり始めた。




『ゴロゴロゴロゴロ……』


「なぁ、どれくらい帰らない気なの?」


「ん? 荷物の量? いや、家出初心者なんで、どれくらいいるかわからないでしょ? だから4泊分ぐらいの着替えとドライヤー? あと化粧品なんかを詰め込んできた」


「4泊もどこに泊まる気だったの?」


「優斗んち」


「いや、うちが最有力候補っておかしいでしょ、うちより芽衣にでも頼めば」


「あぁ……それ本気じゃないよね? 私ら会話続くと思う? っていうか、優斗と白鳥ってふたりの時なに話してるの? 全然想像つかないんだけど?」


 なるほど、俺の思ったとおり彼女ふたりの間には距離があるみたいだ。


 仲が悪いとかじゃなく、仲が悪くなる前にあまりにも共通の会話がないらしい。


「ん……『ダルいね?』とか」


「優斗、それ会話なの? もっとティーンらしいポップでキュートなのないの?」


「ないよ、そっちはどうなの。神楽坂と」


「うちは……ほら、一方的に部活の話を聞かされて『大変だね』『大丈夫?』『頑張ってるね』をループで回答する感じ」


「そのループが『ティーンらしいポップでキュート』な会話なんだ」


「言うわね~~優斗!」


「いや、その優斗ってのもいきなり過ぎん? 呼ばれたことないけど」


「うん、だって白鳥の前で『優斗』なんて呼んだら怖いでしょ。ガン見された後に


『なんで?』とかマジで怖い」


「わからんでもないけど。じゃあ芽衣が『大地』って呼んだら?」


「二度見する」


「いや、二度見してから?」


「ん……ヤッたのかなぁって思う」


「ヤッたって……いきなり何を投げ込む」


「でも、おかしくない? 私の彼氏に呼び捨てだよ?『あっ、こいつらこそこそと陰で逢い引きしてんな……チッキショー!』になるね、うんなる!」


「それを水無月が今してるんだけど」


「それは優斗だから大丈夫でしょ、みたいな?」


「いや、芽衣が思うんじゃない?『こいつらこそこそしてんな』って」


「大丈夫。こそこそじゃないよ、堂々とお泊りに来たんだし」


 うん、どうしようか。肝心な部分がまったく嚙み合わないまま、自宅についてしまった。


「一応ここだけど」


「えっ、ここ? 駅近でいいね! アレなのお父さん基本夜勤なんでしょ? お母さんも看護師さんなら、月に何日か夜居ないんでしょ?」


「うん、もう慣れたけど」


 寂しくないの? みたいな会話だと思ったがさにあらず。


「ねぇねぇ、白鳥連れ込み放題じゃない? お泊りとか、まあまあ来るの? あっ、今夜もしかして、白鳥って家の用事と見せかけてお泊りデートだったり? キスとかバンバンなの? バンバン?」


 何だろ、なんかめちゃくちゃ修学旅行の夜みたいな会話する気満々なんだけど……ホントに泊まる気なんだ……


 □□□作者よりのお願い□□□


 読み進めていただきありがとうございます!


「次回投稿が楽しみ!」


「今夜どうなるの⁉」


「優斗、彼女いるのに大丈夫⁉」


「優斗、お前はヤル時はヤル男だろ!」


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