そこは、生首との会話を楽しむ場所

 ただまっすぐに続く一本の道。
 そこに立つ一軒のダイナー。まわりを見渡せど、そのダイナーのほかには建物はない。
 晴れた日もあれば、雨の日もある。
 何処かから来て、何処かへ行く車が一息入れて行く場所。
 店主(もしくは店員だろうか)は生首がひとり。

 ダイナーとはいえ、生首は食事も作れないし、珈琲も淹れられない。
 そこにある日、ひとりの女が迷い込んできて……
 それからは、ロードサイドダーナーでは、ダイナーらしく珈琲とちょっとした軽食が出るようになった。

 みんな訳ありで、なにか起こりそうで、でも、ダイナーはそういう場所じゃない。

 互いの傷に触れず、ただ癒やしてゆく。
 そういう物語である。